日本代表の英遠征“サプライズ招集候補” 識者が予想…欧州組24歳が「逞しくなった」

坂元達裕、森下龍矢、三戸舜介、山本理仁、宮代大聖らのサプライズ招集に期待
森保一監督が率いる日本代表はイギリス遠征を行い、日本時間3月29日にスコットランド、4月1日にイングランドと対戦する。3か月後の北中米ワールドカップ(W杯)に向けて大詰めとなるなかで、いわゆる“サプライズ招集”はあるのだろうか。
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森保監督は貴重な欧州2か国との対戦に、できるだけ現在の主力をベースに挑みたい考えを示しているが、怪我明けの選手の招集も含めて、通常より大所帯になる可能性もある。世間で多く名前があがるのは9月のアメリカ遠征に追加招集されて以来の復帰が待望されるMF佐野航大(NECナイメヘン)と、活躍の舞台をオランダからドイツに移し、評価を高めるFW塩貝健人(ヴォルフスブルク)だ。
佐野の復帰や塩貝の初招集にも期待したいが、さらに筆者独自の目線で“サプライズ招集”候補を挙げてみたい。
“欧州組”でも、特に注目したい選手の一人が坂元達裕(コヴェントリー・シティ)だ。セレッソ大阪に所属していた2021年に、カタールW杯の2次予選で招集されたが、そこから5年近く森保ジャパンに呼ばれていない。しかし、ベルギーのオーステンデで評価を高めて、2023-24シーズンからイングランド2部チャンピオンシップに挑戦の場を移すと、3シーズン主力に定着。今シーズンはフランク・ランパード監督のもと、チャンピオンシップでの快進撃を支えている。
左利きのドリブラーである坂元。現在は右サイドから得意のカットインや3月11日のプレストン戦で見せたように、ファーサイドに飛び込んでのフィニッシュで異彩を放っており、ここまで6得点。ハードワークや守備強度の部分も安定しており、現在首位を独走するコヴェントリーがプレミア昇格を果たせば、チームとともにプレミアデビューの運びとなりそうだ。森保ジャパンの右サイドには堂安律(フランクフルト)と伊東純也(ゲンク)という2枚看板がいるが、伊東はシャドーでの起用も増えており、久保建英(レアル・ソシエダ)も代表ウィーク明けの復帰が伝えられることから、今回がチャンスかもしれない。
チャンピオンシップでは森下龍矢(ブラックバーン)の奮闘も目を引く。2023年の親善試合で初招集された森下は昨年6月のインドネシア戦で、代表初得点を記録した。過去にはサイドバックの候補として招集されてきた向きもあるが、ポーランドの名門レギア・ワルシャワでも攻撃的なポジションでブレイクし、ブラックバーンに移籍してからもシャドーのポジションで、1トップの大橋祐紀とも良好な連携を見せている。機動力の高さに加えて、3-4-2-1であれば左右のウイングバック、シャドーの4ポジションができるポリバレントな能力は魅力であり、何より底抜けの明るさは本大会でもプラスになりうる。
23歳の三戸舜介(スパルタ)も森下と同じく、昨年の6月シリーズを最後に招集されていないが、8月から10月にかけて、怪我で離脱していたことが響いているのは間違いない。戦線復帰してからはオランダリーグでも存在感あるパフォーマンスを見せており、ここまで5ゴール3アシストを記録している。インドネシア戦では左のウイングバックで起用されたが、スパルタでは4-2-3-1の左サイドアタッカーとして定着しており、パリ五輪代表では4-3-3のインサイドハーフで起用されていた。怪我人の状況などを考えても、3月シリーズに招集された場合はシャドーも選択肢になってくるかもしれない。
パリ五輪世代では山本理仁(シント=トロイデン)が着実に評価を高めている。東京ヴェルディからのチームメートでもある、同世代の藤田譲瑠チマ(ザンクト・パウリ)はベルギーからドイツ1部にステップアップし、A代表にも定着したが、優勝プレーオフに進出を果たした現在のシント=トロイデンで、もはや欠かすことができない中盤の要となっている。左利きを生かした展開力もさることながら、バイタルエリアに侵入してフィニッシュに関わる動きでも、確かな成長を見せる。課題だったフィジカル面も、かなり逞しくなった印象だ。
キャプテン遠藤航(リバプール)が負傷し、本大会に間に合うかどうかも心配されるなかで、守田英正(スポルティング)の代表復帰も期待されているが、ボランチは初招集があってもおかしくないポジションだ。チャンピオンシップで出番を増やしているパリ五輪世代の松木玖生(サウサンプトン)をはじめ、岩田智輝(バーミンガム)、瀬古樹(ストーク・シティ)、森保ジャパン経験者であるベルギーの伊藤敦樹(ヘント)ら他にも有力選手はいるが、左足のキッカーとしても優秀な山本は本大会で躍進するためのピースとしても面白い。
もう一人、欧州で充実ぶりを見せているのが宮代大聖(ラス・パルマス)だ。川崎育ちのストライカーはヴィッセル神戸で、大迫勇也や武藤嘉紀に刺激を受けながら2年連続の2桁得点を達成。昨年の夏には国内組で臨んだE-1選手権でA代表デビューし、優勝に貢献した。結果的に5得点のジャーメイン良(広島)の影に隠れた感もあるが、チャンスの起点としてのプレーや効果的なオフの動きだしなど、森保監督にインプットされたものも大いにあるはず。
新天地での活躍も素晴らしく、4-4-2のFWとしてインパクトを放っている。3月8日のセウタ戦では味方のシュートのこぼれ球に反応して初得点を決めると、グラウンダーのクロスに合わせて2得点目を記録した。1部昇格を目指すラス・パルマスのルイス・ガルシア監督も能力と闘争心を高く評価していることを表明している。
先週末のアルバセテ戦でもチームは敗れてしまったが、ショートコーナーからのクロスをダイレクトボレーで合わせて2試合連続ゴール。シュートのうまさはJリーグでも際立っていたが、“川崎の大砲”として知られたストライカーはスペインの地で、さらに完成度を高めている。森保ジャパンでは左シャドーがメインになると考えられるが、勝負のオプションとして2トップが使われる場合は最強のカードになってくる可能性もある。
“国内組”では昨年11月に天皇杯の事情で外れたGKの大迫敬介(広島)や長友佑都(FC東京)、相馬勇紀(町田)の再招集は予想されるところだ。カタールW杯を怪我で欠場した中山雄太(町田)も左センターバック、ウイングバック、ボランチをこなせる貴重なポリバレントとして、ここで招集されてもおかしくないだろう。昨年のE-1メンバーでは荒木隼人(広島)も有力だが、持ち前の守備能力に加えて、ビルドアップにも進化が見られる植田直通(鹿島)の再浮上も。この2人に関してはセットプレーの得点力という基準では“欧州組”に増して頼りになる。
筆者の評価としては森田晃樹(東京V)が現在の森保ジャパンには無い攻撃の味付けができるタレントとして、“サプライズ招集”の候補に推したい。正確な技術は言わずもがな、プレーの連続性は代表の常連メンバーにも引けを取らない。いわゆる10番タイプが不遇と言われる現代サッカーにおいて、攻守両面のインテンシティーでしっかりと基準を満たしながら、アイデアでも違いを出せる選手というのは貴重な存在だ。3-4-2-1であれば、ボランチとシャドーの両ポジションで起用が可能。もちろん、ここから“国内組”の選手が初招集で、最終メンバーに割って入るのは困難であることは承知の上で、あえて推しておきたい。
(河治良幸 / Yoshiyuki Kawaji)

河治良幸
かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。




















