カズ、歴史的勝利に感慨「大きな1勝」 投入直後に失点…自身の出来は「悔やまれる」

勝利後、ホームのサポーターと一緒に記念撮影する福島FWカズ(中央)【写真:荻島弘一】
勝利後、ホームのサポーターと一緒に記念撮影する福島FWカズ(中央)【写真:荻島弘一】

磐田を破った福島、三浦知良「チームや選手を成長させる大きな1勝になる」

 J3の福島ユナイテッドFCが、歴史的な勝利をあげた。福島は5月10日、J2・J3百年構想リーグでJ2のジュビロ磐田と対戦。前半1-1で折り返しながら後半に持ち前の細かいパス回しから3ゴールし、4-2で快勝した。2014年のJリーグ入り以来、J1優勝経験のあるチームに勝ったのは初。後半43分から出場したFW三浦知良(カズ、59)も「大きな1勝」と喜んだ。

【PR】ABEMA de DAZN、2/6開幕『明治安田Jリーグ百年構想リーグ』全試合生配信!毎節厳選6試合は無料!

 ピンクの第3ユニフォームに身を包んだ福島が、伝統のサックスブルーを圧倒した。前半はMF芦部晃生が先制のゴールを決めたものの、相手の強いプレスに苦しんで1-1。ところが、選手の立ち位置を修正した後半は面白いようにパスが回った。

 磐田から移籍して3シーズン目のMF針谷岳晃が、中盤の底から古巣を手玉にとった。後半8分には細かいパス回しで磐田ゴール前に侵入するとMF上畑佑平士がゴール。その後も2ゴールを重ねて4-1と大きくリードした。

 大量リードに気持ちが守りに入ったのか終盤はガス欠気味。カズが入ってからはさらに重心が後ろに傾きアディショナルタイムに失点した。寺田周平監督は「最後の失点はもったいなかったし、無くしていかないと昇格は難しくなる」とJ2昇格を目指す2026-27シーズンに向けてコメント。カズも「取られちゃいけないし、非常に残念。自分としては悔やまれる」と交代後の失点を振り返った。

 それでも、勝利は大きかった。前節の藤枝MYFC戦のPK戦勝ちに続き、J2相手に2連勝となった。ホームでの勝利は3月8日以来2か月ぶりで、スタンドのサポーターも大盛り上がり。今季ホームで2度目となる勝利試合後恒例の「わらじ踊り」にスタンドも沸いた。

 磐田相手の勝利に、カズは「J1で何度も優勝しているJリーグのなかでも歴史ある名門チーム。チームや選手を成長させる大きな1勝になる」と話した。近年はJ1とJ2を行き来するなど苦しんでいる磐田だが、1990年代終盤から2000年代序盤にはJリーグを3度制し、アジアも制覇。「Jリーグ史上最強」とまで言われたチームだった。

 名波浩を中心に藤田俊哉、福西崇史ら日本代表クラスを中盤に並べ、素早いプレスと圧倒的なパスワークでゲームの主導権を握ったのがジュビロ(磐田)のサッカー。この日の福島は、そんな伝統を持つ名門を素早いパスで崩して圧倒した。

 もちろん、連戦でターンオーバーもしているし、本来の磐田の力ではないかもしれない。それでも、これまで対戦もほとんどないJ1優勝経験クラブに勝ったことは大きい。チーム4点目を決めたMF中村翼は磐田の黄金時代こそ知らないが「J2やJ1でやっている選手も多いですし、チームにも自分にとっても自信になる」と話した。

 大型連休中の5連戦を3勝2敗で乗り切った福島。この日、J公式戦初出場のGK安西駿が好セーブ連発で活躍したように、メンバーを入れ替えながらも好結果を残せた。寺田監督が「積み上げができた5連戦だった」と言えば、5試合のうち2試合に出場したカズも「チーム力が上がってきた証拠」と話した。

 チームが歴史的な勝利を収めたこの日、カズにはもう1つ嬉しいことがあった。昨季まで所属し、今季からユニフォームスポンサーとなった東海リーグのアトレチコ鈴鹿が、三重県選手権優勝を果たしたのだ。昨季までJFLで戦い、今は「格上」となったライバルのヴィアティン三重を1-0で下し、カズが在籍していた2022年以来の天皇杯出場を手にした。「嬉しいね。いいニュース」と笑顔をみせ「勝利ボーナスを出そうかな」とまで言った。

 今大会の地域リーグは残り2試合。尻上がりに調子を上げたチームは16日のホーム最終戦で北海道コンサドーレ札幌と対戦する。「しっかり準備をしたい」。言葉はいつもと同じだが、表情には名門磐田を下したチームに対する自信と横浜FC時代の2020年12月以来、5年半ぶりに2試合連続でJ公式戦のピッチに立った充実感があふれていた。

(荻島弘一/ Hirokazu Ogishima)



page 1/1

荻島弘一

おぎしま・ひろかず/1960年生まれ。大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。スポーツ部記者として五輪競技を担当。サッカーは日本リーグ時代からJリーグ発足、日本代表などを取材する。同部デスク、出版社編集長を経て、06年から編集委員として現場に復帰。20年に同新聞社を退社。

今、あなたにオススメ

トレンド

ランキング