欧州名門から出て「見返したい」 “認められなかった”場所…葛藤を経て決断した国内移籍

後藤啓介がアンデルレヒトでの経験を振り返った【写真:PsnewZ/アフロ】
後藤啓介がアンデルレヒトでの経験を振り返った【写真:PsnewZ/アフロ】

後藤啓介がアンデルレヒト時代の苦悩を吐露

 ベルギーの地で、今1人の若武者が鮮烈な輝きを放っている。同国1部シント=トロイデンVV(STVV)のFW後藤啓介。191センチの長躯に柔らかな技術を兼ね備え、新天地へ移籍した2025年は公式戦20戦10得点2アシストと急成長を遂げた。20歳にして欧州の荒波に揉まれるストライカーが「FOOTBALL ZONE」の独占インタビューに応じた。2024年冬に海を渡り、最初の目的地となったベルギーの名門アンデルレヒト。しかし、そこでの日々は理想とは程遠いものだった。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小杉舞/全3回の2回目)

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 欧州挑戦から約2年。昨夏に移籍したSTVVでリーグ戦8得点するなど、得点力を爆発させている後藤。だが、これまでの道のりは決して平坦ではなかった。ジュビロ磐田から次世代を担うストライカーと期待され、移籍を遂げたアンデルレヒトではセカンドチームでのプレーが続いた。

「STVVに来て結果が出始めていますけど、正直、アンデルレヒトの時でもこの結果は出せていたと思っています。ただ、あそこでは認められなかった。だから移籍を決意した」

 言葉の端々に、隠しきれない反骨心が滲む。名門で突きつけられた現実は、後藤にとって最大のエネルギーとなった。1年目はセカンドチームで14試合6得点、翌シーズンは24年12月に完全移籍を決意し、トップチームに6試合出場して1ゴール。UEFAヨーロッパリーグの地も踏み、得点もしたが、甘くはなかった。だからこそ、強烈なライバル心を持って今ピッチに立っている。

「(STVVへの)移籍を決めた段階で、アンデルレヒトの選手より得点を取る、自分がトップスコアラーになるというのは強く思っていました。何より自分の力と結果を証明したい。それが今、すごい力になっています」

 とにかく上へ。飽くなき向上心が後藤を駆り立てた。昨年11月には森保一監督率いる日本代表に初招集。森保監督は「運動量が多く、攻守に関わって最後に点を取れるのが彼のいいところ」と評価を下した。STVVでの結果やスタメン奪取に加え、今季の成長ぶりに期待を寄せての初選出。それはベルギーの地で受けた“衝撃”を解釈して、乗り越えたことで1つ飛躍のきっかけとした。日本とは全く異なる守備の概念を自身の中で覆し、自らに責任を課した。

シント=トロイデンでの現在地を見つめる【写真;FOOTBALL ZONE編集部】
シント=トロイデンでの現在地を見つめる【写真;FOOTBALL ZONE編集部】

日本人の仲間に支えられ10得点に

「ベルギーに来て一番感じたのは、攻撃も守備も、基本はマンツーマンから始まるということ。前線で自分が起点を作れなかったらチームの攻撃が成り立たないし、逆に守備ではがされてしまったら、チームとして立てたプランがすべて崩れてしまう。組織で守るというより、まずは『個』。アンデルレヒトで積み上げてきたものが、今ようやく形になって出ているのかなと思います」

 名門での葛藤を経て辿り着いたSTVV。そこには、孤独な戦いを強いられがちな欧州において、彼にとっての「救い」となる環境があった。チームにはベテランのDF谷口彰悟を筆頭に、MF伊藤涼太郎、MF山本理仁、MF松澤海斗、DF畑大雅、GK小久保玲央ブライアンら、多くの日本人選手が在籍する。この環境が、後藤のパフォーマンスを最大化させた。

「シント=トロイデンだからこそ出てくるパスのタイミングっていうのは確実にあります。それに、何より日本語が話せる仲間がいるというのは大きい。ピッチ外の時間で心が落ち着くのは、プレーにもいい影響を与えている。本当にシント=トロイデンに来てよかったと思っています」

 迎えた25年12月14日、第18節アンデルレヒト戦。PKを獲得すると、キッカーの後藤は譲らなかった。振り抜いた右足でGKの逆を突いて古巣からゴールを奪った。今の結果に満足しているわけではない。「アンデルレヒトを見返したい」——。強烈な自我を武器に、ベルギーの空の下で雄叫びを上げている。20歳の咆哮は、まだ止まらない。

(FOOTBALL ZONE編集部・小杉 舞 / Mai Kosugi)



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