岡崎慎司が語る森保ジャパン「見られ方が変わった」 “穴がない”と評価も…危惧する「日本対策」

岡崎慎司氏が森保Jに言及【写真:徳原隆元】
岡崎慎司氏が森保Jに言及【写真:徳原隆元】

元日本代表FW岡崎慎司氏が語る森保ジャパン

 日本代表は現地時間6月20日、メキシコ・モンテレイのエスタディオ・モンテレイで、北中米ワールドカップ(W杯)グループステージ第2戦でチュニジアと対戦する。初戦のオランダ戦を2-2で引き分けた日本代表は、今大会はどこまで行けるのか。元日本代表FW岡崎慎司氏に話を聞いた。(取材・文=中野吉之伴/全4回の1回目)

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日本代表は今大会でどこまでいけるのだろうか?元日本代表FWで、W杯にも3度出場歴がある岡崎慎司に尋ねてみた。岡崎は、日本代表対イングランド代表の一戦をウェンブリーで観戦。試合後にはマインツ時代の恩師トーマス・トゥヘルとも再会した。

「試合直後だったんで深い話はもちろんできなかったんですけど、『いま俺も監督してるんだ』みたいな話はしましたね。『イングランド代表のチケットだったらいつでも取るから、って言ってくれたり。最初僕の前を素通りしようとしていたら、『トーマス!』『おー』みたいな感じもありました(笑)。ああやって試合に入り込むっていうのはトーマスらしかったなと懐かしかったですね」

 そんな和やかな再会があった試合から岡崎は、日本代表への期待と同時に、ワールドカップの難しさについても感じていた。

「これがワールドカップでどう左右するかっていうのはわからない。怖いのはワールドカップになった時の一体感。何が何でもと目の色変えてくる。各国が分析を深めてくるだろうし、気を抜いてやってくるっていうのはない。どの国もガチンコでグループリーグをやるっていう意味では、ブラジルの時みたいな感じにならないことを本当に祈るばかりです」

 ブラジルW杯では岡崎のほか、本田圭佑、香川真司、長友佑都、内田篤人らそうそうたるメンバーが名を連ね、自分たちのサッカーにすごい自信を持っていた。だがそれ故に、ハマらなかった時の次善策が準備できていなかったことを、反省点としてあげていたことがある岡崎。今の代表をどのように見ているのだろうか。

「単純に穴がないかなとは思います。劣るポジションがない。ほとんどの選手が海外に行っているので、誰が出ても対応できる。どんな試合でも前半はお互い見合った試合になるはず。だから後半にカードを持ってくるっていうのはかなり大事だと思います。ただ、こういう考えができるっていうこと自体がもう進歩してるっていうことではある」

 難しいのは対戦国が日本をこれまで以上に警戒して、対策を練って向かってくることだ。カタールW杯では強豪国のドイツ、スペインには勝ったけど、コスタリカには敗れた。ワールドカップという舞台で、必死に守りを固める相手にどこまでやれるのかは大きなポイントになる。

「特にチュニジアあたりは絶対そうしたサッカーで、ボールを取ってカウンターをしかけてくると思う。センターを締めて外に出た時に日本のキーマンに対して2対1で対応というのをやってくる。つまり今までとは逆になる。日本が相手のキーマンに対して2人つけようとかだったのが、今度は相手が中村敬斗や久保建英、堂安律といった選手に対してダブルマークで行くように準備して、真ん中のスペースは絶対に埋めようみたいな対策は間違いなく取ってこられる」

 だからこそ岡崎は、我慢強くゲームコントロールできるかがより重要とみており、今の代表にはそうした成熟さが備わっている点を評価している。

「例えば、僕らの時(14年ブラジル大会)のコートジボワール戦だと、相手が『思ったより来ねえな』みたいなのを感じてた。暑かったけど、僕らが逆に前に行かなきゃいけないみたいな感じになって、でもプレスもあんまりはまらなかった。今振り返ると、はまらなくても別にやられてなかったし、焦らなくてもって思うんですけど、『もっと行くぞ』みたいな雰囲気が僕らの中にあったのを覚えています。後半に入って、1-0で勝ってたんで、ゲームを落ち着かせてというのでよかったのに。そして交代でドログバが出てきて一気に流れを変えられてしまった。逆に僕らは『誰が交代しても』というところはあったと思う。その辺、今の選手たちはより成長した選手たち、その辺をわかった選手たちが多いのかなと思います」

 今の代表には、欧州の厳しい環境で日常的に勝負している選手たちが並ぶ。流れが悪い時間帯を耐えること、相手の勢いを受け流すこと、試合を終わらせること。その価値を理解している選手は確実に増えている。そして岡崎は今の日本代表は十分ベスト8まで行けるだけの力はあるが、すでに警戒されている点を指摘していた。

「例えばコスタリカやチリ、メキシコもベスト8まで進出したことがありますけど、じゃあ海外のトップチームでやってる選手がめちゃくちゃいたかっていったら、そこまでではなかったはず。つまり、対策を組まれる前にベスト8まで駆け抜けることができた、というのがあったと思うんですよ。

 逆に日本は『ベスト8の壁』と言われているし、そこでなかなか勝てないなって言ってるうちに、海外で活躍する選手が増えて、しかもそこで活躍してる選手が増えているという状況になっている。見られ方がもう変わってきてるっていうのは絶対あると思うので、より警戒をされてるんだろうな、と」

 警戒される前の方が上位進出はしやすかったかもしれない。ただ、今の状況が望まないわけではない。

「今回のワールドカップは、チーム数もそうですし、仕組みもまた変わってしまったんで、まず新鮮に見たいなって思います。シンプルに日本がどこまでいけるのか、どこを倒していけるのか。まずはこの厳しいグループでどういう試合をするのか。しかも勝ち抜いたらすぐモロッコとか、ブラジルの可能性もある。それを考えたら、すごいしびれる試合になるはずですよね。楽しみにしながら応援したいと思います」

 日本はもはや「どこまで通用するのか」を語る国ではなくなった。岡崎慎司の言葉を借りるなら、世界からの「見られ方」が変わったのだ。今大会で問われるのは、日本が世界に驚きを与えられるかどうかではない。警戒され、研究され、対策された上で、それでも勝ち抜けるだけの力があるのかどうか。その真価を思う存分発揮してほしい。

(中野吉之伴 / Kichinosuke Nakano)



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中野吉之伴

なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)取得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなクラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国で精力的に取材。著書に『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。

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