ネイマールは「今までと全然違う」 闘莉王が分析…“王国”ブラジルの弱点「日本はそこを突ける」

インタビューに応じた闘莉王氏【写真:FOOTBALL ZONE編集部】
インタビューに応じた闘莉王氏【写真:FOOTBALL ZONE編集部】

闘莉王氏がインタビューに応じた

 森保一監督率いる日本代表(FIFAランク17位)は現地時間6月29日、アメリカ・テキサス州ヒューストン・スタジアムで行われるFIFA北中米ワールドカップ(W杯)ラウンド32でブラジル代表(同5位)と対戦する。大一番を前に、元日本代表DF田中マルクス闘莉王氏が「FOOTBALL ZONE」のインタビューに応じた。W杯の決勝トーナメントで優勝5回の“王国”と激突。自身のルーツであるブラジルとの対戦をどう見ているのか。勝機とキーマンについて分析した。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小杉舞)

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「個人的にずっと望んでいた対戦ですよ。自分の中で、歴史が変わる一戦になるという予感がしています」

 運命のブラジル戦を前に、闘莉王氏の口調は熱を帯びた。日本はオランダ、チュニジア、スウェーデンと戦ったグループステージ(GS)を1勝2分の2位で通過し、ラウンド32に進出。オランダには2度リードを奪われたり、勝ち点3を奪いにきたスウェーデンの猛攻にあったりと流れが悪い時間も跳ね返して、2002年の日韓W杯以来、24年ぶりに無敗で勝ち上がった。

「期待されていた中で、1試合も落とさずに勝ち上がった。苦しい展開もありながらも乗り越えてきている。今大会だけではなく、次のW杯につながることができると思っています」

 特に14日のオランダ戦(2-2)で同点弾を挙げたMF中村敬斗に注目。20日のチュニジア戦(4-0)ではMF鎌田大地の先制ゴールをアシスト。3試合連続で先発出場し、一気にブレイクした。闘莉王氏は「素晴らしい活躍を見せた。3試合でコンスタントに脅威になっていた」と称賛。さらに、チュニジア戦で先発出場し“完封”に貢献したDF冨安健洋も「素晴らしい。全体で素晴らしいパフォーマンスを見せることができている」と、センターバック(CB)の後輩を褒め称えた。

 ブラジルとW杯での対戦は2度目。2006年ドイツW杯では1-4で惨敗した。あれから20年。今のセレソン(ブラジル代表の愛称)に漂うプレッシャーを分析した。

「当時はロナウジーニョやロナウドらスーパースターが揃った本物の優勝候補だった。それに比べたら、今のブラジルは全く違う。最近の彼らはビッグタイトルから遠ざかっているから、逆にプレッシャーを強く感じているはず。決勝トーナメントに入ってからのパフォーマンスも大会ごとに変わっている」

 王国を相手にしても、自分たちのリズムを失わずに戦えるかが勝負の分かれ目。闘将は、今回の対戦において日本の勝機を大きく左右すると見ているのが、かつて何度も日本の前に立ちはだかってきた絶対的エースの存在だ。

 FWネイマールは過去の対戦で計9得点している文字通りの「日本キラー」。ピッチに立てば一瞬で流れを変える異次元の天才だ。サントスで頭角を現し、バルセロナやパリ・サンジェルマン(PSG)のメガクラブでキャリアを極めてきた。卓越したステップ、一瞬の加速、そしてゴール前での圧倒的な冷静さは、ブラジル代表の象徴。しかし、近年の相次ぐ負傷離脱やコンディション低下は否めず、カルロ・アンチェロッティ監督率いる今大会でも、負傷により開幕からは出遅れた。GS第3節スコットランド戦で約2年半ぶりに代表復帰。日本戦前に出番を得た。

「それでも、今までのネイマールとは全然違います。もう誰もが止められないネイマールではない。日本との一戦に出てくるかどうかも分からないぐらいのコンディションですね」

 今大会、ブラジルがGSで挙げた7得点はFWヴィニシウス・ジュニオール(4点)やFWマテウス・クーニャ(3点)。特に左サイドから仕掛けてくるヴィニシウスには最新の注意を払わなければいけない。

「日本の右サイドは特に警戒しないといけないですね。ヴィニシウスにいい形でボールが入った時の仕掛けは要注意。そこ(日本の右)のサイドに来ることはわかっている。センターバックとウイングバックで対応することが大事。冨安選手と堂安選手の守備的負担も大きくなると思います」

 ヴィニシウスのシャットアウトを任される冨安こそ「キーマン」という。アーセナル時代には世界最高峰のプレミアリーグで数々のスターと対峙してきた実績がある。対人守備の強さはワールドクラス。そこに、前線からプレスバックして泥臭く守備奔走する堂安が加わり、2人のユニットでヴィニシウス“包囲網”を作り上げる。

 一方で攻撃陣も付け入る隙はある。アーセナルのガブリエウ・マガリャンイスとPSGのマルキーニョスが為す最終ラインは強固。だが、「真ん中(CB)はとにかく硬い。だからこそ中央ではなく、サイドから仕掛けた方がカウンターのリスクも軽減できるはず。ブラジルは両サイドバックに不安がある。日本はそこを突けます」とポイントを挙げた。

 森保ジャパンが“王国”を倒すために最も必要なのは「ブラジルの戦いに合わせないこと」だという。時間帯によって慌てず、試合巧者として自分たちのリズムを失わない。その意識は森保ジャパンにも浸透している。乗り越えなければ先は見えない。闘将の目には歴史の扉をこじ開ける瞬間がハッキリと見えていた。

(FOOTBALL ZONE編集部・小杉 舞 / Mai Kosugi)



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