ハッとした助言「無闇に出ないように」 得点能力が開花…石川2強に挑む絶対的エース

金沢学院大附属の家邉凛太朗「いつでも狙えるような立ち位置を取るように」
石川県の新興勢力である金沢学院大附属が2年ぶり2回目のインターハイ出場を手にした。星稜OBであり、ザスパ群馬でJFL1年を含む12年間プレーをした元Jリーガー・北一真監督が2016年に就任してから一気に力をつけてきたチームは、一昨年度のインターハイ、選手権のダブル初出場を皮切りに、昨年度は選手権に2年連続出場。星稜と鵬学園が2強を張っていた時代に大きな風穴を空けた。
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気鋭のチームにおいて、今、絶対的なエースストライカーに成長しているのが3年生のFW家邉(やべ)凛太朗だ。
京都のヴェルヴェント京都FCから北監督の熱心な誘いを受けてやってきた178センチのストライカーは、フィジカルベースが強く、背負いながらのボールキープやポストプレー、サイドに流れてからスピードを生かしたドリブルが武器。高2からレギュラーの座を掴むと、昨年度の選手権では2試合にフル出場。だが、ゴールを挙げることはできなかった。
「昨年は試合に出られているだけで、貢献できたとは思えませんでした。周りの3年生に頼ってしまうことが多くて、ストライカーなのにサイドに流れてボールを受けて、クロスを上げるシーンが増えてしまっていた。あとは選手権2回戦の帝京戦でボールを前で収めることに精一杯になってしまって、どんどん空回りしていった自分がいました。それが本当に悔しくて仕方がなかったので、今年は考え方を変えよう、甘えずに自分でやり切ることにしようと考えたんです」
今年に入って、決め切る自覚を持って臨んだが、プリンスリーグ北信越2部ではうまく表現ができず、第6節まで好調を維持するチームに対し、彼はノーゴールと沈黙した。
だが、ただ自分で決め切るという気持ちではなく、プレーイメージを変えないといけないと悩んでいたとき、スタッフから「ペナルティーエリア幅から無闇に出ないようにした方がいい」というアドバイスをもらい、一気に視界がクリアになった。
「真ん中で起点を作りながらも、ボールがこぼれてきたらいつでも狙えるような立ち位置を取るようにしました」
つまり、常にボールを受けるポイントを探していた去年から、シュートを打つポイントを探すようになった。視点が変わると、見える世界や考え方、動き方も変わってくる。このマインドセットが、彼の持っていた得点感覚を一気に開花させることになった。
インターハイ予選、彼はゴールラッシュを見せる。準々決勝の小松大谷戦で今大会初ゴールをマークすると、ここから怒涛の3試合連続ゴール。なかでも星稜との決勝戦で見せたプレーは圧倒的だった。
これまで県予選無失点の星稜に対し、3分、いきなり牙を剥く。最終ラインでボールをつないでいるなか、彼はワンチャンスを狙っていた。3バックの左の氷見悠翔がボールを受け、前線にフィードを送り込むと、これを相手DFとのフィジカルコンタクトを制してコントロール。
「たぶん、去年ならあそこで大事に行こうとしてちょっとドリブルをしていたと思うのですが、ゴールが見えたのでシュートで終わることを意識した」と、素早く右足に持ち替えて、ペナルティーエリアラインから豪快に右足を一閃。地を這うようなボールはゴール左隅に突き刺さった。
前半アディショナルタイムにMF山田結互が追加点を奪うと、一度は同点に追いつかれるが、63分、右ワイドでボールを受けたMF平本侑士に対し、家邉はサイドに流れてインナーラップを仕掛ける。
「あえて中から外に流れる選択をしました。中には敵味方がたくさんいたので、僕がここに留まっても何も起こらない。むしろ中のスペースを空けるためにも僕がサイドに流れようと思って、ポケットギリギリのスペースに入っていった」
そこに平本からのパスが届くと、一瞬のフェイントでDF2枚を打ち抜いた。
「そのままシュートを考えましたが、中を見たら水色の選手が複数いて、ニアの1人に目掛けて折り返しました」
MF竹林大輝のシュートはDFに阻まれるも、こぼれをMF木村太一が蹴り込んで勝ち越し。家邉の機転がチームに決勝弾を呼び込んだ。
「練習の大切さ、意識を持つことの大切さを学びました」
どうしたらエースストライカーとしての仕事ができるか。そこから何をすべきか考え、練習ではシュートにこだわって、自主トレを含めて1本、1本にこだわってきた。その姿勢が指導者からのアドバイスを聞き入れて、自分に落とし込める力を作り出し、積み重ねが自信に変わっていった。
「エースと呼ばれるのはリーグ戦や全国で点を取ってからです」
チームの目標は全国3勝。目標達成には家邉の爆発なくしてなし得ない。殻を破ろうとしている新興勢力のストライカーの本領発揮はまさにこれからだ。
(FOOTBALL ZONE編集部)



















