「俺のこと好きか?」練習後に届いた“一本の電話” 翌日に渡独…日本代表が明かす電撃移籍の真相

橋岡大樹はドイツ1部ボルシアMGに加入が決まった
チェコ1部スラヴィア・プラハからドイツ・ブンデスリーガのボルシアMGへの期限付き移籍を果たした日本代表DF橋岡大樹が、「FOOTBALL ZONE」の単独インタビューに応じた。7月下旬に急遽決まったドイツ名門への電撃移籍の舞台裏を明かした。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・井上信太郎/全2回の1回目)
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7月下旬、スラヴィア・プラハのBチームでの練習を終え、自宅に戻る途中に電話が鳴った。
「ダイキ、俺のこと好きか?今から俺が言うこと聞いたら、もっと俺のこと好きになるぞ」
代理人からの思わぬ問いかけに呆気に取られたが、その後に続く言葉を聞くと、その意味を理解した。
「ボルシアMGからオファーがあるけど、どうする?と。もう、すぐ『行く』って伝えました。じゃあ、すぐ荷物をパッキングしろって言われて、次の日に飛んでいました」
翌日に渡独すると、慌ただしくメディカルチェックを受け、ドイツの名門・ボルシアMGへの移籍が正式に決定。期間は1年間の期限付きで、買取オプションも付帯した。
クラブが求めていたのは、センターバック(CB)とサイドバック(SB)を両方高い次元でこなせる即戦力だった。到着早々、いきなり実力を示す場が与えられた。
「CBに怪我人が多いから、明後日の試合でCBやってくれと。合流して1日だけ練習やって、次の日にドイツの3部との試合に臨んで。それが初戦でした」
まさにぶっつけ本番での試合だったが、前日練習の際にチームメートのFW町野修斗に聞いて、試合に出るメンバーの顔と名前を全部叩き込んだ。
「やっぱりDFなんでコミュニケーションが大事なんで、やれることはやろうと。時間はなかったですけど、監督から結構評価は高かったですし、僕自身も出来は良かったなと思いました。記事を見ても監督が高く評価してくれていましたし、要望通りのプレーはできたんじゃないかなと思います」
この試合で信頼をつかむと、一気にスタメン候補に躍り出た。8月15日に行われたイングランド・プレミアリーグのアストンビラとの親善試合では、右サイドバックで先発出場。2-1の勝利に貢献した。
「スタメンに近いメンバーでやって、そこで最初から出してもらったので、その試合に出て勝てたというのはすごい大きいかなと思います。でも自分にとって今回の移籍はラストチャンスだと思っていますし、やっぱり謙虚さというのが本当に大事なんだなというのが、今は分かっているので」
「自信が過信に変わっていた」
2024年1月にプレミアリーグのルートン・タウンに加入し、世界最高峰の舞台を経験した。ノルウェー代表FWアーリング・ハーランドらと対峙し、世界トップの“ものさし”を手にした。常に「自分はできる」と言い聞かせ、挑んできた。だが2025年夏に加入したチェコの名門スラヴィア・プラハでは、ベンチを温める日々が続いた。
「プラハに行った時も『自分は大丈夫、できるだろう』と思っていました。チェコリーグのレベルは分からないままでしたけど、『できるでしょ』という多少の安心感もあった。でも実際に最初は自分のプレーも良くなくて、そのままうまくいかなかった。今思うと、自信が過信に変わっていたのかなと」
恩師から口酸っぱく言われていた言葉がある。浦和レッズの下部組織から指導を受け、トップチームでも一緒に戦った大槻毅氏。ユース時代から常に「謙虚さを忘れるな」と言われていた。今になって、改めてその言葉の意味を噛み締めている。
「それこそ、プロに入って試合に出るようになって、ちょっと分からなくなっていた部分があったんですけど、常に高い位置、場所を見続けろという意味なのかなと。1試合、2試合できたから満足とかではなく、シーズンを通していいプレーをしないと、上には行けない。そういうことを考えながらやると、自然とやっぱり謙虚さが生まれてくるものなのかなと」
だからこそ、日本で過ごしていたこの夏のオフもこれまでとは意識が違った。世間が北中米ワールドカップで沸いていた中、グラウンドで黙々と個人練習をこなした。プラハに戻ってからも、チームの練習に加えて個別練習を課すなど、例年よりコンディションを上げていた。
「いかにフィットした状態でプレシーズンに入っていけるかが自分の課題だなと思っていました。トレーニングを組んでもらって、日本にいる間に2部練習もしていたので。プラハの練習でも体は動くなと感じていました。だからメングラに急遽行く形になりましたけど、フィットした状態で入れたのかなと思っています」
現地時間23日に行われたポカール1回戦のショット・マインツ戦でも右サイドバックで先発出場。前半26分には高い打点のヘディングからチームの2点目をもたらし、5-0の勝利に貢献した。そして、いよいよ、29日にはライプチヒとのブンデス開幕戦を迎える。
「僕はここから一からやらないといけない。ファン、サポーターも僕の名前を全然覚えてもらっていない中で、試合に出まくって活躍して、橋岡という名前を全員に覚えてもらいたい。プラス、本当にいい選手だなってみんなに言わせるぐらいの活躍をしたい。今はもうどんな形であろうが、このチームに入れたことはチャンスなので。どんな位置からでも、下からどんどん抜いて行って、自分が一番活躍してやるという気持ちでいます」
謙虚に、かつ野心的に。ドイツの地で橋岡が再出発を図る。
(2回目へ続く)
(FOOTBALL ZONE編集部・井上信太郎 / Shintaro Inoue)




















