イングランド代表の歴代ベスト11 「伝統システム」にベッカム…現役から抜擢された2人

イングランド代表ベストイレブンに選ばれた名選手たちは?【写真:アフロ & AP & Action Images】
イングランド代表ベストイレブンに選ばれた名選手たちは?【写真:アフロ & AP & Action Images】

強豪国歴代ベストイレブン イングランド代表編

 ウェンブリーで日本代表に敗れたイングランド代表だが、北中米W杯の優勝候補であることに変わりはないだろう。FIFAランキング4位という評価は、主に1990年代以降に築かれてきた新たな伝統とプレースタイルの成熟を反映している。

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 現在のイングランドは、どこか北欧的とも言える整然としたチームへと変貌を遂げている。しかし、かつてはまったく異なる姿を見せていた。画一的な側面は以前から存在していたため「全く違う」とまでは言い切れないが、少なくとも1980年代頃までのイングランドは他国と一線を画し、原初的なフットボールのDNAを色濃く残す荒々しいスタイルが特徴だった。

 そのルーツを辿れば、全盛期は1920年代にまで遡る。国際試合では大差での勝利が当たり前であり、「サッカーの母国」は圧倒的な存在だった。本来であればこの時代からベストイレブンを選出するのが妥当だろう。しかし、日本の年号で言えば大正時代にあたり、映像資料も残っていないため、この時代の選手を選ぶのはさすがに難しい。ここでは、1927-28シーズンにエバートンで60得点を記録したディキシー・ディーン、代表23試合28得点のスティーブ・ブルーマーの名を挙げるにとどめておく。なおブルーマーは、野球選手としても3度の英国チャンピオンに輝いている。

 その後、1930年代に入ると他国との差は急速に縮まり、やがて逆転を許すことになる。そしてイングランドの第二の栄光は、1966年ワールドカップ優勝だ。これは初優勝であり、現在に至るまで唯一の戴冠でもある。

 この66年大会のメンバーからは、まずGKゴードン・バンクスを選びたい。次の1970年大会で、ブラジルのFWペレが地面に叩きつけた完璧なヘディングシュートをバーの上へとかき出した“世紀のセーブ”で知られる名守護神だ。

 ボビー・チャールトンも外せない。左利きでありながら右足も使いこなす、当時としては珍しい両足利きの選手だった。中盤で攻守を支える運動量は群を抜き、「キャノン(大砲)」と恐れられた強烈なシュートも武器である。ちなみに「ボビー」は愛称で本名はロバート。来日時にホテルを訪ねた際、「ロバート・チャールトン様ならいらっしゃいますが」と言われて初めて気づいたという逸話もある。ミュンヘンの悲劇を生き延びた数少ない生存者の一人であり、温厚な紳士としても知られていた。

 同じく66年組からはもう一人、センターバック(CB)のボビー・ムーアを挙げたい。卓越した読みと、当時のDFとしては例外的な技術の高さを兼ね備えていた。相棒には、66年以降の最高成績となる1990年大会で活躍したマーク・ライトを据える。ムーアとタイプが近く、彼の存在なくして3バックへの移行は難しかっただろう。右サイドバックには、リバプールの鉄人フィル・ニール、左にはアシュリー・コールを配置する。

 伝統の4-4-2システムにおいて、右MFはデイビッド・ベッカムで決まりだ。ロングクロスの精度はサッカー史上でも屈指であり、端麗な容姿とは裏腹に、泥臭く走り続けるハードワーカーでもある点が、いかにもイングランドらしい。左には1978年、79年とバロンドールを連続受賞したケビン・キーガン。本来はFWだが、ハンブルガーSV時代にはMFとしても活躍し、敏捷性と突破力に加えてゲームメイク能力も兼備。小柄ながら空中戦にも強かった。

 チャールトンと組む中央MFには、現役世代からデクラン・ライスを選出した。イングランドには意外にも純粋な「6番タイプ」が少ない。ブライアン・ロブソン、ポール・ガスコイン、スティーブン・ジェラード、フランク・ランパードといった候補も挙がるが、チャールトンの後方でバランスを取る役割を重視し、ライスを選んだ。CK、FKまでセットプレーの質も高い。

 そして2トップは、ハリー・ケインとウェイン・ルーニー。歴代最多得点記録を持つケインは、その万能性も際立つ存在だ。ルーニーはセカンドトップとしての柔軟性に加え、キーガンとのポジション互換性という点でも魅力的である。

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西部謙司

にしべ・けんじ/1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。

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