開催国が「強い理由」は本物か シードや移動なしの「ホームの利」…共催3か国がそろって好発進

共催3か国はそろって好スタート【写真:ロイター】
共催3か国はそろって好スタート【写真:ロイター】

メキシコ、アメリカが白星発進、カナダはW杯初勝ち点奪取

 北中米ワールドカップ(W杯)開幕戦でメキシコが南アフリカを下したのに続いて、大会2日目でカナダがボスニア・ヘルツェゴビナと1-1で引き分け、アメリカがパラグアイに4-1と大勝した。これまで2大会に出場して全敗だったカナダの初勝ち点獲得を含め、共催3か国はそろって好スタートを切った。

 W杯では開催国が強い。前回2022年大会のカタールは1次リーグ全敗、10年大会では南アフリカが1勝1分け1敗で1次リーグ敗退したが、かつて言われた「開催国は1次リーグを突破する」はW杯の「定説」だった。

 初の共催となった02年日韓大会では、日本が2度目の挑戦で初の1次リーグ突破。6度目の出場だった韓国も初の1次リーグ突破を果たし、一気にベスト4まで勝ち進んだ。アメリカも初開催の94年大会が初の1次リーグ突破だった。

 W杯で優勝したのは過去8チームだが、5チームは自国での開催で初優勝している。1930年のウルグアイ、34年のイタリア、66年のイングランド、78年のアルゼンチン、98年のフランス。イングランドは自国開催が唯一の決勝進出、「アウェー」では3位にも入っていない。今回開催国のメキシコは最高成績が2度のベスト8だが、いずれも自国開催の時の成績だ。

 開催国が強いのには理由がある。1次リーグでは世界の強豪国とともに自動的にシードされる。組み合わせが圧倒的に有利になるから、1次リーグ突破の可能性も高くなる。

 気候など環境に慣れていることも大きい。02年日韓大会では、東アジアの高温多湿の気候に順応できずに欧州の強豪が敗退。当時は給水タイムなどもなかったから、暑さは今以上に選手のプレーに影響を及ぼしたはずだ。

 移動などが有利になることも忘れられない。今大会は日本など国境をまたいで長距離移動を強いられながら1次リーグを戦うチームもある中、共催3か国はいずれも自国内で3試合を行う。コンディショニングの意味でも圧倒的なアドバンテージがある。今大会は試合会場が広範囲にあり、単純な距離だけでなく気候の違いや時差、高低差まである。これまでの大会以上に「ホームの利」がある。

 もちろん、自国開催で国民の後押しも大きい。もともとサッカーの盛んなメキシコはもちろんだが、アメリカやカナダもサッカーは人気競技だ。94年W杯アメリカ大会の2年後、96年にMLS(メジャーリーグサッカー)がスタート。低迷期もあったものの、近年は順調な成長を続けて当初の10チームは30チームまで拡大している。

 メッシら人気選手の活躍もあって、1試合平均の観客数は2万3000人超。アイスホッケーのNHLに代わり、NFL、MLB、NBAとともに「4大メジャースポーツ」と呼ばれることさえある。

 開催国が勝ち進めば、より大会は盛り上がる。94年大会を開催した時のアメリカは「サッカー不毛の地」と呼ばれていた。「移民のスポーツ」「女子のスポーツ」と揶揄されもした。しかし、30年たって状況は変わっている。メキシコ、アメリカ、カナダ、史上初めての共催3か国が勢いに乗ってどこまで勝ち進むのか。それも、大会の楽しみではある。

(荻島弘一/ Hirokazu Ogishima)



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荻島弘一

おぎしま・ひろかず/1960年生まれ。大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。スポーツ部記者として五輪競技を担当。サッカーは日本リーグ時代からJリーグ発足、日本代表などを取材する。同部デスク、出版社編集長を経て、06年から編集委員として現場に復帰。20年に同新聞社を退社。

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