驚異の身体能力…テスト数値に「正直びっくり」 全10点満点の超人GK「大物を食ってやる」

桐生第一の坂井祐登【写真:FOOTBALL ZONE編集部 】
桐生第一の坂井祐登【写真:FOOTBALL ZONE編集部 】

桐生第一の坂井祐登「何がなんでも冬に育英を倒して選手権に出る」

 失意の敗戦から1週間。桐生第一のGK坂井祐登はインターハイ群馬県予選決勝で前橋育英に敗れた悔しさをバネに、3位につけるプリンスリーグ関東1部の再開戦に挑んだ。

 相手はインターハイ茨城県代表を決めた鹿島学園。坂井は「全員で戦う。育英戦の負けを引きずらないで断ち切る。この1週間、中村(裕幸)監督から喝を入れてもらって、この一戦に勝つために準備をしてきました」と、強い決意を持ってこの一戦に臨んだが、立ち上がりは硬さからか相手にペースを握られる苦しい展開に陥った。

 前半11分にショートカウンターから先制を許したが、「絶対に下を向いたらいけない」と大きな声で仲間を鼓舞し、巻き返しの機運を作り出した。前半のうちに同点に追いつくと、後半は反撃に転じてきた鹿島学園に対して、的確なコーチングで綻びを見せなかった。後半25分にMF中山大輝のゴールで逆転をすると、直後の鹿島学園の至近距離からのシュートをずば抜けた反射神経を活かしてストップ。CKやロングスローなどのセットプレーに対しても安定したハイボール処理を見せてゴールを許さず、同44分にMF原島謙伍が決めて勝負あり。

 前橋育英に0-2で敗れたショックから見事なリバウンドメンタリティーを見せ、2位の山梨学院に勝ち点1差に迫る勝利を掴み取った。

「勝たなければいけない試合で勝ち切れたのは自信になります」

 第8節を終了した時点で、桐生第一の失点数はリーグ1位のRB大宮アルディージャU18に次ぐ2番目に少ない6失点。坂井はこの堅守を支えるチームに欠かせない存在となっている。

 彼の武器はずば抜けた運動能力にある。182センチのサイズを持ち、ハイボール処理とシュートストップを得意とするが、ジャンプ力、空中での姿勢、キャッチングの技術、そして何より前に出ていくパワーは他のGKとは一線を画す。

 その運動能力の高さは数字でも裏付けされており、8項目のフィジカルテスト(握力、上体起こし、長座体前屈、反復横跳び、立ち幅跳び、50メートル走、ボール投げ、20メートルシャトルラン)で全て10点満点をマーク。初速で一気にスピードに乗ってから跳躍をするから最高到達点は高く、両手の握力は60キロ近くあり、スピードボールもガッチリとキャッチすることができる。

「テストで数値を見て、正直びっくりしました(笑)。人より飛べたり、走れたり、反応は速いほうだなと思っていたのですが、目に見えたことでより自信を持てるようになりました」

 今年から守護神の座を掴み、前述したとおり、DFラインとの連携で「堅守・桐生第一」を作り上げてきた。前橋育英とのインターハイ予選決勝でも、彼はビッグセーブと安定したハイボール処理を見せて、一進一退の攻防戦に持ち込んだ。

 しかし、後半17分に右CKからMF柴野快仁にヘッドを放たれる。これにはきちんと反応していたが、目の前で飛び込んできたMF竹ノ谷優駕スベディにコースを変えられて痛恨の失点。その後は下を向くことなく、さらに接戦を演じたが、攻勢に出た後半終了間際にカウンターを浴びて追加点を決められ、万事休すとなった。

「このチームは攻撃的だからこそ、GKである自分が中心となって守備をしっかりすれば勝ち星を重ねられると思った。前橋育英戦も自信を持ってやれたし、みんなも臆することなく立ち向かえていたのですが……。やっぱり育英は全員が最後までハードワークができるし、強かった」

 十分に戦えた。勝機もあった。だからこそ、相手のしたたかさにやられたことが悔しかった。ショックは大きかったが、これでリーグ戦に影響が出てしまったら元も子もなくなってしまう。

「育英が格上なのはもう分かっています。でも、こうして真っ向から戦ってみて、心の底から『育英を倒して出る全国の味は格別だろうな』と思えました。だからこそ、僕らはこんなところで落ち込んでいられない。何がなんでも冬に育英を倒して選手権に出る、大物を食ってやるというモチベーションがチームに一体感を生み出してくれているので、一戦一戦大事にしてみんなで戦っていきたいと思います」

 ライバルが強ければ強いほど燃える。兵庫県から「育英を倒すために」やってきたアスリート型守護神・坂井祐登はより強固な砦となって、悲願達成に果敢に挑む。

(FOOTBALL ZONE編集部)

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