欧州名門移籍…日本人19歳は「先発に相応しい」 現地記者絶賛「卓越したボール捌き」

バレンシアの佐藤龍之介【写真:REX/アフロ】
バレンシアの佐藤龍之介【写真:REX/アフロ】

バレンシア佐藤龍之介に現地記者「非常に頼もしい選手が加入してくれた」

 スペイン1部バレンシアのMF佐藤龍之介が8月22日、ホームで行われた2026-27シーズンのラ・リーガ開幕戦でスタメン入りし、バレンシアでの公式戦デビューを飾った。

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 佐藤は今年7月、FC東京から移籍金400万ユーロ(約7億4000万円)の5年契約でバレンシアに加入した。当初、獲得理由の一つとして、日本市場を意識したものという見方もあった。しかし、加入から1か月半が経った今、現地でそのような印象を持っている者はいないだろう。さらに、ここまでに補強した4選手のなかで唯一移籍金を支払って獲得した選手であることから、クラブが将来性を大いに期待していることは間違いない。

 バレンシアのトップチーム史上初の日本人選手(※Bチームには過去、FW指宿洋史が所属)となった佐藤は、プレシーズンマッチ初戦でゴールを決め、すぐさまカルロス・コルベラン監督やサポーターの信頼を勝ち取り、6試合2ゴール3アシストという好成績を残し、開幕スタメン入りを果たした。

 佐藤のラ・リーガデビューの舞台となったホームスタジアムのメスタージャは、奇しくもMF久保建英が7年前の2019年9月1日にラ・リーガデビューを達成した場所でもある。

 プリメーラデビューとなったセルタ戦(0-0)、佐藤はプレシーズンの終盤同様、5-3-2の2トップの一角で起用された。右寄りでプレーし、ピッチを動き回りながらディフェンスラインの背後を狙い、ときに中盤まで下がって味方と連携するなど、バレンシアで数少ない得点への意識を強く感じさせる選手であった。さらに守備意識も高く、その献身ぶりから、後半12分にFWウマル・サディクと交代する際、サポーターからコルベラン監督に対してブーイングが起こったことは、佐藤に大きな希望を見出していることの証と言える。

 佐藤は試合後、「目標にしていた舞台にスタメンで出られたことを幸せに思う」とスペインデビューの喜びを語りつつも、「サポーターを満足させるのは結果しかない」とホームで勝利できなかった悔しさを口にした。さらに、日本のサッカーとの違いについては、「スペインの方がより、ずる賢さやしたたかさがある」と見解を述べた。

ヘルマン・ムニョス記者【写真:高橋智行】
ヘルマン・ムニョス記者【写真:高橋智行】

現地ではポジティブな印象を持たれている佐藤龍之介

 佐藤は現地でかなりポジティブな印象を持たれており、開幕戦の取材に訪れたバレンシアの地元メディア「スーペルデポルテ」のヘルマン・ムニョス記者も同じように感じていた。

「ラ・リーガデビュー戦にしては、かなり良い出来だったと思う。実際、チームのために多くのチャンスを作り出した選手の1人だった。この街やクラブに馴染むにはまだ時間がかかりそうだけど、プレーの質を高めていくために、もっと試合に出場して実践経験を積む必要がある。

 あの若さにもかかわらず、非常に優れた選手だという情報が日本から伝わってきていたので、個人的に私も彼に大きな期待を抱いている。ここバレンシアでも、例えばタケ・クボのようなスタイルの選手になってくれることが大いに期待されているよ。まだ19歳と非常に若いが、バレンシアに変化をもたらしてくれるという大きな希望を感じさせる選手だ」

 佐藤は開幕スタメンデビューを成し遂げたが、ムニョス記者はチームの戦力を考慮し、当面はこの状況が続くと考えている。

「バレンシアはまだ多くの補強を必要としているが、現時点で佐藤はレギュラーの座を勝ち取っていると言えるだろう。プレシーズンマッチで非常に良いパフォーマンスを見せ、ゴールも決めていたので、スタメン入りに値する。今後どうなるかは残りわずかとなった移籍市場の状況次第になるかもしれないし、ウインガーを探しているという話もあるので、結論づけるのはまだ早い。それでも今、佐藤は間違いなく先発の座に相応しいと思う」

 佐藤の持ち味の一つとしてポリバレントな能力が評価されており、プレシーズン中、コルベラン監督にさまざまなポジションでテストされていたが、ムニョス記者はサイドでのプレーが最も適していると分析している。

「トップ下でもプレーしていたが、ドリブルで相手と対峙するのが好きな選手だと感じたので、ウイングがベストポジションだと思う。ボール扱いがとても巧いので、臆することなくもっと大胆にプレーしていくべきだ。とはいえ、まずは新しい国、新しい街での生活に徐々に慣れていくことが先決だろう。今後、さらに成長していくと思うし、私はサイドでプレーするのがベストだと思うが、彼のテクニックならトップ下でも十分に活躍できるはずだ。

 私は彼の能力のなかでも特に、卓越したボール捌きを評価している。今のバレンシアには彼のようなスタイルの選手がいないため、一味違うプレーを見せてくれることを期待しているし、バレンシアにとって非常に頼もしい選手が加入してくれたと思っている」

 ムニョス記者は最後に、改めて佐藤がスペインで飛躍を遂げるために必要な要素を語ってくれた。

「先ほども話したが、まずはバレンシアでの環境やチームに馴染み足場を固めること、自分の今の立ち位置を理解し、少しずつ自信や経験を積み重ね、より多くの出場時間を確保することが大切となる。新しい国や初めての街に順応している最中の彼に対し、我々は皆、もう少し忍耐強く接する必要があると思う。それによって彼はより大きく成長する機会を得られるはずだから」

 スペインでの初陣は勝利で飾れなかったものの、佐藤のプレシーズンからここまでの歩みは上出来と言えるだろう。今夏のワールドカップで優勝を成し遂げたサッカー先進国のクラブへ移籍し、わずか1か月半でしっかりと存在感を示しながら進み始めている。今季どのような成長を遂げるのか、その活躍を期待したい。

(高橋智行 / Tomoyuki Takahashi)



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高橋智行

たかはし・ともゆき/茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、スペインリーグを中心としたメディアの仕事に携わっている。

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