日本代表が直面するジンクス メンター多数、情報統制…期待する”迷信の打破”

北中米W杯に臨む森保ジャパン【写真:徳原隆元】
北中米W杯に臨む森保ジャパン【写真:徳原隆元】

日本代表は初戦のオランダ戦まで対外試合がなし

 アイスランド代表との壮行試合を最後に、日本代表は初戦のオランダ戦まで試合を組んでいない。U-19日本代表とは練習試合をしているが対外試合がない。

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 日本のW杯出場は今回で8回目、しかも1998年の初出場から連続である。これまでの経験の蓄積が今回の準備に反映されているのだろう。

 これまでW杯前の期待が大きいとグループステージ敗退、不安視されるとベスト16という不思議な結果になっている。

 初出場の98年は期待より不安の方が大きかったと思う。ただ、直前のスイス合宿で良い内容だったため、意外とやれるのではないかという楽観論も出ていた。アルゼンチンはともかくクロアチア、ジャマイカには勝てるのではないかという雰囲気だったが3戦全敗。

 02年はホンジュラスに敗れてフラットスリー守備の不安が露呈。これはまずいのではないかと思われていたがグループステージ突破で初のベスト16だった。

 06年、ドイツに引き分けて期待感はマックス。しかし最後の強化マッチでメンバーを落としてマルタに辛うじて1-0の勝利。ただ、格下相手の調整試合だったために不安より期待が先行していたがグループステージ敗退。

 10年、壮行試合の韓国戦で完敗を喫し、すっかり諦めムードが広がっていたが、直前の戦術変更が当たって2度目のベスト16。

 14年、3連勝で大会突入。選手たちは「優勝」を目標に掲げ、史上最高の期待感だったがグループステージ敗退。

 18年、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督の解任で後任の西野朗監督に与えられた時間はわずか。どうなることかと思ったらベスト16。

 22年、戦績は良かったが内容的に不安視されていた。グループにはドイツ、スペインがいたことで敗退濃厚とされていたがベスト16。

 では、今回の日本代表がどうか言うと期待感はこれまでにないくらい高い。

 森保一監督が率いた8年間で欧州勢に対する負けがない(前回大会のR16クロアチア戦は記録上引き分け扱い)。前回大会でドイツ、スペインに勝ち、その後に再びドイツを破り、ブラジルとイングランドにも勝利。親善試合とはいえ強豪国に勝利している。

 北中米大会はグループ3位でもノックアウトステージに上位8チームが進出できる。日本のグループには強豪オランダがいて、チュニジア、スウェーデンと今大会では厳しいグループなのだが、過去のいわゆる「死のグループ」に比べればどうということはない。ドイツ、スペインと同組だった前回とは比較にならない。

 期待大→グループステージ敗退、期待小→グループステージ突破という法則に当てはめると今回はグループステージ敗退となるが、この法則にとくに合理的な理由はない。八百長事件で揉めると優勝するイタリア(1982、2006年)と同じようなものだ。

 負傷リスクを避け、調整目的の試合で無用なプレッシャーをかけない、対戦相手用の戦い方の情報を与えない、という配慮から直前の対外試合を組まなかったと思われる。

 吉田麻也、南野拓実の帯同、さらに中村俊輔コーチを加え、長友佑都を選出。以前からのコーチングスタッフだった名波浩、長谷部誠もいて、日本代表はメンターだらけだ。そんなに精神的な支えが必要なのかと思ってしまうが、これも過去の経験から割り出した答えなのだろう。

(西部謙司 / Kenji Nishibe)



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西部謙司

にしべ・けんじ/1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。

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