悩める後輩へ「いろんな形を試して」 日本のエースが差し伸べた手「ちょっと悩んでいそうだなと」

2ゴールの上田綺世は前半で交代となった後藤へ助言
日本代表は9月28日、エディオンピースウイング広島で、ベネズエラ代表と対戦し2-1で劇的な勝利を収めた。2ゴールを決め勝利に導いた日本代表のエースFW上田綺世は、自身のゴールについて振り返りながらも、苦戦する後輩FWの助けとなるべく、手を差し伸べた。
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試合終了後、上田が歩み寄ったのは21歳FW後藤啓介の元だった。ウルグアイ戦から10人を変更して臨んだ日本だったが、代表デビューが4人ということもあり連係面でもズレがあり、さらに3バックのミラーゲームとなり苦戦。思うように後ろからはつなげず、ビルドアップの出口としてGK小久保玲央ブライアンは後藤めがけてロングボールを蹴るも、3連続で競り負けた。
後藤は「綺世君に変わった段階で収まるシーンが増えて、起点となってビルドアップも安定しましたし、攻めている時間が長かった」と、自身にはできなかったプレーを課題として挙げ、ベンチから見た後半を振り返った。
そして0-0で折り返した後半頭から後藤は上田と交代。日本は立ち上がりに先制点を許したが、すぐさまエースが見せた。「少なからず僕にはできないです」と上田が言うように、直前で動き直した18番を間接視野で見えていた伊東純也が完璧なクロスを供給。上田は右足を伸ばして流し込んで振り出しに戻した。
終了間際にはVAR介入の末に日本がPKを獲得。ボールを抱え、じっと待っていた上田。直前のPK判定を待つ時間についても、「別に信じてたってわけではないですけど、判定待っていただけです」と言い、冷静に決めきった。
劇的な幕切れにも浮き立つことなく、与えられた役割を全うしたストライカー。だがそんなクールな男は試合後、悩める9番の肩を叩いた。
「僕と啓介では身長も違うし、プレースタイルも違うんで。できることも、同じことをするにしてもスタイルが違うと思う。啓介はもっと自分の体の活かし方とか、足も長いし。足元の技術もあるんで。その活かし方をああいうタフで、ちょっとずる賢い相手に対して自分のスタイル、型をいろんな形で試して、できたらもっとストレスなく自分のやりたいことができるようになると思う。そこの手助けはできたらいいのかなと思う。W杯もそうだし、その前から多分本人の中で課題になっていると思うんで。そこは自分もここ4年ぐらい向き合ってきたところだし、今代表で求められる部分なんで、上手に共有していけたらいいなと思っていますけど」
上田が語った言葉には、前線で孤独に戦うFWだからこそわかる苦悩への理解が詰まっていた。相手DFのずる賢さや激しいフィジカルコンタクトにどう抗うか。上田自身が「ここ4年ぐらい向き合ってきたところ」と語ったように、元々はポストプレーを苦手としていた。それでもオランダで屈強なDFを相手にし、向き合うことを余儀なくされると、苦手分野がいつの間にか自身の、そして日本の武器になっていた。
プレーだけでなく自分が手本を見せることにとどまらず、アドバイスを送った上田。「別にそんな深い考えはないですよ」と、チーム全体のレベルアップを意識しての行動かと問われたが否定。「(プレーを)見て、啓介がちょっと悩んでそうだなと思ったから、それを打開するきっかけになればいいなと思っているだけです」とシンプルに後輩のためを思っての行動だった。
チームを勝利に導いた2得点と、試合後に後輩と交わした言葉。過酷な代表の最前線を張ってきた者だけが渡せるバトンだった。自身が苦しみながら積み上げてきたノウハウを、後輩の成長のために惜しみなく共有する。ストライカーとしての凄さだけではなく、背番号18がピッチで見せたのは、次の世代へとつなぎ、チームを前進させる「本物のエース」の姿だった。

















