日本代表FWの高校時代は「器がデカい人」 独特な罰則…試合後に監督と喧嘩「すげぇと思いました」

タビナス・ジェファーソンが小川航基の一面を語った
かつて川崎フロンターレ、水戸ホーリーホックなどに所属したフィリピン代表DFタビナス・ジェファーソンが、「FOOTBALL ZONE」の取材に応じた。北中米ワールドカップ(W杯)に臨む森保ジャパンのメンバーに選出されたオランダ1部NECナイメヘンFW小川航基は、タビナスの出身校である桐光学園高の1学年先輩で、共闘した間柄だ。フィリピン代表DFが日本代表ストライカーの知られざる一面を語った。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・海老田悦秀)
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2014年に神奈川の強豪である桐光学園高へ進学したタビナスは、当時2年の小川とトップチームで切磋琢磨した。尊敬する先輩の人柄を「小川さんは一言で言えば親分っすね。『全部俺が面倒見るから、俺に任せろ』みたいな(笑)。器がデカい人ですね」と満面の笑みで振り返った。入学当初からスーパールーキーと評されていたタビナス、高校屈指のストライカーと称されていた小川は同校の看板選手だった。
負けん気の強い小川に後輩は度肝を抜かれ続けていたという。タビナスが高校1年次の全国高校総体神奈川県予選準々決勝で神奈川県立藤沢清流高に0-1で惜敗し、桐光学園高は全国大会出場を逃した。当時負傷離脱していた小川は、スタンドで観戦していた。
試合に先発していたタビナスは、スタンドから響き渡る怒号に目を丸くした。「小川さんが試合に出ているメンバーに向かって、『ふざけんじゃねえよ!』と叫んでいました。試合に負けた3年生が滅茶苦茶落ち込んでいるなかで、すごく叫んでいました(苦笑)。小川さんは3年生を全国に連れて行ってあげられなかった悔しさ、自分が試合に出られなかったつらさ、みたいなものがあったと思います」と回顧した。
当時から責任感が人一倍強いストライカーは、チームのために身を粉にして戦った。小川が高校3年次の全国高校総体で、負けん気の強さを見せた一幕があった。神奈川県王者として挑んだ全国大会では、1回戦で京都代表の久御山高と対戦。ストライカーは2得点の活躍を披露するも、相手に追い付かれてPK戦の末に敗れた。試合後、タビナスは衝撃の場面に遭遇。「小川さんが監督と喧嘩し始めて驚きました」と苦笑した。
引き上げる際に、鈴木勝大監督が「みっともない試合をして。もう早く帰るぞ」と涙を流すイレブンに言い放つと小川が激昂。「監督に向かって『早く帰ってこの負けが、なくなるのかよ!』と言っていました。本当に(メンタルが)すげぇと思いました(笑)」。厳しい上下関係が当たり前の部活動で、先輩、監督にまで苦言を呈する肝が据わった姿に、タビナスは目を丸くするばかり。ストライカーらしいどんな状況でも我を貫く小川の気質は、高校時代も変わらなかった。
ただ厳しさだけでなく、ユーモアあふれる一面もあった。当時サッカー部のキャプテンを務めていた小川は、規律やルールを破った後輩に向けて新しい罰則を設けたという。タビナスは「当時ルールを破った部員は、丸坊主にするルールがありました。小川さんが『坊主はみっともないから角刈りにしよう』と、坊主の罰則が変わりました」と明かした。
ルールを破った後輩たちは、角刈りにして反省するようになった。「坊主より角刈りの方が当然髪は早く伸びるので、ビジュアルを気にしている人は何人か救われていました。小川さんなりの優しさだったと思います」。後輩にも配慮を欠かさない気配りは、チームメートから絶大な信頼を得ていた。ただタビナスは角刈りの罰則に思うことがあり、「俺は進んで角刈りにしていましたから、角刈りは処分にならないじゃんと内心思っていましたけどね」と笑い飛ばした。
タビナスは高校3年次、Jリーグクラブからの練習参加の打診が届いた。複数のオファーの内、当時小川が所属していたジュビロ磐田から声がかかった。磐田の練習参加時は「めっちゃ良くしてくれましたね。毎日飯に連れて行ってもらいましたね。本当にいい先輩です」と穏やかな笑みを浮かべた。
高校卒業後は一度だけ桐光学園OBで集まってボールを蹴って以来、交流はないという。それでも欧州で挑戦し続ける先輩を応援し続けてきた後輩は、W杯での活躍を心待ちにしている。「(W杯では)頑張ってほしいです。日本代表の激しい競争の中で勝ち上がることはシンプルに、尊敬が勝ちますね。応援したいです」と先輩にエールを送った。
フィリピン代表で戦っているタビナスは、国を背負う重圧や国民の期待を理解している。だからこそ、かつて共に戦った先輩が世界の祭典で飛躍することを心から熱望していた。
(FOOTBALL ZONE編集部・海老田悦秀 / Yoshihide Ebita)

















