【歴代W杯初戦の教訓】“割り切り”が生んだ史上初の白星発進 カメルーン撃破で得た追い風と確信

スタートで勢いを得るメリットを再認識

 開幕の勝利発進は、W杯4度目の出場で初めてだった。これで一枚岩になり、オランダに0-1と食い下がった日本は、第3戦のデンマーク戦も序盤の猛攻を凌ぐと、本田、遠藤保仁が立て続けにFKを決めて3-1で快勝する。結局、決勝トーナメント1回戦でパラグアイに0-0からPK負けを喫してベスト8は逃したが、地元開催の8年前に続き、過去最高に並ぶ好成績で帰国した。

 チーム作りでは苦境に追い込まれた日本だが、大会初戦で追い風を受けた。やはり日本の立ち位置を考えれば、劣勢からの逆転のシナリオは描き難い。改めてスタートで勢いを得るメリットを認識させられる大会となった。

(加部 究 / Kiwamu Kabe)



page1 page2 page3

加部 究

かべ・きわむ/1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

今、あなたにオススメ

トレンド

ランキング