転機はコロナ禍の「3→5」 ブラジル撃破のヒント…森保Jの強さを支える「一体感」の正体

決勝トーナメント進出を決めた日本代表【写真:徳原隆元】
決勝トーナメント進出を決めた日本代表【写真:徳原隆元】

24年ぶりに無敗で決勝トーナメントへ

 日本代表は6月25日(日本時間26日)、アメリカ・テキサス州ダラス・スタジアムで行われたFIFA北中米ワールドカップ(W杯)グループステージ最終節でスウェーデン代表と1-1で引き分けた。F組2位で決勝トーナメント進出が決定。2002年日韓W杯以来、24年ぶりの無敗突破を決めた今大会、選手が口々にするのが「一体感」。大舞台で力を何倍にもする日本人の強みとは——。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小杉舞)

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 ベンチから一斉に飛び出した。後半11分、FW上田綺世の落としにMF堂安律が反応し、スルーパスを供給。抜け出したFW前田大然がGKとの1対1を沈めて先制点を奪った。華麗なパスワークから生まれた1点。その瞬間、ベンチとピッチ内が1つになって喜んだ。

 1勝2分で2位通過が決定。24年ぶりに無敗で決勝トーナメントに駒を進め、ベスト32でブラジルとの対戦が決まった。歴代最多のW杯優勝5回。圧倒的な強豪で優勝候補の“王国”に真っ向勝負を挑む。上田は「フィジカル、インテンシティーの部分は、劣っている部分が多くあると思う。南米だったらもちろん。ただ、そういうところでチーム力とか、柔軟性で補っていけるのも日本の良さだと思う。フィジカルコンタクトで戦うところは戦いますけど、そうならないようにしていけると言うのも日本の良さ」と、勝機を見出した。

 今大会、選手は「一体感」を事あるごとに強調してきた。スタメン、ベンチ、スタッフ、コーチ、監督……。ピッチ内外が同じ目線でいる。もちろん、森保ジャパン8年間の積み上げで、日の丸への意識が高まったことも要因の1つだが、それだけではない。カタールW杯後に親善試合でドイツ、ブラジル、イングランドなど“格上”を倒してきた強さには、ハッキリとした理由がある。

「全選手が、この日本代表メンバーで勝つためっていうことを逆算した結果、やはりピッチに立ってる11人の選手のクオリティー、スピード、フィジカルを考えると、全選手が勝てているわけじゃないというのは理解している。ただ、これが60分間戦って、残り30分はまたフレッシュな選手が出て仕留めに行くという考え方だと、また変わってくる。それだと勝てる確率が日本代表としても上がってくるというのはチームの戦術理解度として認識している」(堂安)

 新型コロナウイルスによる過密日程対策として、2020年に交代枠が3人から5人に変更。日本は森保体制の第1期と比べて、より「90分間を16人で戦い抜く」に重点を置くようになった。堂安は「日本代表にとっては非常に有利なルール変更。今は時間稼ぎもできない。相手ができなくて、プレーし続けられるのが日本人の良さ。規律よくできる日本人が非常に有利なルールになってきている」と分析する。

 象徴的だったのが今年3月の英国遠征。スコットランド代表、イングランド代表と対戦し、いずれも1-0で勝利を収めた。同じ「1-0」でも、内容はまるで違った。交代枠は11人という特別なルールではあったものの、スコットランド戦は経験値の少ない選手がスタメンを務め、“ジョーカー”として、いわゆる主力組が途中出場。前半をサブ組がしっかりと戦い抜いたからこそ、後半の畳みかけで決勝点を奪った。

 一方のイングランド戦は主力組が先発して、先制ゴールを奪取。後半からは“守備固め”に出て、守り切って勝利を掴み取った。この戦い方について、MF遠藤航は「選手の起用法でいろんな戦い方ができるのが強み。カタールW杯の時との大きな違いは戦術を“選択”できるようになったこと。それに選手が同じポジションのライバルをリスペクトしている。選手層が厚くなったことプラス日本人の大事な要素も兼ね備えているのが今の代表」と話していた。

「一体感」とは共通の戦術理解度が浸透したからこそ生まれた“結束力”、チームとしての戦い方も含めた総合力の表れ。日本人らしさが根底にあるから実現できるものだ。ブラジル相手でも変わらない。まだ見ぬ景色に辿り着くために必要不可欠な要素なのだ。

(FOOTBALL ZONE編集部・小杉 舞 / Mai Kosugi)



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