飛び交った「時代遅れではないか」 17年ぶりJ1で苦戦も…果たすべき“使命”「裏切らない集団を」

千葉の大久保裕樹TDが百年構想リーグでの数字を分析
2026年J1百年構想リーグ20位という立ち位置から”チャレンジャー”として26-27シーズンJ1に挑んでいるジェフユナイテッド市原・千葉。8月8日の初戦・サンフレッチェ広島戦、15日のホーム開幕戦・FC町田セルビア戦の序盤2戦は連敗スタートを強いられたものの、本当の戦いはここからだ。
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百年構想リーグEASTの18試合を振り返ると、ジェフの総得点は18、総失点が31。総得点はWESTを含む20チームではアビスパ福岡の17に次いで2番目に少ない。総失点は水戸ホーリーホックの35に次ぐワースト2位という成績。今季を戦い抜くうえで、どちらも改善は必須と言っていい。
ただ、違った角度から見ると、EAST5位・最終順位が10位だった東京ヴェルディは総得点19、総失点25。「ジェフはそんなに数字的には変わらない」ということになる。そのあたりを大久保裕樹TDはどう見ているのか。
「ヴェルディとの差は大事なところで守り切れない、大事なところで点を取り切れないということに尽きると思います。差はそれほど大きくないように見えますけど、そこの違いはやはり大きいですね」と彼は神妙な面持ちで言う。
同じオリジナル10の東京Vも千葉同様、15年間もJ2での戦いを強いられてきたチームだ。彼らは2024年に一足早く最高峰リーグ復帰を果たし、初年度から6位に躍進。2025年は2年目のジンクスもあって苦戦を強いられたが、何とか17位で残留し、J1での一定の地位を築きつつある印象だ。今季から再びJ1に戻ってきた千葉にとってはいいお手本になるはずだ。
「ヴェルディの城福(浩)監督はJ1経験豊富な指揮官ですけど、我々の小林慶行監督はまだJ1経験がない。今季が初めての挑戦になります。多くの選手と同じようにJ1で勝ち切るためには何が必要なのか、勝負の際の部分をご自身も経験しながら、見極めを進めているところだと思います」と大久保TDも指揮官の進化に大きな期待を寄せている。
開幕直前に4バックから3バックへシフトしたことも、小林監督なりの最適解なのだろう。巷では「(百年構想リーグまでの右サイドバック=SBだった)高橋壱晟が開幕直前にヴィッセル神戸へ移籍したから、苦肉の策で3枚に変えたのだろう」という見方もされているが、大久保TDは違った見方をしているという。
「8月1日のちばぎんカップで3バックにトライした時は多くの人が驚いたかもしれませんが、壱晟が抜けただけではなく、SBの選手がケガをしていたこともあって、小林監督が布陣変更を決断しました。開幕の広島、第2節の町田もそうですけど、J1は3-4-3をベースにしているチームも多いですし、その相手にどう挑んでいくべきかを考えた時、我々も3バックができた方がいい。それをあの試合で試せたので、本番でも使うことができた。僕自身はすごくポジティブに捉えています」
2026年北中米ワールドカップ(W杯)で4バックをベースにしていたスペイン、アルゼンチン、イングランド、フランスといった国々が上位を独占したこともあり、「3バックは時代遅れではないか」といった意見も飛び交った。
けれども、J1を見ると、千葉が開幕2節で対峙した2チームに加え、水戸、柏レイソル、東京V、名古屋グランパス、セレッソ大阪、ファジアーノ岡山、福岡、V・ファーレン長崎の合計10チームが3バックを採用。可変スタイルを導入しているチームも含めれば、かなりのチームが3枚で戦っていることになる。
その現状を踏まえると、千葉が4枚と3枚を臨機応変に使い分けていくことは生き残りに向けて必要な要素かもしれない。
「小林監督は3枚でも4枚でも戦えるという認識は持っていると思いますし、さまざまなシチュエーションに応じて選択肢を持つことは非常に大切です。夏開幕に移行したJリーグは暑さとの戦いもありますし、ベストな方向性をその都度、見出していかなければいけない。僕自身も強化のトップとして最大限のサポートをしていくつもりです。
自分は今、現場をどう強化していくかという一番重要な役割を託していただいている。17年ぶりのJ1でその期待に応えられるようなチーム作りをするのが、自分の使命なんです」
こう語気を強める大久保TD。彼は「強化トップとしての理想像」というのは特に持ち合わせていないという。Jリーグの30年以上の歴史をひも解くと、長く強化で成功してきた鹿島の鈴木満アドバイザー、柏や清水、名古屋で手腕を振るった久米一正氏(故人)のようなカリスマ強化担当がいたが、大久保TDは偉大な先人にリスペクトを払いつつも、「ジェフに関わる人々を幸せにしたい」という一心で職務に励んでいく構えだ。
「自分がJリーグ全体の強化の中でかなり若い方だというのも分かっていますし、J1の強化トップでは最年少かもしれない。その若さも生かしながら、泥臭く粘り強く戦うという部分だけは絶対に裏切らない集団を作ります。そこはジェフの根底でもあり、僕自身のベースでもある。それだけは忘れちゃいけない。これからを楽しみに見守ってください」
爽やかな笑顔をのぞかせた大久保TDは”ジェフ躍進請負人”になれるのか。ここからの戦いを冷静に見守っていきたいところだ。(3に続く)
(元川悦子 / Etsuko Motokawa)

元川悦子
もとかわ・えつこ/1967年、長野県松本市生まれ。千葉大学法経学部卒業後、業界紙、夕刊紙記者を経て、94年からフリーに転身。サッカーの取材を始める。日本代表は97年から本格的に追い始め、練習は非公開でも通って選手のコメントを取り、アウェー戦もほぼ現地取材。ワールドカップは94年アメリカ大会から8回連続で現地へ赴いた。近年はほかのスポーツや経済界などで活躍する人物のドキュメンタリー取材も手掛ける。著書に「僕らがサッカーボーイズだった頃1~4」(カンゼン)など。





















