W杯まで2か月半、日本代表は最終フェーズへ 怪我でキーマン不在…英国遠征で3つの注目ポイント

日本代表はスコットランド、イングランド代表と対戦へ
2026年北中米ワールドカップ(W杯)開幕まで2か月半。6月11日に開幕を迎えるこの大会で、これまで以上の躍進を目指す日本代表のメンバー選考も、カウントダウン状態に突入している。
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こうしたなかで、行われる3月の欧州遠征は本番前最後の強化の場。森保一監督は「5月31日のアイスランド戦(東京・国立)前に登録メンバー26人を発表すると語っており、当落戦上にいると目される面々にとってはラストアピールのチャンスとなる。
今回はキャプテンの遠藤航(リバプール)を筆頭に、攻撃の主軸を担ってきた南野拓実(ASモナコ)、久保建英(レアル・ソシエダ)、守備の主力である板倉滉(アヤックス)が不在。久保と板倉は本番には間に合うと見られるが、遠藤は微妙で、南野は絶望的。さらには大ベテランの長友佑都(FC東京)も右太もも裏の肉離れで離脱しており、ピッチ内外のキーマンを欠く中、スコットランド(28日=グラスゴー)・イングランド(31日=ウエンブリー)というW杯出場の強豪国に挑まなければならないのだ。
そこで指揮官は普段より少し多い28人のメンバーを選出。伊東純也(KRCへンク)、鎌田大地(クリスタル・パレス)、谷口彰悟(シント=トロイデン)、堂安律(フランクフルト)ら攻守の主力にチームの命運を託すことになった。彼らが中心となってチームをけん引すると目されるが、まず1つの注目点はキャプテンをどうするかだ。
森保監督は「今回の活動のキャプテンはこれからの活動に向けてしっかり考えたい」と、遠征が始まってから吟味することを明かしたが、やはり候補者は上記4人のいずれかだろう。
2022年カタールW杯に参戦していて、第2次森保ジャパンでも初期からチームを引っ張り、最終予選を経験している彼らは指揮官との戦術をよく理解し、コーチングスタッフとの関係性も深い。
チーム最年長の谷口が順当と言えば順当だが、森保監督はあえて堂安を抜擢することも大いにあり得る。2025年10月のブラジル戦(東京)勝利の後、筆者の単独インタビューに応じた際にも「律のような中堅世代にやってもらうアイディアもあった」と明かしており、自らが長く指導してきた東京五輪世代の代表格へ特別な思い入れがあるようだ。
ゆえに、エースナンバー10を任せているわけだが、今回はキャプテンの重責も託すかもしれない。今季赴いたフランクフルトでは多彩な役割を求められ、本人も苦戦を強いられているようだが、日本代表では別。仮に堂安が選ばれた場合は、キャプテンらしい毅然とした立ち振る舞いを見せてほしい。
2つ目のポイントは冨安(アヤックス)、伊藤洋輝(バイエルン)、鈴木彩艶(パルマ)ら負傷復帰組の状態確認だろう。
冨安は負傷により英国遠征の不参加が決まってしまったが、3月14日のスパルタ戦で新天地初先発。後半24分までプレーしたが、コンディションは悪くない様子だった。伊藤は、3月18日のUEFAチャンピオンズリーグラウンド16・アタランタ戦で後半38分から出場し、約1か月ぶりの公式戦復帰を果たしたところ。鈴木彩艶にしても、3月13日のトリノ戦で4カ月ぶりにスタメン復帰しているが、まだベストパフォーマンスには到達していない模様だ。
この3人は2026年北中米W杯でフル稼働してもらわなければいけないキーマン。現状で100%でなかったとしても、2か月半後にはフル稼働できる状態に引き上げてもらわなければいけない。それは本人たちが誰よりもよく分かっているはずだ。
そのほかにも、直近15日のエクセルシオール戦を欠場した渡辺剛(フェイエノールト)、2~3月にかけて公式戦を欠場した鈴木淳之介(コペンハーゲン)、ケガがちの三笘薫(ブライトン)らもしっかりとコンディションを見極めなければならない。そこも3月欧州遠征の必須テーマとなりそうだ。
3つ目は若手世代の最終絞り込みだ。
南野や久保の離脱に伴って、森保監督は代表に完全定着していない鈴木唯人(フライブルク)、佐野航大(NECナイメンヘン)、後藤啓介(シント=トロイデン)、佐藤龍之介(FC東京)らを大量招集。さらには、今年1月にオランダ・エールディビジからドイツ・ブンデスリーガにステップアップした塩貝健人(ヴォルフスブルク)も初めて抜擢するに至った。
「塩貝の招集に関しては、W杯に向けてチームを固めていくという最後の活動になるかもしれないし、『もう試す時期じゃないだろう』と考えられる方もいるかもしれないが、W杯に勝つために我々の最大値を考えられる選手であれば、招集させてもらった方がいいと判断した」と指揮官は塩貝の招集理由を説明していたが、若い力の成長に最後の最後まで期待しているということだろう。
森保監督が今回、復帰確実と見られていた守田英正(スポルティング)を外して、佐野海舟(マインツ)や藤田譲瑠チマ(ザンクトパウリ)を継続して選んでいるのも、「欧州5大リーグ、もしくはそれに近い環境で活躍している若手の方が成長力が高い」という判断に違いない。この欧州遠征2連戦で、鈴木唯人や佐野航大らが爆発的なパフォーマンスを見せてくれれば、そのまま本番行きをつかみ取れるということ。それは2028年ロサンゼルス五輪世代の3人にも言えることだ。
2023年3月の第2次森保ジャパン発足時を振り返ってみると、「このままだと、2026年北中米W杯も2022年カタールW杯を戦った東京五輪世代中心のチームになってしまう」という危惧があった。その時点ではチームの若返り遅れていたのも確かだ。けれども、ここへ来て、新たな流れが生まれているのも事実。それを加速させられるか否かは若い世代の仕事ぶりにかかっている。
こうした3つのチェックポイントを念頭に置きつつ、重要な3月欧州遠征を注視していきたいところ。前向きなサプライズが数多く見られるような収穫の多い活動になることを大いに期待したい。
(元川悦子 / Etsuko Motokawa)

元川悦子
もとかわ・えつこ/1967年、長野県松本市生まれ。千葉大学法経学部卒業後、業界紙、夕刊紙記者を経て、94年からフリーに転身。サッカーの取材を始める。日本代表は97年から本格的に追い始め、練習は非公開でも通って選手のコメントを取り、アウェー戦もほぼ現地取材。ワールドカップは94年アメリカ大会から8回連続で現地へ赴いた。近年はほかのスポーツや経済界などで活躍する人物のドキュメンタリー取材も手掛ける。著書に「僕らがサッカーボーイズだった頃1~4」(カンゼン)など。



















