大統領も介入した前代未聞の“練習ボイコット” 前回準優勝フランスが自滅した最悪の内紛劇

燻っていた不満…求心力を失った指揮官と生じた「決定的な亀裂」
1930年の創設から、これまで数々のドラマを生み出してきたFIFAワールドカップ(W杯)。4年に一度の祭典で起きた衝撃の出来事を振り返る「W杯事件簿」の今回は、2010年南アフリカ大会でフランス代表を引き裂いた前代未聞の“内紛トラブル”にフォーカスする。前回大会の準優勝国が、1勝もできずにグループリーグで姿を消した裏には、チームの根幹を揺るがす異常事態が起きていた。
【PR】ABEMA de DAZN、2/6開幕『明治安田Jリーグ百年構想リーグ』全試合生配信!毎節厳選6試合は無料!
ジネディーヌ・ジダンの活躍もあり、2006年ドイツ大会で準優勝を果たしたフランス。レイモン・ドメネク監督はその後も続投したものの、2008年の欧州選手権(EURO)ではまさかのグループリーグ敗退の憂き目に遭った。
この頃から、一貫性を欠く戦術や不可解な選手選考を繰り返す指揮官に対し、一部の選手たちからは不満の声がささやかれるようになっていた。指揮官と選手間の関係悪化は次第に深刻化し、南アフリカW杯の欧州予選もプレーオフの末になんとか突破するという綱渡りの状態。本大会を迎える頃には、チームはすでに空中分解の危機を孕んでいた。
迎えたW杯本番、フランスの歯車はついに完全に狂い出す。初戦のウルグアイ戦をスコアレスドローで終えると、続く第2戦のメキシコ戦では0-2で敗戦。そして、この試合のハーフタイムに決定的な事件が勃発する。
エースFWニコラ・アネルカが指揮官の戦術を痛烈に批判し、激しい口論の末に交代を命じられたのだ。フランスサッカー連盟はこの事態を重く受け止め、アネルカをチームから追放し、強制送還するという強硬手段に出た。
しかし、これが火に油を注ぐ結果となる。ロッカールームでの密室のやり取りが外部に漏洩したこと、そして連盟の決定に対し、選手たちが猛反発。首脳陣への不信感を爆発させた選手たちは、なんと前代未聞の「練習ボイコット」を決行したのだ。世界中が熱視線を送るW杯の舞台で、強豪国が練習を拒否するという前代未聞のスキャンダルは、大きな衝撃を与えた。
修復不可能な不協和音を抱えたまま、フランスは第3戦で開催国・南アフリカと対戦。チームとしての体をなしていない「レ・ブルー」は1-2で敗れ、1分け2敗のグループ最下位で大会から姿を消した。
この無惨な結末とスキャンダルはサッカー界の枠を飛び越え、当時のニコラ・サルコジ大統領が閣僚に事態の情報収集を命じるなど、国家を巻き込む大騒動にまで発展した。
さらにドメネク監督は、最終戦の敗戦直後に南アフリカのカルロス・アルベルト・パレイラ監督からの握手を拒否するという愚行まで披露。ピッチ外のゴシップばかりが目立ち、後味の悪さだけが残ったこの内紛劇は、W杯史上最もお粗末な“自滅”としてサッカーファンの記憶に刻まれている。















