首位の京都は「完成形に近づいている」 代表OBが手腕絶賛…森保Jに推す”チームの心臓”「すべての要素持っている」

【専門家の目|太田宏介】好調を維持して首位に立つ京都
京都サンガF.C.は8月24日に行われたJ1リーグ第26節でFC東京と対戦し、4-0と快勝を収め首位に浮上した。今季好調を維持する元日本代表DF太田宏介氏が要因に言及した。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部)
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曺貴裁監督5年目今季はシーズン序盤から好調を維持すると、4月にはクラブ史上初めてリーグ戦で首位に立った。その後一度は首位の座を奪われたが、5月25日の東京ヴェルディ戦(0-1)を最後に約3か月負けなしで、直近のFC東京戦で今季初の3連勝を達成し再び首位に躍り出た。
FC東京戦で解説を務めていていた太田氏は「めちゃめちゃ強いです。曺監督が求めているサッカー、前線からのハイプレスもそうだし、最終ラインまでめちゃくちゃコンパクトで全くぶれない。基本的にロングボール主体とかポゼッション率っていうよりも、前線のエリアスとか能力の高い選手たちを生かすためのプレッシングサッカーですけど、そのサッカーがすごく明確でビジョンがある。だから誰が出ても活躍できるし、1つの駒にならないでそれぞれ出た選手のストロングポイントが今すごい出ている」と、好調な理由を解説している。
「チャンスとなった瞬間に、後ろから2人目、3人目って出てくる勢いと迫力がものすごい。あれだけ後ろから人数が入ってくると相手選は捕まえられないし、今そこに精度も伴っているんでシンプルに見ててめちゃめちゃ楽しいですね。というより気持ちがいいです。普段はこの暑さでもガンガン行くんで。監督が言っていることを本当に再現できる選手たちが揃っている。曺さんも5年目ですけど、湘南からずっと同じようなスタイルでやってきて、エリアスっていう特別な選手がいるっていうのもそうだけど、ようやく求めていたサッカーが完成形に近づいて来てるのかなっていうのを感じますね。京都は天皇杯優勝したのが2002年だと思うんすけど、それ以来チームとしてのタイトルがないなかで、すごく今期待もされてると思うし。曺さんみたいなサッカーをやるチームが優勝争いに加わっていくっていうのは、1サッカーファンとしてめちゃくちゃ楽しみだなと思います」
絶賛の手腕と代表に推す主力MF
曺監督は京都を率いて5年目を迎えるが、21年の1年目には当時J2のチームを2位に導く手腕も見せた。しかしJ1では16位、13位、14位と下位に沈んでおり、昨季は一時最下位にまで転落していたが、途中で加入したラファエル・エリアスの大活躍があり残留となった。
湘南時代を含めても過去最高は15年の8位であるが、今季はそれを上回れそうだ。さらに太田氏は曺監督のマネジメント力にも注目している。
「何よりも選手、スタッフにものすごい慕われているんですよね。この前今年からコーチになった梅崎司君と話したんですけど、『すごく学ぶことが多いのと1つ1つの言葉が分かりやすくて、選手たちに常に言葉が通るというか言語化能力がすごい上手い。本当に勉強になるわ、楽しいわ』ってニコニコしながら喋ってて。1年目にもかかわらず練習でもセッションを任せられるらしいんですよ。黒田監督を見てても思うんですけど、あまり勝てなかったチームをここまで浮上させるのはまぐれじゃない。チーム全体のマネジメントをしながら、選手のモチベーションとかサッカーのスタイルを構築させるのはもちろんですけど、それぞれに役割を与えて責任感を持たせて、なおかつそこでみんなで結果を出す。その作業のマネジメントが上手いんだろうなって話を聞いて思いましたね」
さらに太田氏はチームの心臓を担うMF平戸太貴に注目。平戸は鹿島アントラーズやFC町田ゼルビアを経て23年に京都へやってきた。今季はチームの主力としてリーグ戦24試合6アシストを記録している。
「めちゃめちゃ走ります。FC東京戦でも走行距離1位が平戸だったんですけど、僕は町田で半年一緒にやってて、どちらかっていうとハードワーカーっていうよりもトップ下でどーんと構えて、ラストパスとかセットプレーでのチャンスメイク、ザ・トップ下のイメージがありました。でも今は守備も攻撃もできてなおかつラストパスの精度も高くてみたいな。まさに現代の求められているすべての要素を持っている選手にこの短期間で凄い成長しいてるんで、個人的に代表入ってほしい選手の1人です。あまりクローズアップされていないですけど、ちょっとしたスルーパスとかそこの強弱とかもめちゃめちゃ良いんですよ。ぜひ代表に入ってほしい。チームとしても川崎颯太が抜けてもその穴を感じさせないですもんね」と太鼓判を押している。
さらにドイツから加入したFW奥川雅也や、ポルトガルから帰って来たパリ五輪メンバーのMF山田楓喜、ほかにもFW長沢駿や現在は負傷離脱しているボールハンターのMF米本拓司とベテラン勢もいる。総合力でも他のチームに引けを取らない京都がクラブ史上初のリーグ制覇を成し遂げることができるのか最後まで目が離せない。
(FOOTBALL ZONE編集部)

太田宏介
太田宏介(おおた・こうすけ)/1987年7月23日生まれ。東京都出身。FC町田―麻布大学附属渕野辺高―横浜FC―清水エスパルス―FC東京―フィテッセ(オランダ)―FC東京―名古屋―パース・グローリー(オーストラリア)―町田。Jリーグ通算348試合11得点、日本代表通算7試合0得点。左足から繰り出す高精度のキックで、攻撃的サイドバックとして活躍した。明るいキャラクターと豊富な経験を生かし、引退後は出身地のJクラブ町田のアンバサダーに就任。全国各地で無償のサッカー教室を開校するなど、現在は事業を通しサッカー界への“恩返し”を行っている。



















