日本代表強化の鍵は“U-20” アジア版NLで欧州との試合が困難に…重要になる国際試合の経験値

日本代表強化の鍵はU-20世代?【写真:徳原隆元】
日本代表強化の鍵はU-20世代?【写真:徳原隆元】

AFCネーションズリーグと日本代表強化

 AFC(アジアサッカー連盟)はネーションズリーグ(NL)を2030年に開始すると発表した。詳細はまだ明らかになっていないが、現時点での案を基にNLが日本代表の強化にどのような影響を与えるかを考えてみたい。

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 現在、FIFAインターナショナルマッチカレンダーによって代表戦は年間10試合程度となっている。NL案ではホーム&アウェーの計6試合を行い、上位8チームがノックアウトステージに進出、準々決勝から決勝までを行うので最大で9試合となる。つまり、1シーズンの代表戦日程はほぼすべてNLに使われる。

 その代わりにNLのないシーズンはW杯予選、アジアカップ予選がNLに組み込まれているので対アジア公式戦がなく、10試合をまるまる自由に使える。アジアとの対戦で占められるシーズンと、そうでないシーズンが交互に繰り返されるわけだ。

 ここで問題なのが対戦相手。アジアでNLのないシーズン(偶数年はじまり)は、UEFAがNLを開催しているので、欧州勢との強化試合はまず組めない。アフリカは日程が確定しておらず、北中米はほぼ毎年NLを開催している。こちらもマッチメイクが困難である。オセアニアを除くと唯一、NLを開催しない連盟がCONMEBOL(南米)である。つまり、強化試合を自由に組めるといっても相手はほぼ南米一択なのだ。

 今季(2026-27)は9、10月に4試合を行った。相手はウルグアイ、ベネズエラ、エクアドル、ニュージーランド。3チームが南米だった。キリンカップ決勝はオセアニアのニュージーランドだったが、もし準決勝でパナマが勝っていたら、南米に準ずるチームがもう1つ加わっていたわけだ。ちなみに11月にシンガポールで予定されている2試合もブラジル、パラグアイ。すでに欧州とのマッチメイクは困難になっている。

 近年の日本代表は欧州勢には非常に強く、森保一監督が率いて9年目になるが一度も負けたことがない。8勝3分(2022年W杯でPK戦負けしたクロアチア戦は記録上引き分け扱い)。一方、対南米は4勝3分3敗とほぼ五分だ。ちなみに対アフリカは2勝2分0敗、対北中米カリブ海は4勝2分4敗。欧州、アフリカには強く、南米、北中米はやや苦手としている。

 欧州とアフリカに関しては、日本代表選手の大半が欧州リーグに所属していることもあり、組織的なプレースタイルに対して慣れがあるのだろう。チームとしては南米との対戦を重ねて苦手を克服していけばいいのかもしれない。とはいえ、他大陸との対戦経験もそれなりに積んでおきたいところではある。

 おそらく国際試合の経験値を得るためのカギはU-20代表ではないかと思う。

 五輪代表(U-23)になるとトップクラスはすでにA代表になっているので、その世代のトップクラスが揃うのはU-20までだからだ。スペイン代表のルイス・デ・ラ・フエンテ監督はU-19代表からA代表まで指導し続け、2026年W杯で優勝した。選手との継続的な関係がプラスに働いたと言われている。どんな相手にどう対処するかの対応力を身に付けたのが大きいという。しばしば国際試合の決め手になるように、年月をかけて選手のメンタルまで完全に把握していたことが奏功したようだ。

 U-20は特定の地域に偏ることなく、世界中のチームと対戦できる年代。A代表へつなげる強化のスタート地点として、より重要性が増していくのではないか。

(西部謙司 / Kenji Nishibe)



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西部謙司

にしべ・けんじ/1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。

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