絶対王者バイエルンの危機を救った72歳の名将 老獪な手腕に見る采配の奥深さ

期待よりも疑いが強かった“三冠監督”ハインケスの復帰

 カルロ・アンチェロッティを解任したバイエルンに10月6日、ユップ・ハインケスが復帰した時、ドイツ紙「ビルト」は「今年のサッカー界最大のセンセーション」との見出しで報じた。だが2012-13シーズンにバイエルンを三冠に導いた英雄監督も、御年72歳。すでに一度引退していた老将に、どこまでの力があるのだろうか。期待よりも、疑いの方が強かった。「大丈夫なのか」と――。

 だが、ハインケスはすぐにその手腕を発揮した。とはいえ、特別に複雑なことをしたわけではない。

 やるべきことをシンプルにまとめ上げ、問題を一つずつクリアしていく。まずはアンチェロッティのもとで緩んでいたとされる空気を引き締めた。チーム内に明確なルールを定め、歩んでいく方向を一致させた。選手それぞれの立ち位置を認知させ、役割を理解させた。

 チームとして必要なのは、まず成功体験。だから最初はメンバーをいじらなかった。よく知るメンバーを多く起用し、責任感を持たせ、信頼を力に変えさせる。求めるのはやるべきことに100%集中して、パフォーマンスを出すこと。そこでサボる選手には、厳しい態度で迫るし、前半で交代させることも厭わない。

 勝利という結果がついてきたことで新加入選手を馴染ませて、調子を落とした選手の尻を叩き、元のフォームに戻していく時間もできてきた。コミュニケーションをただ取るだけではなく、自分のビジョンをダイレクトにも伝えていく。

 

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