数字が示すハリルJ船出の真実 過去の「日本式」と決別した成果とは

中央からの攻撃&シュート効率がアップ、ウズベキスタン

ウズベキスタン戦①

 ウズベキスタンは同じアジア予選を戦う相手としてこの7年で4試合を戦っているので、力関係の変化を見る上で参考になるかもしれない。

 2008年10月15日埼スタで行われた2010年W杯最終予選は日本がポゼッション率60%と圧倒しながらも1-1の引き分けだった。

 2009年6月6日アウェイでの試合は1-0で勝利。ポゼッション率は日本54%対ウズベキスタン46%。2011年9月6日にはアウェイで2014年ブラジルW杯3次予選が行われ1-1。ポゼッション率日本51%対チュニジア49%、そして最も近い試合は2012年2月29日に行われたW杯3次予選で、この試合は日本が56%対44%とボールを支配しながらも0-1で敗戦してしまった。

 これを見ても分かるようにウズベキスタンとの試合は常に1点を争う接戦で決して楽な相手ではない。

 2015年3月31日、日本代表は初戦とメンバーを大きく変えたにも関わらず、5-1と圧勝した。初戦と同様のデータからこの日のメンバーでどのように傾向が変わったか見てみよう。

 この日の攻撃機会は78回だったが、左サイドが26%、右サイドが22%、そして中央が51%で初戦よりさらに“最短距離色”が強くなった。またカウンターアタックからの攻撃は初戦と同じ19回だった。全体のパスの中で縦パスが占めるのはこの2試合共に37%前後で変わらなかった。ボールロストは日本84回、そのうち10回が自陣、ウズベキスタンは95回で21回を自陣で奪われていた。

 取り返すプレーは、両チームともに56回だったが、相手陣内で奪い返したのが日本が12回に対し、ウズベキスタンは半分以下の5回だった。

 驚くべきことにこの日のポゼッション率は日本45%対ウズベキスタン55%と日本代表はウズベキスタンとの試合で初めてポゼッション率が50%を割った。これらのデータにパスとシュートのデータを加えると日本代表の新しい姿が垣間見える。

 ウズベキスタンとの過去4試合全てにおいて日本の方がパス数は上回っていた。しかし2008年の試合を除けば、ウズベキスタンの方が多くのシュートを放っていた。それらの減少を分かりやすくするためにシュート効率という指標を使ってみた。1本のシュートを打つのに平均で何本のパスをつないだかという指標だ。

 2008年はウズベキスタンのシュート数が少なかったので日本38本に対して、ウズベキスタン44.8本と日本の方が効率が良かった。しかしそれ以降2009年は31%、2010年は29%、2011年にいたっては43%もウズベキスタンの方が効率が良かった。

 しかし先日の試合では日本代表はウズベキスタンより倍も効率の高い攻撃を行っていた。つまり日本が17.5本で1本のシュートを打つことが出来たのに対してウズべキスタンは35.3本のパスを回さないと1本のシュートにたどり着けなかったことになる。ボールを失わないための“パスのためのパス”なのか、得点を目指してシュートに結び付けるためのパスなのか、パスの目的を間違えなければきちんと結果が伴ってくるということだ。

 スペイン代表、あるいはFCバルセロナの華麗なパス回しに魅せられ、日本人の体格と身体能力とスペイン人の類似性から判断し、これこそが日本が目指すべき“Japan Way”だ! と若年層からトップレベルまで一貫してポゼッションサッカーを目指した過去数年間の結果をこの表は物語っている。

 最後にハリルホジッチ監督が行った戦術的変化を見てみよう。

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