日本代表は「このままではベスト16は絶対に無理」 トルシエ腹心が警鐘…オランダ戦は「負け試合」

トルシエ氏とワイン発売記念イベントに出演した
元日本代表フィリップ・トルシエ監督の元通訳・フローラン・ダバディー氏の目は、北中米共催ワールドカップ(W杯)グループステージを戦う現代表に厳しかった。同氏は6月19日夜、都内で開催されたトルシエ氏プロデュースワイン「FLAT3」発売記念テイスティングイベントに出演。終了後、FOOTBALL ZONEの取材に応じ、「このままではベスト16は難しい」との見解を示した。(取材・文=柳田通斉)
ダバディー氏は、森保ジャパンの戦いぶりをどう見ているのか。初戦のオランダ戦を振り返って言った。
「前半はすごく動きが鈍いように感じました。ブロックを下げて力を温存し、後半で少しずつギアを上げてカウンターを狙う。その戦い方は理解できます。しかし、ミドルブロックでプレスをかけると言っても、実際にはうまく噛み合っていませんでした」
ダバディー氏が指摘したのは、前線と最終ラインの「距離感」だ。
「前田大然がプレスに行くはずなのに、後ろのラインがけっこう下がっているから、間延びしていました。おそらく相当な緊張があって、全体が硬かったのだと思います。特に最初の10分は危なかったです」
結果は引き分け。格上を相手に勝ち点1を獲得したものの、ダバディー氏は「私は『負け試合』に近い内容だったのではないかと思っています」と警鐘を鳴らした。
「25年前のベルギー戦(トルシエ氏が指揮した2002年日韓共催W杯)のように、満足はしていないけれど『よしっ、勝ち点1だ。次だぞ』とホッとするようなマインドだったと思います。ただ、この戦い方ではW杯のベスト16は絶対に突破できません。本来の日本代表のポテンシャル、本当の姿はまだ発揮されていないと思います」
ダバディー氏が特に疑問視していたのが、右サイドを務めた堂安律の起用法だ。
「右側の堂安は戦術上で犠牲にされているのか、持ち味が全く生かされていませんでした。あれだけ守備に重きを置くなら、いっそ守備的な選手を起用すればいい。全く飛び出さないし、オーバーラップもしない。中にも入らない。それならば、専門のサイドバックである菅原由勢らを置くべきです」
一方で、後半から出場した伊東純也には賛辞を送った。
「後半に入った伊東純也はすごく良かったですね。ただ縦に飛び出しているわけではなく、うまくサイドハーフの位置から中に入り、自分のマークを引き連れて周りのためにいろんなスペースを作っていました。あらためて、『サッカーIQの高い選手』と感じました」
もう一人、ダバディー氏が「絶好調」と太鼓判を押したのが、フランス2部のスタッド・ランスで躍動する中村敬斗だ。
「日本の1点目は、中村の個人技で奪ったゴールでした。スタッド・ランスでも絶好調でリーグ最終節で4ゴール。そのときと同じくキレキレでしたし、すごく自由に動けていたのが印象的でした」
次戦のチュニジア戦に向けては、「4年前(カタールW杯)、コスタリカに負けてしまったように第2戦は非常に重要」とし、W杯でトーナメントを勝ち上がるための「法則」を口にした。
「W杯で躍動するチームには、必ず『サプライズ要素』があるんです。大会前はレギュラーとして想定されていなかった若手や新戦力が、大会で大活躍する。例えばフランス代表で言えば、2006年のリベリーや、1998年のアンリ、トレゼゲなどがそうでした」
では、今の日本代表における「サプライズボーイ」は誰になり得るのか。ダバディー氏は一人のストライカーの名前を挙げた。
「上田綺世も悪くはないですが、彼だけの起用だと想定内におさまってしまう。だからこそ、小川航基です。彼のような選手をチュニジア戦で最初から思い切って使ってみるのも面白いのではないでしょうか。ギャンブルというよりも、そのときの『調子』で判断して起用する。第1戦はチーム全体が緊張でストレスもかかっていたでしょうから、この第2戦ではメンバーを少し入れ替えて、新たな可能性を見せてほしいですね」
トルシエ監督時代、ダバディー氏は世界と渡り合うための戦術「フラットスリー」と、若き才能の台頭を間近で見てきた。彼が求めるのは、強豪を飲み込むだけの「野心」と「サプライズ」だ。
(柳田通斉 / Michinari Yanagida)















