インテルは「日本のJリーグとはちょっと違う」 防戦一方の浦和…劇的弾を許した背景

浦和のグスタフソン「相手をどのようにコントロールするのか」
浦和レッズは現地時間6月21日にクラブ・ワールドカップ(W杯の)第2戦でインテル(イタリア)と対戦して1-2で敗れた。イタリアでのプレー経験もある浦和のMFサミュエル・グスタフソンは「相手をどのようにコントロールするのか。インテルはきょうゲームをどうコントロールするかを表現してくれていたと思います」と、学ぶことの多いゲームだったという見方を示した。
立ち上がりから押し込まれる展開で迎えた浦和は前半11分、右サイドでボールを持ったMF金子拓郎がドリブルで切り込むと中央へラストパス。そこに入ってきたMF渡邊凌磨が右足シュートを放ち、相手にも当たったボールはゴール内に吸い込まれ浦和が先制点を奪った。その後もインテルに押し込まれるも、6バックになってでも浦和は耐えていく。前半19分にはFWラウタロにゴール前でヘディングシュートを放たれるもクロスバーに当たり救われた。このまま浦和は1点リードで前半を終えた。
後半も完全にインテルが押し込んで、浦和がペナルティーエリア付近で耐える時間が続いた。後半33分、左コーナーキックをニアサイドに走り込んできたラウタロが戻りながら右足アウトサイドのボレーで決める超絶テクニックを見せつけ同点ゴール。ついに浦和は同点ゴールを奪われてしまった。さらに、後半アディショナルタイムにゴール前のこぼれ球を、FWヴァレンティン・カルボーニに蹴り込まれて、1-2の逆転負けになった。
常にボールをキープされ、押し込まれ続ける展開だった。グスタフソンは「我々は組織されていて、下がり気味にローブロックを作って、形をしっかりと構築できていたと思います。でも90分間、あそこまで相手に押されてしまうと、何かが起きてしまいます。たとえ組織されていてもあのような出来事が発生してしまいました。大事な所は、そういう引き気味の所からもう少しボールをキープしたり、前にみんなで押し上げたり、そこから抜け出すことがカギになっていたんですけど、そこが不十分だったと思います」と振り返っている。
インテルは押し込んだ状態からボールを動かし続け、浦和の守備に穴ができるのを待った。浦和も守備で忍耐強くプレーしたが、インテルもまたしびれを切らして無理のあるミドルシュートを放つようなことをせず、じわじわと追い詰めるようなサッカーを続けた。MF安居海渡は「ミドルとかを打ってくれれば、多少、寄せればコースが限定できるのもあると思うんですけど、くさびのパスとかを常に狙っている状況だったので、むやみに自分らもプレッシャーに行けなかった。動かされた感は常にありました」と話した。
グスタフソンはこうしたゲームコントロールについて「もちろん彼らは大きなチャンスを作っていないのですが、相手は非常にゲームをコントロールしていました。なので、日本のJリーグとはちょっと違うような、慣れていない形でもありました」と話す。そして「これはチームとして次のステップに行く、どのように試合をコントロールするのか、そして相手をどのようにコントロールするのか。インテルはきょうゲームをどうコントロールするかを表現してくれていたと思います。我々にとっては素晴らしい経験です」と、学ぶべきものがあるという考えを話した。
現時点で浦和が世界的にどのような立場でクラブW杯に参加したのかを考えれば、このような戦い方になったことも止むを得ないのかもしれない。しかし、浦和がもう1ステップ上に進むためには、こうしたゲームコントロール術をより身に着けて戦う必要があるのだろう。UEFAチャンピオンズリーグ(CL)準優勝の強豪から先制したゲームから学んだものをどれだけ生かせるか、浦和にとって成長の糧とすべきゲームになったはずだ。
(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)