三浦知良が指摘「意味がない」 相手監督は元同僚、43歳差でユニ交換…出番なしも”カズ一色”に

福島は天皇杯2回戦で横浜FMに0-1で敗れた
天皇杯2回戦が8月26日に各地で行われ、J3福島ユナイテッドはJ1の横浜F・マリノスに0-1で敗れた。福島は持ち前のパスサッカーで横浜ゴールに迫ったものの、前半35分にCKから失点。その後は粘り強い守備から同点ゴールを狙ったが届かなかった。1回戦で2得点した59歳FWカズ(三浦知良)はベンチ入りしたものの出番はなかった。
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「試合に出られなかったので悔しい」。試合後、カズはJ3では経験することのない広い取材エリアで30人近いメディアに囲まれて言った。「41年前にブラジルでプロになったころから、試合に出たいという思いは変わりません」と残念そうに話した。
背番号11のビブスを付けてベンチに座っていても、カズの試合だった。キックオフ前にはスタンドに向かって何度も手を振り歓声に応えた。選手紹介で名前が呼ばれると、横浜サポーターからも拍手が響いた。生中継されたNHKのBSでは、何度もベンチの姿が映し出された。
先月25日の福島県代表決定戦では右クロスを右足で合わせて4年ぶりの公式戦ゴール。19日の1回戦ではPKで2得点した。リーグ戦の遠征を回避して「カップ戦要員」としてコンディションを整えてこの試合に臨んだ。しかし、出場は叶わなかった。
もちろん、ベンチ入りするのは出場を想定してのこと。寺田監督は「カズさんを起用するプランもあったけれど、そういう展開にならなかった」と説明した。1点を追った後半、リーグ戦でプレーするレギュラー組を次々と投入。前半にFW藤田仁朗が負傷交代したことも影響したのかもしれない。
試合では福島らしさを出した。寺田監督が標榜する細かいパスで中央突破を狙うポゼッションサッカー。「格上」相手にボールを握り、テンポよく攻め込む場面も少なくなかった。「福島らしさは見せられたのではないかと思います」と、カズは振り返った。
もっとも、寺田監督やチームが目指した3回戦進出はならなかった。「リーグ戦も同じだけれど、いくら内容が良くても勝たなければ意味がない」とカズ。J2昇格を目指すリーグ戦では3試合連続先制しながら逆転負け。この日の試合を合わせて「勝つこと」の大切さを強調した。
試合に敗れ自身も出場なし。それでも、集まったファンやメディアのために「見せ場」を作った。試合前には05年にオーストラリアAリーグのシドニーFCでチームメートだった横浜FMのスティーブ・コリカと抱き合った再会を喜び、試合後には横浜FMの16歳・三井寺真と43歳差のユニホーム交換もした。
出たかった試合であったことは間違いない。横浜は93年のJリーグ開幕戦でカズのヴェルディ川崎と対戦したライバル。読売クラブと日産時代の1991年、92年と天皇杯決勝で敗れ、横浜FC時代には3回も天皇杯で敗れている。「名門だし、何回も負けているチーム。楽しみです」とも話していた。
日産スタジアムでの試合も心待ちにしていた。2得点したホームの1回戦は観客566人。この日は平日ナイターでリーグ戦でもなかったとはいえ7327人が集まった。多くのファンの応援は、カズが現役を続ける原動力でもある。43歳差の三井寺と同じピッチに立ちたい思いもあった。「一緒にプレーできれば良かったけれど」と少し寂しそうにも言った。
悔しさはあるものの、引きづることはない。「試合後に少し走ったら忘れました。切り替えは早いので」。出場できなかったことを監督や周囲のせいにすることもない。「矢印を自分に向けて、しっかりとやっていきたい」とも話した。福島入りしてから繰り返してきた「もっとアピールしないと」。寺田監督のサッカーを理解し、それに応えるプレーをする。練習から全力でプレーすることが59歳を支えている。
最大の目標は「チームのJ2昇格」。そのために、チームの一員として最大の努力を続ける。「中2日、すぐにリーグ戦があるので、しっかりと準備をしたい」。ベンチ入りできるか、出場機会があるかは分からない。それでも、カズは全力で走り続ける。
荻島弘一
おぎしま・ひろかず/1960年生まれ。大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。スポーツ部記者として五輪競技を担当。サッカーは日本リーグ時代からJリーグ発足、日本代表などを取材する。同部デスク、出版社編集長を経て、06年から編集委員として現場に復帰。20年に同新聞社を退社。



















