久保がベルギーで磨いたハリルJ仕様のFW像 チャレンジ数「106回」に見る進化の跡とは

久保の“勝負”はゴール前だけでなく…

 久保の攻撃でのチャレンジ失敗の分布(ピッチ図参照)を見ると、ペナルティーエリアへ侵入するためのプレーと、ハーフウェーライン近辺の広い位置に分かれている。前者はシュートを打つためのトライ、後者は味方の低いエリアからの縦パスを受ける際の競り合い(地上戦)が中心となっている。6ゴールを奪ったことでシュートシーンがクローズアップされる久保だが、動きながら相手の選手間に入ってくさびのパスを受け、サイドもしくは縦へ配球するプレーもこなしており、その際に相手守備者のチェックが入ればチャレンジが発生する。

 ここでチャレンジに負けると、ハーフウェーライン付近で相手に攻撃権を渡すことになり、失点の可能性が上昇してしまう。最終節では久保の攻撃時のチャレンジ勝率が10%という低い数値となっており、チームも苦戦を強いられた。今季の活躍を経て、来季は対戦相手のチェックがさらに厳しくなることが予想されるため、数値を上げておきたいデータの一つだ。

 そのチャレンジに関わる要素の一つであるドリブルから、勝利したドリブルの開始地点の分布(ピッチ図参照)を見ると、敵陣内の中央低い位置が中心となる比較的珍しい傾向が表れた。主にカウンター時によるものだが、縦パスを受けた際に状況を見てすぐ縦へのドリブルへ切り替えたものが多く、この判断力の早さも久保の大きな武器となっている。こういったチャレンジやドリブルからも分かるように、久保の「勝負」はゴール前だけではなくハーフウェーライン近辺のエリアにもあるのだ。

 

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