スウェーデン攻略の鍵は「斜め」 オランダ戦で見えた“弱点”…難敵撃破へカギになる2人

オランダ戦で見えたスウェーデンの弱点【写真:ロイター】
オランダ戦で見えたスウェーデンの弱点【写真:ロイター】

オランダ戦で見えたスウェーデンのウィークとストロング

 日本代表は現地時間6月25日、北中米ワールドカップ(W杯)グループステージ第3戦でスウェーデンと対戦する。スウェーデンは第2戦でオランダに1-5で敗れたが、スコアほど力の差があったわけではない。シュート数は17対11、枠内シュートも10対7とむしろ上回っており、前線のタレント力は日本にとっても大きな脅威となる。ただし、オランダ戦では組織面の課題も明確に表れており、日本としては突きどころになる。

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 アレクサンデル・イサク(リバプール)とヴィクトル・ギェケレシュ(アーセナル)の2トップは世界屈指の破壊力を誇るが、守備のプレスバックや連続したオフの動きはそれほど多くない。そのため、最初のプレスラインを突破されると、中盤の3枚が広大なスペースをカバーしなければならなくなる。オランダはフレンキー・デ・ヨング(バルセロナ)がまさにその役割を担い、プレッシャーの少ない状態で前を向きながら攻撃を組み立てた。日本も佐野海舟(マインツ)や鎌田大地(クリスタル・パレス)が最初のプレスを外せれば、高い位置から攻撃の起点を作れる可能性が高い。

 最も顕著に出たウィークは守備ブロックの横移動だった。5-3-2でも、後半の4-3-3でも、ボールサイドに人数を集める一方で、逆サイドへの対応が遅れる場面が目立った。オランダは左のコーディー・ガクポ(リバプール)から右のデンゼル・ダンフリース(インテル)、あるいは右から左へと素早く展開し続けたことで、前向きで仕掛けられる状況を何度も作り出した。日本も中村敬斗(スタッド・ランス)や堂安律(フランクフルト)が前向きでボールを受けられれば大きな優位を得られる。片側で相手を引き付けてから逆サイドへ展開する形は有効な攻略法になりそうだ。

 オランダの先制点と追加点は、いずれもスウェーデンの最終ラインの背後やセンターバックの間を使って生まれた。センターバック陣は空中戦や対人守備には強さを持つ一方、ラインコントロールや背後への対応では不安を抱える。特に斜めから背後に走り込むタイプに苦戦しており、日本であれば前田大然(セルティック)や伊東純也(ゲンク)がスペースへ飛び込む形は十分に有効と考えられる。またチュニジア戦の田中碧(リーズ)のようなボランチからのロングスプリントも有効だ。

 GKクリストファー・ノルドフェルト(AIK)はシュートストップやハイボールの処理能力こそ高いものの、ペナルティーエリア外まで積極的に飛び出して危険を消すタイプではない。最終ラインもそれほど高い設定ではないため、背後へのランニングやスルーパスは引き続き狙い目となる。オランダも最終ラインとGKの間のスペースを積極的に使っていた。

 一方で攻撃面は2トップを中心に、個々の能力は世界基準でも高く、2トップの他にも中盤のヤシン・アヤリ(ブライトン)や10番のベンジャミン・ニグレン(セルティック)など、単独でも局面を打開できる選手が揃う。しかし、オランダ戦に関しては相手のマンツーマン気味の守備に対して、連動した崩しや三人目の動きを使ったコンビネーションはそれほど多くなかった。そのため、一度守備ブロックを整えられると、攻撃が単発になりやすい。シュート数は多くても、それが継続的な二次攻撃や波状攻撃につながるケースは限定的だった。

 ただし、安心はできない。スウェーデンの選手たちは総じてキック精度とシュート技術が高い。オランダ戦でも守備が整った状態から強烈なミドルシュートを何本も放っていた。日本としてはペナルティーエリア周辺で簡単に前を向かせず、シュートコースを限定する守備が求められる。

 また後半10分の3枚替え以降、試合の流れがスウェーデンに傾いたように、ベンチメンバーの質が高い。特にオランダ戦で得点を決めたアンソニー・エランガ(ニューカッスル)は本来スタメンに相応しいタレント力を備えており、縦への推進力でオランダ守備陣を苦しめた。日本としては試合終盤までプランの修正を続ける必要がある。

 最も警戒しなければならないのはクロス攻撃だ。アレクサンダー・ベルンハルドソン(ホルシュタイン・キール)やガブリエル・グズムンドソン(リール)はシンプルながら質の高いボールを供給できる。そこにイサクやギェケレシュが飛び込む形は非常に強力で、少ない手数でも得点につながる。オランダも流れの中では抑えながら、クロスが入った瞬間には何度か危険な場面を作られていた。

 2トップの場合は役割にも違いが見える。ギェケレシュが比較的中央に残り、ゴール前で仕事をする傾向が強いのに対し、イサクは左サイドや中盤まで下りてボールを受け、自らドリブルで局面を打開しようとする。日本としてはギェケレシュへのクロス対応だけでなく、イサクが流れて受けた瞬間の対応も重要になる。特に1対1で前を向かせると一気にゴール前まで運ばれる危険性がある。

 オランダ戦を見る限り、スウェーデンは「守備組織には攻略可能な穴があるが、個の能力で試合をひっくり返せるチーム」と言える。前線の守備負担が少ないため中盤攻略の糸口は見つけやすく、サイドチェンジや背後へのランニングも有効だ。一方で、イサクやギェケレシュを中心とした一発の破壊力、そしてクロスやミドルシュートの精度は極めて高い。日本としては組織力で優位に立ちながらも、一瞬の隙が失点につながる相手として90分間の集中力が求められる。

(河治良幸 / Yoshiyuki Kawaji)



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河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

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