J未経験→5大リーグ「新しい成り上がり」 高卒、即海外も大躍進…3アシストに代表OBも衝撃「精度が高い」

フランクフルトの小杉啓太【写真:アフロ】
フランクフルトの小杉啓太【写真:アフロ】

【専門家の目|太田宏介】フランクフルトのDF小杉啓太がデビュー戦で3アシスト

 ドイツ1部フランクフルトのDF小杉啓太が現地時間8月21日に行われたDFBポカール1回戦のザンクト・トゥーニス戦に先発フル出場を果たし、デビュー戦でいきなり3アシストを記録した。20歳の若きサイドバックに対し、同じ左利きの左SBとして元日本代表の太田宏介氏が熱い視線を送っている。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部)

【PR】DAZNを半額で視聴可能な学生向け「ABEMA de DAZN 学割プラン」が新登場!

   ◇   ◇   ◇

 チャンスを一発で掴み取った。昨季途中にスウェーデン1部ユールゴーデンからフランクフルトに加入した小杉。加入当初はベンチ入りをしていたものの、終盤は11試合連続でベンチ外となりシーズンを終えていた。

 しかしアドルフ・ヒュッター新監督の就任に伴い序列を覆した。プレシーズンでアピールに成功すると、ポカール1回戦でいきなり3アシストを記録した。太田氏が小杉のプレーで最も感銘を受けたのは、相手を押し込んだ状態で見せた「クロスワークの質の高さ」だった。

「基本的にボールを持ってトラップして『さあ上げよう』っていうクロスっていうよりも、走りながらのクロスの精度が高いなと思ってて」と太田氏は分析。トップスピードを維持したまま、ピンポイントで味方の頭や足元へ届ける技術が高く、「ブルカルトのようなブンデスを代表する強烈なストライカーがいるのもサイドの選手からしたらすごく大事。とにかくどんどん供給して、そこでのホットラインを形成していきたところですね」と、昨季チームで公式戦15ゴールを決めたストライカーとの相乗効果に期待を寄せた。

 海外で戦う選手にとって、指導者との相性や巡り合わせは時にキャリアを大きく左右する。昨シーズンの出場機会に恵まれない時期を経て、新たな指揮の下で力を認められた現状について、太田氏は「やっぱりこういう巡り合わせってすごく重要。力を見出してくれて使ってもらえていることが、今後ものすごく活きると思う」と語る。

 さらに、左サイドバックとして攻撃的に高い位置へ潜り込んでいく小杉のスタイルに対し、「結構守備よりも攻撃参加を特徴としてる選手だと思うし、持ち方とか見てても『あー、めっちゃわかる』みたいな(笑)。自分と同じポジションの選手は気になるし、高いレベルのなかで今後も活躍してほしい」と、同じプレースタイルを持つ先輩として深い共感を口にした。

 小杉の凄みはプレースタイルだけではない。高校卒業後、Jリーグを経由せずにスウェーデンへ渡り、わずか1年半で5大リーグ移籍と異例のキャリアを歩んでいる点だ。

「小杉選手は、今までのキャリアがすごいじゃないですか。まだ20歳だけど、自分でスウェーデンから這い上がってきて、フランクフルトである程度の移籍金で行ってるわけで。新しい成り上がり方をまた違った形で見せてくれている」と、従来のステップアップとは一線を画す「新たな成功モデル」として注目している。

 開幕スタメンを引き寄せた20歳DF。ベンチ温存が続いた不遇の昨シーズンを乗り越え、チャンスを一発で掴み取った

 今週末に控えるウニオン・ベルリンとの開幕戦をはじめ、激しいプレッシャーをかけてくる相手に対しても「ガチッとはまって仕掛けていく姿勢をすごく楽しみにしてる」と語る太田氏。20歳の小杉啓太がヨーロッパの最高峰でどのようにピッチを躍動し、自分の価値を証明していくのか、新たな挑戦から目が離せない。

page1 page2

太田宏介

太田宏介(おおた・こうすけ)/1987年7月23日生まれ。東京都出身。FC町田―麻布大学附属渕野辺高―横浜FC―清水エスパルス―FC東京―フィテッセ(オランダ)―FC東京―名古屋―パース・グローリー(オーストラリア)―町田。Jリーグ通算348試合11得点、日本代表通算7試合0得点。左足から繰り出す高精度のキックで、攻撃的サイドバックとして活躍した。明るいキャラクターと豊富な経験を生かし、引退後は出身地のJクラブ町田のアンバサダーに就任。全国各地で無償のサッカー教室を開校するなど、現在は事業を通しサッカー界への“恩返し”を行っている。

今、あなたにオススメ

トレンド

ランキング