31歳でMVP獲得も「筋肉痛は2日後に(笑)」 4年ぶりVに導いた立役者…見据える大舞台「私の夢でもある」

成宮唯のキャリアは、決して光の当たるエリート街道ばかりではなかった
WEリーグは5月26日に都内で「2025/26 WEリーグアウォーズ」を開催し、INAC神戸レオネッサをリーグ優勝へと導いたMF成宮唯がMVP(最優秀選手賞)を受賞した。授賞式で満面の笑みをみせ、安堵の涙を流した31歳のゲームメーカーにとって、ここにたどり着くまでは苦難の連続だった。
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成宮が「最優秀選手賞」に選ばれるのは、これが2回目である。スペランツァFC大阪高槻(現・スペランツァ大阪)時代の2014年、チャレンジリーグ(2部相当)のMVPに選ばれてから、10年以上もの歳月が流れた。
国内の2部リーグ、1部リーグのクラブを渡り歩き、そのすべての場所でチームの主軸として「自分がチームを勝たせる」と言い、泥臭く走り続けてきた。決してエリート街道を歩んできたわけではないが、着実にステップアップをしてきた。
長短のパスを巧みに織り交ぜながら攻守にわたって貢献し、中盤でタクトを振るう絶対的なゲームメイカー。しかし、彼女の真骨頂はそれだけではない。チームが苦しい時、自らゴールを奪い切る勝負強さも持つ稀有な存在だ。
WEリーグ初年度の2021年にINAC神戸に加入すると、不動のボランチとしてチームの優勝に大きく貢献した。しかし、初年度の優勝以降、中心選手の入れ替わりもあり、チームは3シーズン連続で2位に甘んじ、あと一歩のところで頂点を逃し続けた。
「本当に悔しい思いを、3年も続けてしてきた」
その悔しさをバネに、今季から就任した宮本ともみ監督のもと、成宮は貪欲に目の前の1戦を勝ち切ることだけに集中した。
今シーズン、その真価が最も発揮されたのが、リーグ優勝の行方を占う日テレ・東京ヴェルディベレーザと三菱重工浦和レッズレディースとの上位対戦だった。
宮本監督から「唯が決めてこい」と勝負どころでの得点を期待されていた成宮は、4試合全てでゴールを叩き出すという驚異的な勝負強さをみせる。
「浦和戦はロスタイムでの得点(成宮のミドルシュートがバーをはじき、MF水野蕗奈のゴールを呼び込む形)だったので、あれを引き分けではなく勝ちに持っていけたことが本当にターニングポイントだった」
ここ一番の試合で「自分がチームを勝たせる」という強い意志と、ピッチ内外で仲間を鼓舞し続ける姿が、再びINAC神戸にWEリーグ優勝をもたらした。
今シーズンはWEリーグだけでなく、なでしこジャパンとしての代表活動も含めて過密日程を極めた。成宮はINAC神戸で全試合に出場して高いパフォーマンスを維持し続けた。31歳という年齢を迎え、その裏には並々ならぬ努力があった。
「31歳なので、筋肉痛は2日後にしっかり来ます(笑)。不安が少しでもあると、オフでもケアに行ったりっていうのを今シーズンは本当に徹底してました。少しでも良くなることがあればと、色んなことを試したオフの過ごし方が、パフォーマンスに繋がった」
WEリーグのMVPを手にしても、成宮の視線はすでにその先へと向けられている。
「やるべきことは目前の試合で良いパフォーマンスをすること。その結果として(来年の)W杯に行くことは私の夢でもあるので、目標を忘れずに逆算して、来シーズンも良いパフォーマンスが出せるように、また良いオフを過ごして開幕を迎えたいです」
彼女が見据える未来のスケールは大きい。来シーズンはINAC神戸として「国内3冠(WEリーグ、WEリーグカップ、皇后杯)」と、アジアの頂点を決める「AFC女子チャンピオンズリーグ(AWCL)」の制覇を狙う。さらには、なでしこジャパンとしてのアジア競技大会の優勝、来年の女子W杯での活躍という壮大な夢への逆算が、すでに始まっている。
(砂坂美紀 / Miki Sunasaka)




















