久保建英は「レベルがかなり落ちた」 現地は残留予想も…W杯次第で「移籍の扉が開く」

レアル・ソシエダの久保建英【写真:徳原隆元】
レアル・ソシエダの久保建英【写真:徳原隆元】

今シーズンは2度の負傷に悩まされた

 5月23日のエスパニョール戦をもって、久保建英のレアル・ソシエダでの2025-26シーズンが終了した。今季を振り返ると共に、現地記者に久保のパフォーマンスや去就について意見を伺った。

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 今季は久保にとって最も怪我に苦しんだシーズンとなった。レアル・ソシエダ在籍4年で3度目の開幕弾を記録して上々のスタートを切るも、昨年9月の代表戦で左足首を負傷。それ以降、無理を押してプレーしたことで、3試合を欠場することになった。

 11月にようやく完治したが、チーム状態の悪さも重なり、復調の兆しが見えたのはセルヒオ・フランシスコ監督更迭後の昨年末だった。信頼を得られたペッレグリーノ・マタラッツォ新監督のもと、3試合続けてほぼフル出場した後に臨んだ1月18日のバルセロナ戦で、酷使した身体がついに悲鳴をあげる。ピッチを駆け上がった際に左足ハムストリングを痛め、キャリア最長となる3か月、計12試合もの欠場を余儀なくされた。

 4月11日のアラベス戦で戦列復帰したが、その直後に国王杯優勝を成し遂げたチームは大きく調子を崩していく。長期離脱していた久保も同様に輝きを発揮できない状態が続き、最後の2試合はピッチに立つことなくシーズンを終了した。

 マタラッツォ監督は最終戦の前日、出番が減っていた久保について、「監督就任から最初の数週間はタケの素晴らしい姿を見ることができたが、負傷後はそのレベルに達していない。彼のクオリティーは高く、内側に切り込むドリブルでチームに貢献できるが、他にも面白い特徴を備えた選手たちが揃っている」と負傷前のキレを取り戻せていないことを認めていた。

 久保の今季の公式戦成績は、27試合(先発19試合)、1740分出場、2得点4アシスト。計15試合を欠場した2度の怪我により、シーズンの半分以上を万全の状態でプレーできなかったことや、欧州カップ戦不参加による試合数の減少が大きく影響し、レアル・ソシエダ在籍4シーズンで最も悪い成績となった。

 過去3年を振り返ると、初年度の2022-23シーズンは44試合(先発34試合)、2914分出場、9得点6アシスト。2023-24シーズンは41試合(先発33試合)、2931分出場、7得点4アシスト。そして昨季は52試合(先発40試合)、3493分出場、7得点4アシストと、いずれも今季の成績を上回っていた。

 エスパニョール戦の取材に訪れていたスペインのラジオ局『ラジオ・マルカ』のホセ・マヌエル・オリバン記者は今季の久保のパフォーマンスを総括してくれた。

「今季は過去のシーズンに比べてかなり精彩を欠いていたし、存在感が薄かった。不動のレギュラーでもなく、ベンチスタートが何度もあった。怪我の影響は大いにあるだろうが、これまでと比べて彼のレベルはかなり落ちているという印象だ。本人にとっても不本意なシーズンだったと思う。今季のパフォーマンスを採点するとすれば5点(最高10点)、かろうじて合格点といったところだ」

 毎年夏に騒がしくなる去就問題について、今夏はどうなると感じているのだろうか。

「久保は今、サン・セバスティアンで満足していないように見える。コンディションの問題があるかもしれないが、特に終盤はマタラッツォにあまり重用されていなかったので、良いオファーがあれば移籍の可能性もあるだろう。契約解除金は非常に高いとはいえ、本人が移籍を希望し、獲得に前向きなチームがあり、レアル・ソシエダが彼を戦力として考えていないのであれば交渉の余地は十分にあると思う。もし残留を望まないなら、ワールドカップは彼にとってのショーケースとなる。自分が優れた選手であることを世界中にアピールする場になるはずだ」

「残留の可能性は昨夏よりも高いと言える」

 一方、クラブの地元紙『ノティシアス・デ・ギプスコア』のマルコ・ロドリゴ記者は逆の見解を示していた。

「秋に足首、1月に筋肉系の怪我を負ったことで、今季は本来の力を発揮できず、良いシーズンを送れなかった。そしてラ・レアルが来季のヨーロッパリーグ出場権を獲得した。これらの要素を総合的に考えると、残留の可能性は移籍の報道が頻繁に出ていた昨夏よりも高いと言えるだろう」

「あくまでも私の個人的な見解だが、チャンピオンズリーグに出場するレベルのクラブが、今の状態の久保に賭け、獲得に動くような状況にはないと思う。このままラ・レアルに残留し、ヨーロッパリーグでプレーすることが、2027年夏にステップアップを試みるきっかけになるかもしれない」

「それでも彼にはまだワールドカップが残されている。もし日本代表で輝くことができれば、この夏に移籍の扉が開く可能性はあるだろう。久保は昨夏、加入した2022年以降、チームの戦力が低下していると、クラブの補強に対する不満を口にしていた。そして、彼のラ・レアルでのキャリアが終わりに近づいているという感覚を誰もが抱いている。現時点において、ビッグクラブが獲得に動く状況はないように思われるが、ワールドカップの活躍次第でその状況が変わる可能性はあるだろう」

「最後に一点、ラ・レアルが久保のキャピタルゲイン(購入価格と売却価格の差による収益)の50%をレアル・マドリードに支払わなければならないことを忘れてはいけない。600万ユーロ(約11億1000万円)で獲得したため、もし契約解除金に設定されている6000万ユーロ(111億円)で他のクラブに売却した場合、2700万ユーロ(約49億9500万円)を支払わなければならず、手元には3300万ユーロ(約61億500万円)しか残らない。そのため、クラブとしてはこの取引を急ぐ必要がない状況だ」

 2度の怪我に苦しめられ、不本意なシーズンを送った久保の去就は現時点で不透明だが、残留した場合、来季は国王杯優勝により、4大会(ラ・リーガ、国王杯、ヨーロッパリーグ、スペイン・スーパーカップ)に参加し、数多くのタイトル獲得に挑戦できるというポジティブな未来が待っている。一方、来月にワールドカップを控え、新シーズン開幕まで3か月近くあるため、たとえ例年のように去就が騒がしくなるとしても、まだ先のことになりそうだ。

(高橋智行 / Tomoyuki Takahashi)



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高橋智行

たかはし・ともゆき/茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、スペインリーグを中心としたメディアの仕事に携わっている。

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