“涙のち笑顔”の監督に率いられ矢板中央4強へ 好相性の埼玉で流経大柏にリベンジなるか

高橋監督、敵将は「憧れの名将ですから」

 3回戦でセンターバック(CB)のDF白井陽貴が負傷。代わってCBを務めた主将のMF稲見哲行は「あのロングスローはビデオで分析したが、いろんな動きをしてきたのでマークしにくかった」と脅威になったことを打ち明けた。本来はボランチで2試合連続得点中とあり、「ゴールを取ればチームへの貢献度はより大きいのですが、無失点に抑えることも同じだと思うのでゼロはうれしい」と、大黒柱らしい言葉で振り返った。

 守備の中心が稲見なら、攻撃でのヒーローは虎の子の1点を奪った山下だ。栃木県予選はベンチ入りしたものの、1試合も出場できなかった。それが12月初めになって高橋監督の目に留まり、大舞台を迎えていきなり先発で起用され、3戦目で結果を出した。

 人前で話すのが大の苦手という2年生は、「課題だった守備を頑張ったからだと思います。50メートルはチーム2位の5秒9、スピードには自信があるので、あの場面はこぼれてくると信じて狙っていた。インタビューされたことがないので……」と、はにかむ表情が初々しかった。

 準決勝の相手は今夏の高校総体王者、流通経済大柏(千葉)だ。3年前は2回戦でぶつかりPK戦で敗れた。高橋監督は「本田(裕一郎)監督は憧れの名将ですから」と謙遜しながらも、前回出場時までに浦和駒場スタジアムなどで5連勝し、今回もNACK5スタジアムなど埼玉会場で3連勝。次も埼玉スタジアムと験のいい土地柄だけに、秘める闘志は相当なものだ。

【了】

河野 正●文 text by Tadashi Kawano

フットボールゾーンウェブ編集部●写真 photo by Football ZONE web

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