1446億円の衝撃…「僕なら鼻息荒くして臨む」 元日本代表DFが語るクラブW杯の魅力

元日本代表の森脇良太氏【写真提供:ホリプロ】
元日本代表の森脇良太氏【写真提供:ホリプロ】

広島と浦和でクラブW杯に出場した森脇良太氏「気持ちの高ぶりも違った」

 世界各国から大陸代表32チームが集結し、4年に一度のクラブ世界一決定戦としてリニューアルされた、クラブ・ワールドカップ(W杯)が米国で現地時間6月14日(日本時間6月15日)に開幕した。過去2大会に出場した元日本代表DF森脇良太氏は、日本からは古巣の浦和レッズが出場する大会について「熱狂的な1か月を過ごしたい」と語っている。(取材・文=轡田哲朗/全2回の1回目)

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 森脇氏はサンフレッチェ広島在籍時代の2012年にJ1優勝による開催国代表として、浦和所属時の2017年にはアジア代表としてクラブW杯に出場。初出場の2012年大会は、初戦でオセアニア代表オークランド・シティ(ニュージーランド)に勝利するも、準々決勝でアル・アハリ(エジプト)に敗れ、5位決定戦で蔚山現代(韓国)を下して5位で大会を終えた。

 この大会を振り返り、森脇氏は「やっぱり今までずっとクラブW杯を見てきた立場だったので、自分がこのピッチに立てるんだという、いろんな思いはありましたよね。喜び、楽しさが先行して、世界でサンフレッチェのサッカーを証明しようという、そんな気持ちで臨みました。ワクワクのほうが強かったですね」と語る。

 日本代表としてアジアカップ優勝メンバーにも名を連ねていた森脇氏だが、クラブチームでの国際大会出場にはまた別の喜びがあったという。

「やっぱり日本の代表として世界と戦うのはまた違いますよね。クラブで一緒にやってきた仲間と世界と戦うという意味で、気持ちの高ぶりも違ったものがありました。もちろん日本代表チームで戦う時もモチベーションはものすごく上がりますが、やっぱりJリーグや自分たちのクラブ、そして日本サッカー全体の価値を高めたいという思いが強かったですね。いろいろなものを背負って戦うっていうところですよね」

 浦和で出場した2017年のクラブ杯は、Jリーグのクラブとして初めて日本国外で開催された大会への参加となった。アラブ首長国連邦(UAE)での戦いについて、森脇氏は「海外で戦うという意味でも新鮮さがありましたし、日本で戦うのとはまた違う感覚で、より世界と戦っているという感じがありました」と語る。

 浦和は大会初戦となった準々決勝で開催国代表アルジャジーラに敗れたものの、5位決定戦ではウィダード・カサブランカ(モロッコ)に勝利。ただ初戦で勝利していれば、欧州王者レアル・マドリード(スペイン)との対決が待っていただけに、どこか物足りなさの残る大会となった。

選手として楽しめたクラブW杯「お互いにガチンコ、バチバチ感もある」

 森脇氏は「唯一心残りなのは、やっぱりヨーロッパの強豪クラブと戦ってみたかったという点ですね。ヨーロッパチャンピオンとやりたかったなという思いが強かったです」と悔しさを滲ませつつ、「対戦は実現しなかったですけど、世界の大会に出る、世界の舞台で戦っていること自体が自分の中でも特別でした」と大舞台に立った記憶を振り返った。

 クラブW杯は、世界中の強豪クラブが集結するビッグトーナメントだ。その特徴について森脇氏は「自分たちの良さや強みを押し出すスタイルのチームがほとんど」と指摘し、こう続ける。

「何が楽しかったかと言えば、やっぱり海外の相手と試合をすると、よりオープンなゲームになる。お互いにガチンコというか、やっていてバチバチ感もある。サッカーの醍醐味も詰まったような試合になるという意味では、やっている僕らからしたら非常に楽しかったですね」

 一方で、今大会から32チームに拡大されたことで(従来は7チーム制)、クラブや選手ごとの熱量に差が生まれる懸念もある。特に欧州のクラブは5月末まで長いシーズンを戦い抜いており、監督交代が決まったチームの中には、新シーズンに向けた準備の一環としてクラブW杯を位置づけているケースもある。

 この点について森脇氏は、「確かに、オフに入りたいとか休暇が欲しいというのは、選手ならよくあることではあるんです」と元選手としての実感を交えて語る。その一方で、新たな形式で大会が始まれば、そうした気持ちも徐々に変わっていくはずとの展望を示している。

「大会の規模が拡大したことで、そういう温度差も徐々に解消されていくんじゃないかなと思っています。もちろん代表チームのW杯も素晴らしい大会ですが、クラブW杯も見どころの多い大会になっていくと感じています。選手にしても、これまでのトーナメント方式の時のように、ちょっと参加する感覚ではなく、この大会に懸ける気持ちがより強くなっていくのではないかなと感じています」

森脇氏も驚きの賞金額、浦和の参加賞金は約13億8000万円

 また、森脇氏は「賞金総額がすごいので、1試合勝てばかなりの額が入ってくる。そういった意味では頑張れば頑張るほど報酬にも関わってくる。それを考えると、僕ならもう鼻息荒くして臨むところですよ」と笑いながら話した。

 実際、大会の賞金総額は10億ドル(約1446億円)と飛躍的に増額された。参加賞金はクラブごとに異なるものの、浦和は955万ドル(約13億8000万円)。また、グループリーグで勝利すれば200万ドル(約2億9000万円)、引き分けで100万ドル(約1億4500万円)。決勝トーナメントはベスト16進出で750万ドル(約10億8000万円)、準々決勝進出で1312万5000ドル(約19億円)、準決勝進出で2100万ドル(約30億3000万円)、決勝進出で3000万ドル(約43億3000万円)となり、優勝すれば4000万ドル(約57億8000万円)。優勝クラブは最大1億2500万ドル(約180億6000万円)を手にする可能性があり、クラブや選手たちにとって今大会の存在意義を一段と高める要因となるだろう。

 全63試合が行われる今回のクラブW杯について、森脇氏は「本当に各大陸の王者たちが集結しますし、各国のスター選手が揃ったチームも多い。見どころ満載だと思います」と期待を寄せる。「リオネル・メッシ選手の出場もそうですし、レアル・マドリード、マンチェスター・シティがどんな戦いを見せるのかなど、いろいろな角度から楽しめる大会になると思います。熱狂的な1か月を過ごしたいです」と、開幕を心待ちにしている様子だった。

(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)



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