驚いた元同僚の「日本代表になります」 名門TDが描く未来…誓う完全復活「チャンスを絶対に逃したくない」

ジェフユナイテッド市原・千葉の大久保裕樹TD【写真:クラブ提供】
ジェフユナイテッド市原・千葉の大久保裕樹TD【写真:クラブ提供】

千葉の大久保裕樹TDが思い描くクラブの未来を語った

 17年ぶりのJ1の舞台で躍動し、名門復活へと歩みを進めるジェフユナイテッド市原・千葉。大久保裕樹テクニカルディレクター(TD)のインタビュー連載も、今回が最終回となる第6回。最後のテーマは、かつて数多くの日本代表を輩出してきた「名門ジェフの完全復活」だ。かつてのチームメイトである前田大然の“有言実行”から得た気づきと、地元・千葉のポテンシャルを活かしたクラブの未来への決意について聞いた。

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 北中米ワールドカップ(W杯)でブラジルに敗れてベスト32にとどまった日本代表。周知の通り、森保一監督が2027年アジアカップ(サウジアラビア)まで半年間続投し、その後をU-21日本代表の大岩剛監督が引き継ぐことが決まっている。

 今回のW杯にはジェフ在籍経験者、もしくはアカデミー出身者はいなかった。98年フランス大会に参戦した中西永輔を筆頭に、2006年ドイツ大会の巻誠一郎、アカデミー出身の2010年南アフリカ大会の阿部勇樹(浦和ユース監督)らを送り出している「オリジナル10」の名門にしてみれば、少し寂しい状況と言えるのではないか。

 古い世代から見ると、ジェフは阿部のみならず、山口智(U-19日本代表監督)、佐藤勇人(クラブユナイテッドオフィサー)・寿人(解説者)兄弟ら日本代表選手を続々と送り出していたチームだったが、いつしかその印象が薄まっていった。だからこそ、今後は傑出したタレントを輩出していかなければならない。それはチームの悲願に他ならないはずだ。

「僕が新人Jリーガーだった20数年前に比べると、日本人選手のプロ意識は比べものにならないくらい高いと思います。それは今、海外でプレーしている日本代表選手を見ればよく分かります。体のケアのために個人トレーナーをつけ、食事面もシェフを雇ったりするなど、自分の価値を高めるための努力を惜しまない。考え方もしっかりしていますし、本当に尊敬に値します」

 そんななか、大久保TDは直接関わりのあった選手として、松本山雅FCからプロ生活を始めた前田大然(イプスウィッチ)の名前を挙げた。大久保TDが松本でのラストシーズンだった2015年に練習生として加入したため、一緒にプレーしたのは「わずかな時間」だった。それでもグングン伸びていく選手を目の当たりにし、学ぶことが少なくなかったという。

「当時の印象は『とにかくメチャクチャ速い』という感じ(笑)。一緒に走り始めたら、こっちが肉離れするくらいの爆発的な速さでした。その大然が、入団会見で『日本代表になります』と宣言したことはよく覚えていますし、『おー、すごいことを言うな』と思ったのも事実です(笑)。

 最初のシーズンは僕がジェフに移籍した後だったので、全てを追っていたわけではないけど、そこまで試合には出られなかったと思います。でもその翌年の2017年に水戸ホーリーホックにレンタル移籍してブレークして、その後、海外へ行きましたよね。マリノスに戻ってきてからは得点王を取り、セルティックに移籍して、本当に代表に定着したし、W杯もつかんだ。その意識の高さには驚かされました」

「日本代表になります」という発言は誰にでもできるが、それを実行するためには大きな責任と覚悟が必要になる。1年365日をサッカーに捧げるくらいの覚悟は当然求められるし、際限なく上を突き詰めていくだけの野心と意欲も持ち合わせていなければならない。名門・ジェフの選手たちが揃ってそういう基準に達すれば、近い将来の代表・W杯選手輩出は夢ではないかもしれないのだ。

「僕は千葉出身ですけど、千葉はサッカーが盛んですし、いい選手もたくさんいます。僕の母校である市船もありますし、市船からは今回のW杯メンバーだった鈴木唯人(フライブルク)のような人材も出ています。それ以外の高校も強いし、ジュニアユース・ジュニア年代もサッカー熱が高いと思うので、優れた才能をジェフで大きく伸ばしたいという思いは強いです。

 アカデミーに関しては、2024年から本田(将也)アカデミーダイレクターが就任して以降、さまざまな基準が上がっていますし、いい方向に進んでいるという実感があります。今回J1に復帰し、より多くの人々、子供たちも含めてジェフに関心を持ってもらえる機会が増えると思います。そのチャンスを絶対に逃したくない。どんどん地域を巻き込んで、成長を続けていけるようにしたいです」

 こう力を込めた大久保TD。ジェフにはそれだけのポテンシャルがある。フクダ電子アリーナにユナイテッドパークといった施設面はJリーグ屈指であるし、アクセス面も悪くない。人口減が課題になっている地方クラブとは異なり、ジェフは優秀な人材を集められるだけの基盤も伝統もある。それを最大限生かし、グングン飛躍できれば理想的だ。

 大久保TDにはその旗振り役として、持てる力を注ぎ込んでほしいところである。

(元川悦子 / Etsuko Motokawa)



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元川悦子

もとかわ・えつこ/1967年、長野県松本市生まれ。千葉大学法経学部卒業後、業界紙、夕刊紙記者を経て、94年からフリーに転身。サッカーの取材を始める。日本代表は97年から本格的に追い始め、練習は非公開でも通って選手のコメントを取り、アウェー戦もほぼ現地取材。ワールドカップは94年アメリカ大会から8回連続で現地へ赴いた。近年はほかのスポーツや経済界などで活躍する人物のドキュメンタリー取材も手掛ける。著書に「僕らがサッカーボーイズだった頃1~4」(カンゼン)など。

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