ザッケローニ監督と一線を画すJ初のイタリア人監督の哲学 Jリーグで萌芽したもう一つの“カルチョ流”

まだ成績は伴っていないが、風は吹き始めている

 だからこそ、戦術におぼれることなく、大前提としての本質は外さない。常に、選手には全力を求め、走れない選手は次々と入れ替わる。すでに、けが人を除くフィールドプレーヤー全員が公式戦に出場を果たしているのはそのためだろう。

 表面的な派手さはないが、質実剛健で効率性の伴ったスタイルだ。「イタリアの新しい世代は、前線に2人ないしは3人のFWを置いている。決して守備的などではない。そして、今日のイタリアでは中盤も守備もFWも柔軟性が求められる。それは、毎試合に独立したストーリーがあり、何かしらのエピソードが生まれるからだ」という。カルチョの今日的な風は、新宿駅からおよそ30分の場所で吹き始めた。

 しかし、FC東京は多彩な戦術運用で試合をコントロールしながらも、ここリーグ2試合はセットプレーからの失点によって敗れている。順位も12位と、まだまだ結果は伴っていない。

「我々は新しいサッカーを提案しているし、状況に応じてさまざまな戦術を実践できている。だが、良いサッカーをしても、小さなエピソードで負けるのは残念だ。選手と我々のティフォージにふさわしい結果がまだ伴っていない」

 ミステルは、そう口にして首を横に振ったが、少し間を取り、寄せていた眉を離して言った。「だが、いまはチームを作り上げている段階だ。私には確信がある。前へと進みましょう」。

馬場康平●文 text by Kohei Baba

 

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