欧州古巣の解散危機「数年でこんなことに」 “夢”も叶わない恐れ…代表OBが沈痛「寂しい」

クラブ解散の危機に直面しているフィテッセ【写真:Pro Shots/アフロ】
クラブ解散の危機に直面しているフィテッセ【写真:Pro Shots/アフロ】

【専門家の目|太田宏介】古巣フィテッセがプロライセンスを失効

 オランダ1部フィテッセは8月8日にプロライセンスを失い今後のクラブ存続は不透明となった。ユトレヒト裁判所への仮処分申請も退けられと現地メディアが報じていたなか、かつてフィテッセでプレーした元日本代表DF太田宏介氏は「悲しいなっていうのが一番ですね」と語った。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部)

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 多額の負債を抱え、財務状況が悪化していたフィテッセは23-24シーズンに勝ち点「18」を剥奪され、35年ぶりに2部へ降格。そして、24-25シーズンは勝ち点「39」が剥奪され、2部で最下位に終わっていた。

 KNVB(オランダサッカー協会)の弁護士は法廷で「フィテッセには何度もチャンスが与えられたが、それを生かさず、改善も見られなかった」と主張。クラブに対する度重なる是正勧告にもかかわらず、組織的な改善がなされなかったことが剥奪の決定打となり、プロライセンスが剥奪された。

 2シーズンにわたり約1年間フィテッセでプレーした太田氏は「僕が退団したあと、特にここ何年かは財政厳しいよみたいな話は聞いてて、さらに以前オーナーがロシア人で、ロシアのウクライナ侵攻の影響も受けてここ数年は自転車操業で運営していと思うんですけど、所属してたクラブがなくなるの悲しい」と、さまざまな要因があったのではないかと指摘した。

「オランダの中でももの凄く環境の整ったチームで、アカデミーからトップまで同じ環境で同じ施設で練習できて、グラウンドも10面ぐらいある。全部整ってものすごかったのに、たった数年でこんなことになるんだと。歴史の長いリーグ、クラブでもそういうことが起きちゃうんだなと驚きです」と、心境を明かした。

 さらにフィテッセの施設には、これまで所属した全選手のネームステッカーが記載された廊下があり、太田氏はいつか子供に見せたいとかいう夢があったが、もしかするとそれも叶わないかもと残念がった。

「ヨーロッパにいった時まだ子供が生まれてなかったんで、こういう環境でやってたんだよっていうのは見せたかったんですけどね。その夢も叶わず、あの黄色と黒のユニフォームが見れないとなると悲しいし寂しいですね」

 フィテッセは今後解散するのかアマチュアリーグから続けるのか、さまざまな道を検討しているとされるが、果たしてクラブは存続となるのか、名門の今後に注目が集まる。

(FOOTBALL ZONE編集部)



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太田宏介

太田宏介(おおた・こうすけ)/1987年7月23日生まれ。東京都出身。FC町田―麻布大学附属渕野辺高―横浜FC―清水エスパルス―FC東京―フィテッセ(オランダ)―FC東京―名古屋―パース・グローリー(オーストラリア)―町田。Jリーグ通算348試合11得点、日本代表通算7試合0得点。左足から繰り出す高精度のキックで、攻撃的サイドバックとして活躍した。明るいキャラクターと豊富な経験を生かし、引退後は出身地のJクラブ町田のアンバサダーに就任。全国各地で無償のサッカー教室を開校するなど、現在は事業を通しサッカー界への“恩返し”を行っている。

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