闘莉王が驚き「本人も気づいてない」 ブレイク候補の才能…25歳は「ブラジル人のよう」

インタビューに応じた闘莉王氏【写真:荒川祐史】
インタビューに応じた闘莉王氏【写真:荒川祐史】

2010年南アフリカW杯でオランダ代表と対戦

 2019年の引退から7年、かつての闘将は今もなおサッカーに情熱を注ぐ。元日本代表DF田中マルクス闘莉王氏は後輩の奮闘を今も追う。残り3か月に迫った北中米グループステージ初戦で激突するのは、オレンジ軍団・オランダ。2010年南アフリカW杯で死闘を演じた因縁の相手との“再戦”を、闘莉王氏はどう見ているのか。「FOOTBALL ZONE」独占インタビューの第3回は、勝負の鍵を握る「ブレイク候補」にスポットを当てた。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小杉舞/全4回の3回目)

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 2010年6月19日、南アフリカ・ダーバン。グループステージの第2戦。カメルーン代表に勝利を収めて臨んだ一戦で、闘莉王氏はオランダの波状攻撃を跳ね返し続けていた。当時は「いかに守って勝ち点1を拾うか」という戦い。ロビン・ファンペルシーやヴェスレイ・スナイデルらスター選手を相手に岡田ジャパンも奮闘した。結果は0-1の惜敗。互角の戦いを見せたが、あと1歩が届かなかった。

 あれから16年。再び相まみえる北中米W杯の初戦に向け、闘莉王氏の口から出た言葉は驚くほど強気だった。

「今の日本代表は、僕らが戦った2010年の時とは全然違いますよ。はっきり言って、今の日本には分がある。何より攻撃のクオリティーが別次元。最前線の上田綺世はもちろん素晴らしいけれど、両ウイング、ボランチ、そしてトップ下を含めた組織力は、当時の僕らにはなかった武器です。いくらオランダといえど、今の日本の連動性を簡単に止められるものではない。相手の方が、今の日本と戦うのは嫌だと思いますよ」

 かつては“挑戦者”だった。今でも、チャレンジャー精神は失わないものの、相手へのリスペクトは持ちながら、主体的に戦えるかが日本代表にとって今大会のテーマの1つでもある。闘莉王氏も、この4年間で積み上げたチーム全体の「心の余裕」があると分析した。

「今の日本は、最悪『勝ち点1でいい』という計算ができる。これだけの攻撃陣がいれば、どこかで一発仕留められるという自信があるから、焦らなくて済む。ただし、唯一の懸念はコンディション。今のサッカーは当時より強度がさらに上がっているから、負傷離脱への恐怖をどうコントロールするかが重要になる。僕もW杯イヤーは怪我をするのが怖くて、いつもならいけるところをいけない……ということがあったぐらい。ただ、今の選手たちはメンタルも相当鍛えられている。大舞台で誰がラッキーボーイになるのか。僕は1人推したい選手がいるんですよね」

中村敬斗は「シュートを打つだけでどんどんリズムに」

 短期決戦のW杯において、勝負を分けるのは戦術だけではない。2022年カタール大会でMF三笘薫が“ジョーカー”として世界を驚かせ、ドイツやスペインをどん底に突き落としたように、一瞬で空気を変える個の力が必要不可欠。闘莉王氏は今回、その役割を担う「ブレイク候補」として日本代表MF中村敬斗の名を挙げた。

「今大会の鍵を握るのは中村だと思いますね。何よりシュートが上手い。自分の形に持っていく確率もかなり高まってきた。シュートフェイントもうまくて、僕が対峙するなら一番嫌なタイプ。あまり日本にはいないし、少しブラジル人のような遊び心を持ってプレーしている感じがする。シュートを打つだけでどんどんリズムに乗っていけるタイプ」

 中村は高校2年生、17歳で三菱養和SCからガンバ大阪に飛び級で加入。名古屋グランパスとの開幕戦で途中出場してJリーグデビューすると、1か月も経たないうちのルヴァンカップ浦和レッズ戦で自陣から70メートル以上を独走し、冷静にニアサイドをぶち抜く衝撃的なプロ初ゴールをマークした。17歳の新人が見せた規格外の推進力と落ち着きは、今の飛躍を予感させるに十分なもの。2023年から定着した日本代表でも勝負強さを発揮。国際Aマッチ初出場から6戦6発は1970年の上田忠彦以来54年ぶり2人目の快挙だった。驚異の決定力で昨年はブラジル相手にもゴールを記録。記憶に残る一撃を、ここぞという場面で決めてきた。

「もしかしたら本人も気づいていないかもしれないけど、あの独特な間、リズムでシュートを打てるのは天性の才能でしかない。そういうツキを持っている選手はW杯に必要で、ヒーローになる可能性を大きく秘めている。例えばオランダの守備陣も、彼のリズムには対応しづらいはずです」

 現役時代、常に最後方からチームを鼓舞し続けた闘将の目には、若きアタッカーがオレンジの壁を打ち破る姿が鮮明に映っていた。

(第4回に続く)

(FOOTBALL ZONE編集部・小杉 舞 / Mai Kosugi)



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