命運分けた“コイントス”「プレッシャーかけた」 いつもと違う光景…2か月ぶり勝利の舞台裏

昌子源が試合前のコイントスを回想【写真:徳原隆元】
昌子源が試合前のコイントスを回想【写真:徳原隆元】

町田はホームでは3月15日以来の勝利となった

 FC町田ゼルビアは5月17日、J1リーグ第17節で柏レイソルとホームで対戦し、3-0で勝利した。この試合まで11戦負けなしと好調だった相手に前半だけで3点を叩き込む快勝劇。黒田剛監督は「昨年までやっていた町田の良さ、彼らの気持ちをしっかり前面に押し出してくれたなと思います。雨が降って、ピッチ状況も功を奏した所もあるかなと思います」と振り返った。

 いつもと違う“光景”だった。この日は朝から試合開始時点まで、スタジアム周辺は大雨が降っていた。町田はホームゲームでは前半はメインスタンドから見て、左側のエンドに攻めることが多い。だが、この日はコイントスに勝利したDF昌子源主将は、いつもと逆の右側のエンドに攻めることを選んだ。黒田監督が真相を明かす。

「ベンチからピッチを見て右側に水たまりがいくつか溜まっていて、DFラインのビルドアップが多少難しさが出て来るんじゃないかなと思っていました。またオ・セフンのセカンドボールをクリアし損ねたものを前向きに回収するには、後半から雨が止むことは想定できていたので、前半のうちに優位な体勢でしっかり畳み掛けていこうというプランにあったので。コイントスで勝つように(昌子)源にはプレッシャーをかけておきました」

 その言葉どおり、前半で試合を決めた。前線からプレッシャーをかけ続けて、柏の武器であるパスサッカーを封じ込めると、前半4分に先制に成功。MF仙頭啓矢の左足ミドルシュートを相手GKが弾き混戦になった所を、最後はMF林幸多郎が左足で押し込み、先制点を挙げた。16分には林が左サイドを抜け出すと、クロスが相手に当たり、オウンゴールで追加点を奪った。さらにアディショナルタイムの同47分には、FWナ・サンホがゴールネットが破れんばかりの強烈なPKを左上に突き刺し、3点目をマーク。狙い通り、悪天候の前半で勝負を決めた。

 期待通りにコイントスで勝利を引き寄せた昌子も舞台裏を明かした。

「試合前のミーティングで、(黒田)監督が俺がコイントスをとったかのように話すんですよ。取れたらね、って言っているんですけど。『源、お前の日頃の行いだぞ』と言われて。コインが濃い青と黄色だったんですけど、パーンと上がって、で青だったんです」

 これでチームは4試合ぶりの勝利。ホームでの勝利は3月15日のアルビレックス新潟戦以来、実に2か月ぶりとなった。指揮官は「なかなかホーム戦で勝点3をファン、サポーターの前で見せることができなかったことにすごく不甲斐なさと申し訳なさを感じていた。今日のサッカーが町田のサッカーなんだということを自覚しながら、日々トレーニングを重ねて、次のゲームに準備していきたい」とここから上昇気流に乗ることを誓った。

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