ファン・ダイクも「抜けるところはある」 W杯前に“確信”「得点のイメージが湧いている」

W杯での得点を確信
北中米ワールドカップ(W杯)に臨む日本代表は現地時間6月10日、ベースキャンプ地のアメリカ・ナッシュビルで練習を開始した。ナッシュビル入りした日本代表に、じわじわと緊張感が漂い始めている。小川航基もそれを感じている一人だ。だが、その緊張の中に揺らぎはない。これまで様々な場面で得点を取り続けてきた男の言葉には、静かな、しかし確かな重みがあった。
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モンテレイでの事前キャンプを終え、チームはナッシュビルへ移動した。1日のオフを挟み、ナッシュビルSCトレーニングセンターで初戦となるオランダ戦に向けた最終調整が始まった日本代表の小川は、U-19日本代表とのトレーニングマッチにより「コンディション的にはすごくいい状態に向いている」としつつ、初戦まで残りわずかとなった今、チーム内の空気が変わり始めていることを明かした。
「各々言葉にしたりということはないですけど、やっぱり僕たちもW杯がいよいよ始まるということで、みんな緊張感を持っていますし、ここからさらに上がっていくと思います。実感というか、そういうのも湧いてくると思いますし、5大会に出場している選手やスタッフの中にもW杯経験者がいる中で、いろいろなことを僕らに伝えてくれると思うので、ちゃんと聞く耳を持っていい状態に持っていければなと思います」
初戦の相手は欧州の強豪国の一つであるオランダだ。守備の要には、世界最高峰のCB(センターバック)と称されるリバプールのDFフィルジル・ファン・ダイクが構える。強敵であることは間違いないが、それでも小川の口調に気負いはなかった。
「世界最高峰のCBがいるというのは誰しも分かっていますけど、サッカーは1対1のスポーツではないですし、必ずしも強豪国が勝つとは限らない」
すでにチームメートとともにオランダの試合映像を分析しており、ファン・ダイクについても「抜けるところはあるよね」という共通認識が生まれているという。世界最高峰の選手であっても隙は存在するのだ。小川は「もちろん誰が見てもでかい、誰が見ても強い、速い、これは分かってますけど」と言いつつ、自身の思いを口にした。
「やはり僕たちの一番の強みは、チーム力だったり、日本人のしっかりと細かいことをやるところだと思う。相手にファン・ダイクがいようと、素晴らしいストライカーがいようと、僕たちはチームとして上回ればいい。チームとしてもそうだし、僕はマークを外すことで勝負していきたい」
相手のレベルの高さは理解しながらも、アイスランド戦のゴールシーンで見せた相手DFの前に入り込むポジショニングのように「細かいところで勝負していく」という発想が小川の根幹にある。ファン・ダイクを正面から攻略するのではなく、チームとして、そして個人の駆け引きとして上回る。それが日本の戦い方であり、小川自身のスタイルだ。
では、得点のイメージは湧いているのか。そう問われた小川の答えからは、揺るぎない自信が伝わってきた。
「僕自身は、このW杯で得点を取るイメージが本当に湧いているというか、楽しみでしかない」
根拠のない強がりではない。アンダー世代から一貫して得点を積み上げてきた男は、今まで得点能力に対する評価を途切れさせたことはなかった。ボールに触れられない試合、存在感が消えてしまう時間帯、そんなものはFWである以上、幾度もあった。それでも、得点だけは取り続けてきた。
「得点を取ってきたという自信があるし、周りの人も『なんか点を取るよな』という認識を持っていると思う。それがプロ入りから10年続いているというのは、そういう能力を持っているからじゃないかなと。たぶん、この大会もそうなると思います」
その言葉からは、緊張やプレッシャーではなく、自分を信じる強さが感じられた。
海外移籍から3年が経ち、世界からの日本へのリスペクトが高まっていることも肌で感じている。クラブやオランダ国内でも「日本が1位通過するんじゃないか」という声を耳にしているようだ。だが小川は、そこに乗っかろうとはしない。
「僕らはチャレンジャーなので。まだまだ世界と比べるとチャレンジャーとしてやっていかなければいけない立場ではあるので、そういう気持ちは持っていきたい」
謙虚さと確信を持ちながら目の前の戦いに挑む。ナッシュビルの空の下、小川はすでにゴールシーンを思い描いている。オランダ戦まで、残りわずかだ。
(林 遼平 / Ryohei Hayashi)

林 遼平
はやし・りょうへい/1987年、埼玉県生まれ。東日本大震災を機に「あとで後悔するならやりたいことはやっておこう」と、憧れだったロンドンへ語学留学。2012年のロンドン五輪を現地で観戦したことで、よりスポーツの奥深さにハマることになった。帰国後、サッカー専門新聞『EL GOLAZO』の川崎フロンターレ、湘南ベルマーレ、東京ヴェルディ担当を歴任。現在はフリーランスとして『Number Web』や『GOAL』などに寄稿している。














