“非エリート”からの躍進「センスを感じる」 代表OBが期待…23歳日本人の一撃が「天才肌のタイミング」

ゲンクの横山歩夢【写真:Belga Image/アフロ】
ゲンクの横山歩夢【写真:Belga Image/アフロ】

【専門家の目|太田宏介】ゲンクMF横山歩夢が前節のアシストに続き初ゴール

 ベルギー1部ゲンクは現地時間8月22日にリーグ第3節でアントワープと敵地で対戦し4-4のドローで終わった。ゲンクのMF横山歩夢が今季初ゴールを決めたなか、元日本代表DFの太田宏介氏は、横山が見せたGKのタイミングを外す天才的なシュート技術と、下位カテゴリーから欧州へ躍進したキャリアの価値について語った。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部)

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 23歳がベルギー着実な成長を見せている。昨年2月に同クラブへ加入した横山はリザーブチームでプレー。完全移籍となった昨季は主にリザーブチームで経験を積みながら、シーズン終盤のプレーオフでトップチームデビューを果たした。

 そして今季はスタートからトップに在籍し、開幕戦で途中出場を果たす。そして前節はスタメン起用されるとPK誘発にアシストと結果を残し、今節もスタメン出場となった。後半12分、味方が右サイドからエリア内でドリブルを仕掛けて横にパスを送ると、これがファーサイドでフリーになっていた横山へと渡った。横山はGK野澤大志ブランドンの動きを冷静に見極め、ワントラップ後に右足のシュートを流し込んだ。

 チーム内での熾烈な定着争いを経て、直近2試合でスタメン出場を果たしている横山。太田氏は「彼のスピードであったり、カットインからのシュート、裏抜けみたいなところっていうのが、やっとゲームの中で出てきている」と、その順応ぶりに目を細める。

 その進化が凝縮されていたのが、野澤から奪った圧巻のゴールシーンだ。寄せてくるGKに対し、あえて溜めを作って間合いを外すゴール前での冷静さが光った。太田氏は「さりげない得点ですけど、トラップしてからの独特なタイミングというか。キーパーが寄せてくるなかでの、天才肌というか、ああいうタイミングで打てる選手はすごい。キーパーのタイミングをずらす独特のタッチには、すごくセンスを感じました」と、元DF目線でそのシュート技術を絶賛した。

 欧州の厳しい環境で生き残るため、横山がピッチ上での立ち振る舞いにも変化が見られると太田氏は指摘する。

「試合の中で、周りの選手たちに主張する回数が多く見えるようになってきて。しっかりと自分の力でポジションを確保してきてのこのゴールなので、すごく大きかったと思います」

 横山の躍進は、日本のサッカー界にとっても非常に大きな意味を持つ。若くしてエリート街道を歩んできた選手ばかりではない中、J3、J2と下位カテゴリーでの活躍からステップアップを重ね、23歳にして欧州名門クラブの左サイドを担う存在となった。

「横山選手は、決してエリートではない中から這い上がってきて、こんな短期間で今やゲンクの左サイドを担っている。若い選手とか、今のJ2、J3でプレーする選手たちにとってもすごく分かりやすい指標になると思うんですよね」

 同クラブに在籍する日本代表MF伊東純也をはじめ、日本人選手同士が高め合える環境も追い風だ。「分かり合える仲間がいて、それぞれが高め合って結果を残すっていうのはすごく模範的」と太田氏が語る通り、最高のお手本が身近にいる環境も成長を後押ししている。

 日本代表の左サイドには三笘薫や中村敬斗を筆頭に、同じような強みを持つライバルが多い。そのアタッカー陣の中で、ここから抜け出すために求められるのはずば抜けた結果だ。

 太田氏も「23歳、これからまだまだ伸びる。ゲンクでシーズン通して出場して、得点やアシストのところを残していってほしい。結果を出していれば、代表も自ずと見えてくる」と大きな期待を寄せる。

「非エリート」から自らの足で掴み取った欧州での現在地。脂が乗り始めた23歳のスピードスターが、ここからさらに高みへと駆け上がっていく姿を楽しみに見守りたい。

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太田宏介

太田宏介(おおた・こうすけ)/1987年7月23日生まれ。東京都出身。FC町田―麻布大学附属渕野辺高―横浜FC―清水エスパルス―FC東京―フィテッセ(オランダ)―FC東京―名古屋―パース・グローリー(オーストラリア)―町田。Jリーグ通算348試合11得点、日本代表通算7試合0得点。左足から繰り出す高精度のキックで、攻撃的サイドバックとして活躍した。明るいキャラクターと豊富な経験を生かし、引退後は出身地のJクラブ町田のアンバサダーに就任。全国各地で無償のサッカー教室を開校するなど、現在は事業を通しサッカー界への“恩返し”を行っている。

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