たった3人の練習から10年「本当にプロか」 3年連続の“得意舞台”…不屈の男が決めた値千金弾

FC東京の高宇洋が後半27分に華麗なボレー弾を決めた
FC東京MF高宇洋が8月21日、MUFGスタジアム(国立競技場)で行われたJ1リーグ第3節ジェフユナイテッド千葉戦で決勝ゴールを決めた。後半27分にボレーを叩きつけて今季初ゴールで先制。なかなかゴールが割れない苦しい展開で救世主となった。プロ10年目。不屈の男が得意の舞台で輝いた。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小杉舞)
◇ ◇ ◇
何度も見た光景が広がっていた。平日にもかかわらず5万人以上が駆けつけた国立のスタンド。後半27分、高の一撃で打開した。コーナーキックからの流れでこぼれ球が高の元へ。信じて右足を振り抜いた。高く跳ね上がったボールを叩きつけたボレーがネットに刺さり、先制。大観衆を沸かせた。
「前半いいところで決められていなかったので、ひとつ決められてよかった。去年、百年構想リーグを含めてボランチが得点に関わることが少なかった。この3戦目で取れたというのは良かった」
自信があった。舞台は国立。24年の名古屋グランパス戦、25年のガンバ大阪戦でも決めた得意のスタジアムだった。「なんかいつも国立は決められるんですよね」。開幕から2試合1分1敗の未勝利で迎え、どうしても欲しかった白星。自らの手で引き寄せた。
「前節を含めて、内容のところもみんな手応えを感じている部分がありながら勝ち点3が取れていなかった。ここで勝ち点3を必ず取るというみんなの強い意識があったので、勝てて良かった」
プロ10年目。名門・市立船橋高校からガンバ大阪に入団し、第1歩を踏んだ。鳴り物入りでプロの戸を叩いたが、現実は甘くなかった。当時の主戦場はJ3のU-23。チーム立ち上げ当初はトップチームとの兼ね合いもあり、たった3人で練習していた。練習場もジプシー生活。自ら自家用車を運転して「本当にプロなのか」という日々を過ごした。それでも、U-23の宮本恒靖監督(現・日本サッカー協会会長)に徹底的に叩き込まれのが守備。プロ生活10年を続けられる土台を築き上げた。何度も挫けそうになった。でも、苦しかった“原点”が高を奮い立たせた。
百年構想リーグでは、負傷もあり9試合の出場にとどまった。オフシーズンに自分を見つめ直して、筋トレを増やした。「目の前の試合というより、ちょっと先を見ながら身体を追い込んだ」。2026-27シーズンの開幕からは3試合連続で先発。ゴールを引き寄せた要因の1つだった。だが、まだ3試合。チームとしても未完成だ。「前半で決めきる、試合を決めるぐらいの決定力をもっとつけていかないと」。目指すのは先。頼もしい背番号8が導くはずだ。



















