森保監督に驚愕「ものすごい難易度の高さ」 J指揮官が目撃…仕事量は「僕らの2倍」

四方田修平監督が中村俊輔コーチについて言及【写真:徳原隆元】
四方田修平監督が中村俊輔コーチについて言及【写真:徳原隆元】

四方田修平氏「大きな車輪を確実に回す監督の力というのは、やはり絶大」

 横浜FCでは2022年のJ2で2位、2023年J1で18位、2024年J2で2位と浮き沈みの激しい戦いを強いられ、2度目のJ1に参戦していた2025年は7月23日付で契約解除という悔しい結果に終わった四方田修平監督(現大分トリニータ)。紆余曲折の3年半だったが、コーチングスタッフに支えられ、貴重な時間を過ごしたのは間違いないだろう。(取材・文=元川悦子/全7回の6回目)

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 とりわけ、2022年限りで現役を退き、2023年からトップチームのコーチングスタッフに転身した中村俊輔コーチの存在は、四方田監督にとっても大きかったはずだ。

「彼ほどの選手経験をしてきた人物というのは日本中を探してもなかなかいないですし、やっぱり“日本の宝”だと思います。ひらめきやアイディア、貪欲さを兼ね備えていますし、僕が言うのもおこがましいですけど、一緒に指導に携わった2年半の間でもすごく成長したのかなと感じます」

 中村俊輔コーチは2024年にJFA公認S級指導者講習会を受講し、ライセンスを取得したが、その間にも「試合中にヨモさんに『この状況、どう思う』と問いかけられてもすぐに答えが浮かばない」と苦渋の表情を浮かべていたことがあった。そういう日々を経験しながら、最適解を見出せるようになっていくのが、指導者という仕事なのだろう。

「彼にはいい監督になってほしいと思っています。2025年限りで横浜FCを離れましたけど、次の活躍の場があるはずです」

 このようにエールを送る四方田監督。実際、2026年には中村コーチの日本代表の後輩に当たる大黒将志監督が奈良クラブ、槙野智章監督が藤枝MYFCの指揮を執ることになっており、「そろそろ自分も勝負したい」と考えているかもしれない。

 いつの日か大役を担うことになるとしたら、四方田監督が北海道コンサドーレ札幌や横浜FCでやっていたように複数のスタッフ・選手を束ねなければならない。そのマネジメントというのが監督にとって一番重要な仕事だと言っていいだろう。

「僕が初めて札幌の監督になった10年前に比べると、Jリーグのトップチームのスタッフ数は相当増え、専門性が高くなっています。特にコンディションの部分は複数スタッフを抱えるのが一般的で、J1はフィジカルコーチが2人いるのは当たり前。GKコーチも2人いるチームが少なくないですし、分析スタッフも2~3人は抱えています。

 かなり大規模な所帯になってきているので、彼らの力をうまく発揮させてあげて、チームの力にしていくための体制作りが求められてくると思います」

 日本で最も大きな組織を回している監督と言えば、もちろん日本代表の森保一監督である。ご存じの通り、森保監督は2018~22年までの第1次体制では自分で大半の指導を行っていたが、2023年以降の第2次体制では分業制を推進している。

 合宿のトレーニングでは、攻撃面を名波浩・前田遼一両コーチが担当。守備面を斉藤俊秀・長谷部誠両コーチが主に見ている。それ以外に下田崇GKコーチ、松本良一フィジカルコーチらさまざまなスタッフがいて、彼らの一挙手一投足に目を光らせているのだ。

「10・11月の代表活動を視察させてもらったとき、自分として一番見たかったのは、どうやって大勢のスタッフをコントロールしているかという部分でした。Jリーグでも監督が全てをやるという時代からどんどんコーチに任せるスタイルが多くなっていますし、そうしないと1人で抱える仕事量が多くなりすぎてしまう。その解決策を見出したいなと考えたんです。

 森保さんを見ていて感じたのは、信頼して任せる部分と、監督として自分がやるべき部分の線引きを明確にすることの重要性ですね。その両方を確実にやっていかないと、機能する組織は作れないなと再認識させられました」

 貴重な経験に、目を輝かせた四方田監督。しかも、視察した日本代表は10月シリーズでブラジルに歴史的勝利を挙げている。そのマネジメントを間近で確認できたことは非常に大きな意味があったと言っていい。

「代表は圧倒的に時間が短いなかで、すぐに試合がやってくるというサイクルです。だから、練習で落とし込むべきことがすごく多い。クラブで働く僕らの2倍くらい詰め込んでいかないと間に合わないんです。

 しかも選手のほとんどが欧州から10時間以上かけて移動してくる。時差もあって疲れもあるなか、大量の情報を入れて、パフォーマンスを発揮させなければいけないんですから、ものすごい難易度の高さですよね。

 それをスタッフ総動員で意思疎通しながらやるんですから、本当に大変なこと。森保さんは長い時間をかけて選手に戦術やベースを浸透させているからこそ、ブラジル戦のときも3日4日の活動でああいうパフォーマンスを引き出せたのかなと。大きな車輪を確実に回す監督の力というのは、やはり絶大だと感じますね」

 そういう学びを次なる環境である大分で生かすことが重要だ。もちろん大分と横浜FC、日本代表は規模感が異なるだろうが、「スタッフに任せる部分」と「監督自らやる部分」の線引きを明確にすることだけは心がけていくはずだ。四方田監督にはそれができるはず。新天地でどのような科学変化を起こすのか。そこに注目していきたいものである。

(元川悦子 / Etsuko Motokawa)



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元川悦子

もとかわ・えつこ/1967年、長野県松本市生まれ。千葉大学法経学部卒業後、業界紙、夕刊紙記者を経て、94年からフリーに転身。サッカーの取材を始める。日本代表は97年から本格的に追い始め、練習は非公開でも通って選手のコメントを取り、アウェー戦もほぼ現地取材。ワールドカップは94年アメリカ大会から8回連続で現地へ赴いた。近年はほかのスポーツや経済界などで活躍する人物のドキュメンタリー取材も手掛ける。著書に「僕らがサッカーボーイズだった頃1~4」(カンゼン)など。

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