日本代表、次戦の相手・ブラジルの実態は? 10月の親善試合とは別次元…居並ぶ世界最高峰のタレント

決勝トーナメント初戦で森保ジャパンと対戦するブラジル代表【写真:ロイター】
決勝トーナメント初戦で森保ジャパンと対戦するブラジル代表【写真:ロイター】

日本がラウンド32で戦うブラジルの特長

 サッカー日本代表は現地時間6月29日、北中米ワールドカップ(W杯)のラウンド32でブラジル代表との対戦が決定した。W杯での顔合わせは2006年ドイツ大会以来20年ぶり。昨年10月の親善試合では3-2と14度目の対戦で初白星を挙げたが、ノックアウトステージで対峙する「本気のブラジル」は別物と考えた方がいい。負ければ終わりの一発勝負で全力をぶつけてくるベストメンバーのサッカー王国を、どう見ればいいのか。

 まずは、世界最高峰の名将であるイタリア人のカルロ・アンチェロッティ監督に触れておく。イタリア、イングランド、フランス、ドイツ、スペインの欧州5大リーグすべてで国内タイトルを獲得した史上唯一の監督であり、チャンピオンズリーグ(CL)も指揮官として最多の5度、制している。緻密な戦術で知られるペップ・グアルディオラ監督とは毛色が異なり、最大の強みは、選手を戦術に合わせるのではなく、在籍する選手でチームの最大値を引き出すマネジメントにある。いわば、冷蔵庫の食材から最高のレシピを考案するシェフのような指揮官だ。

メンバーも最高峰の選手が居並ぶ。守護神は世界最高の呼び声が高いリバプールGKアリソン・ベッカー、中盤には昨季マンチェスター・ユナイテッドで見事な復調を見せたMFカゼミーロなど、各国リーグの主力級が並ぶ。

 とりわけ手堅いのが、最終ラインのセンターバック(CB)だろう。今季プレミアリーグを22年ぶりに制したアーセナルの守備の柱、DFガブリエウ・マガリャンイスは、フィジカルと対人の強さでリーグ最高クラスのCBに上り詰めた。CLを制したパリ・サンジェルマンの主将マルキーニョスは、長年にわたり欧州最高峰の守備網を統率してきたリーダーだ。「プレミア王者」と「CL王者」が並ぶ中央は、容易にはこじ開けられない。日本にとって、ここをどう揺さぶるかが最初の難題になる。

 攻撃で最も警戒すべき選手が、左サイドのレアル・マドリードFWヴィニシウス・ジュニオールであることに間違いない。今大会も3試合で4ゴール。スピードと足元の技術を兼ね備え、1対1で前を向かせれば一瞬で試合を決める破壊力は世界最強と言える。ここを自由にさせては話にならない。

世界最高峰アタッカーの負傷は日本の”向かい風”に?

 ただ、本当に警戒すべきは別の男かもしれない。今季、マンチェスター・ユナイテッドで本格的にワールドクラスへと駆け上ったFWマテウス・クーニャを無視できない。ブラジルは初戦のモロッコ戦で1-1のドローに終わった。ところが、第2戦のハイチ戦でアンチェロッティはクーニャを先発させ、これが的中。前半だけで2ゴール、ヴィニシウスと流動的にポジションを入れ替えながら相手の堅い守備をこじ開け、チームは一気に息を吹き返した。下がって受け、自ら仕掛け、フィニッシュにも顔を出す可動性の高さは、組織で捕まえにくい。今、最も乗っているのはこの男かもしれない。

 そのハイチ戦で、世界最高クラスのウインガーであるバルセロナのFWラフィーニャが負傷し、前半で退いた。2024-25シーズンはCL得点王に輝き、ラ・リーガでも圧倒的な成績を残したことから、バロンドール投票でも上位に食い込んだアタッカー。アンチェロッティが「裏抜けでは世界最高」と評するほどだが、日本戦での復帰は微妙とされる。

 普通なら相手のエース離脱は追い風のはずだが、今回はそう単純ではない。ラフィーニャを欠いてなお、ブラジルはハイチ、スコットランドを相手に連続で3得点を奪っている。クーニャを軸にした現在の形はむしろ的が絞りにくく、そこへ復帰したサントスFWネイマールも絡んでくるだろう。「ラフィーニャ不在=ブラジルの戦力低下」と捉えるのは、危険な楽観論だ。

 中盤ではニューカッスルMFブルーノ・ギマランイスが要注意人物。所属クラブが苦しんだこともあり、今季は本領を出し切れなかったが、長年プレミア屈指のMFとして君臨し、アーセナルやマンチェスター・シティといったビッグクラブの関心も絶えない。潰し、運び、ゴール前にも顔を出すボックス・トゥ・ボックスの選手としては世界最高クラスで、ここで主導権を握られれば、日本は終始受け身に回されかねない。

 もっとも、サッカー王国も完全無欠な存在というわけではない。南米予選では宿敵アルゼンチンに2連敗を喫し、8勝4分6敗、勝ち点28という史上最低の成績で5位通過。盤石な状態で本大会に臨んできてるわけではない。ただ、本大会に入って完成度を高めてきている発展途上のチームだ。グループステージで、アンチェロッティ監督はブラジルの「正解」を見出しつつある。

 日本代表が史上初めて勝利した10月の親善試合ではアリソン、マルキーニョス、ラフィーニャ、ネイマールらが不在。マガリャンイス、ドウグラス・サントスらも出場していなかった。「本気の王国」を相手に、森保ジャパンが歴史的な2勝目をつかめるか。優勝の目標に向け、真価が問われる。

(FOOTBALL ZONE編集部)



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