PK戦で消えた3冠…3位の表彰式で「笑おう!」 高卒プロ公言の主将「胸張って千葉に」

流通経済大柏の島谷義進【写真:FOOTBALL ZONE編集部 】
流通経済大柏の島谷義進【写真:FOOTBALL ZONE編集部 】

流通経済大柏の島谷義進「練習参加で内定を全力でつかみに行くしかない」

 8月2日に幕を閉じたインターハイ男子サッカー。昨年度から5年間、福島県での固定開催となったこの大会は、全国の予選を突破した51校が激しい戦いを演じた末に、神村学園が初優勝を飾った。真夏の福島で躍動を見せながらも、志半ばで『敗れし者たち』をピックアップしていく。

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 第17回は準決勝において大津高との“東西横綱対決”でPK戦の末に敗れた流通経済大柏のキャプテンMF島谷義進について。プレミアリーグEAST2位の東の横綱の心臓と呼ばれる男は、最後まで素晴らしいキャプテンシーを見せた。

「顔を上げようぜ! 笑おう!」

 3位の表彰式の後の記念撮影の際、島谷は笑顔で大きな声を出して仲間たちにこう伝えた。すると、何人かの選手はそれに呼応するように笑顔を見せて、記念撮影に収まった。

「僕らの目標はインターハイ、プレミア、選手権の3冠だったので、最初の1冠を落としてしまったことはもちろん悔しいです。でも、本当にみんなしっかりと戦ってくれたし、悔いの残るような中途半端なプレーを誰もしていなかった。だからこそ、下を向く必要はないし、胸張って千葉に帰るべきだと思ったので、みんなに言いました」

 常に周りが見えている。そして気を配りながら、ときには強い意思表示をみせ、ときには背中を押すような言葉をかけて、まさにチームの精神的な支柱となっている。プレー面でも「今のシステムが成り立つのは義進の存在のおかげ」と榎本雅大監督が口にするように、「4-4-2」のダイヤモンドのワンボランチとして、広範囲にわたって動き回り、ずば抜けたボール奪取能力とスペース察知能力を駆使して、堅守と攻撃の中枢を担う。

 ただ闇雲に動き回るのではなく、瞬時に味方と相手の状況を把握して、第一に遮断すべきポイントを見つけ出して最短距離でそこに立つ。そこから彼のプレーはスタートする。この状況把握能力と判断能力がベースにあるからこそ、彼はチームにおいて唯一無二の存在であり、心身ともにチームの心臓となっている。

 この大会でも彼の存在は際立っていた。中盤でボールが溢れると、そこには必ず赤い背番号4がいる。マイボールにすると素早くボールを周りに配り、攻撃のスイッチを入れる。ネガティブトランジションになると、すぐに首を振って背後の状況を把握してから、相手FW、トップ下へのパスコースを遮断し、そこから動き直して自分のエリアに飛び込んできた相手を仕留める準備をする。

 準決勝の大津戦もビルドアップの際に中央に入ってくる高校ナンバーワンサイドバックの村上慶と激しいバトルを演じながら、福島京次と福島悠士のダブルボランチとのマッチアップもこなした。

「自分が全部行かないといけないし、自分が全部守るという意識でやっています。本当に広大なスペースを守らないといけないので、プレミアだと90分間で1、2回は自分のスペースを使われるシーンが出てきてしまいます。そこは見直さないといけないですが、チーム全体のカバーがあってこその自分のプレーだと思っています。迷ったら行くことを大事にしているのですが、後ろの選手もそれを分かってくれているからこそ、僕も思い切ってプレスに行ける。この試合もその信頼関係はきちんと出せたと思います」

 結果は0-0からのPK戦敗退。ライバルに昨年度の選手権3回戦のリベンジを果たされる形となったが、チームは今大会無失点で終わるなど、やはり全国トップレベルの力を持っていることは示したし、その中心には島谷がいた。

「これからプレミア、選手権で必ず優勝できるように努力をしてリベンジしたい。キャプテンとしてももっとチームを盛り上げられるようにやっていきたいと思います」

 こう決意を示した彼は、これからJ2のクラブの練習に参加する。

「高卒プロしか考えていません。大学は一切考えていないので、練習参加で内定を全力でつかみに行くしかないと思っています」

 複数のJ2クラブの練習でも、持ち前の守備能力と人を惹きつけるキャプテンシーを発揮し、夢を掴んでから残りの2冠獲得へすべてを注ぎ込むべく。島谷の熱い夏はまだまだ終わらない。

(FOOTBALL ZONE編集部)

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