5大リーグ挑戦→1年目で歴史的V いまだ2国で日本人優勝なし…歴史的快挙は「時間の問題」

今季も「快挙」の連続…欧州リーグ優勝を経験した日本人選手の系譜
欧州リーグは終盤を迎え、すでに優勝が決まっているリーグもある。プレミアリーグはリバプールが優勝。遠藤航はプレミア優勝を経験した日本人選手としては、稲本潤一、香川真司、岡崎慎司、南野拓実に続くことになった。
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2部リーグではリーズ・ユナイテッドが優勝。田中碧はチームの中心として活躍した。ブンデスリーガはバイエルン・ミュンヘンの優勝が決まっていて、伊藤洋輝は終盤に負傷から復帰している。セルティックは前田大然の大活躍でスコットランドリーグを制覇。旗手怜央とともに来季は移籍するのではないかと噂されている。セルティックは優勝の常連クラブで、これまで古橋亨梧、小林友希、岩田智輝、井手口陽介、中村俊輔も優勝を経験している。
欧州リーグで優勝を経験した最初は奥寺康彦。1977-78シーズン、1.FCケルンのFWとして活躍した。奥寺は古河電工から移籍した最初のシーズン、日本人選手の欧州移籍第1号でもあった。当時、欧州最高峰だったブンデスリーガ1年目でいきなり優勝というのは今にして思えば大快挙だ。ちなみにケルンの優勝はこれが今のところ最後である。
次の欧州リーグ制覇は2000-01シーズン、中田英寿が久々の快挙となった。こちらもASローマは現在までこれが最後のセリエA優勝。中田はユベントスとの天王山で鮮やかなゴールを叩き込んだ。
中村俊輔はスコティッシュ・プレミアリーグ3連覇。05-06シーズンに加入していきなり優勝し、06-07は最優秀選手に選出された。チームの主力として優勝に貢献したという点では初のケースだろう。
中村以上に衝撃だったのがボルシア・ドルトムント連覇の香川真司。10-11、11-12シーズンのブンデスリーガを制してマンチェスター・ユナイテッドへ移籍。ユナイテッドでは不完全燃焼だったがリーグ優勝はしていて、香川個人では3連覇である。ユナイテッドはこの12-13シーズンから優勝がない。
こうして振り返ると、FCケルンの奥寺、ローマの中田、マンUの香川は貴重な経験をしたわけだが、貴重さということなら15-16シーズンの岡崎慎司である。優勝したレスターはクラブ創設132年にして初優勝、「ミラクル・レスター」と呼ばれた。岡崎は主力FWとして活躍。ケルンやローマは名門クラブであり、マンUは欧州最強クラブの1つだったが、こう言っては失礼ながら今後レスターが優勝するチャンスは当分ないと思う。まさに歴史的な出来事だった。
歴史的ということでは、ボルフスブルクの08-09ブンデスリーガ優勝もクラブ史上初のタイトル。長谷部誠と大久保嘉人、日本人選手が2人プレーしていた。
欧州カップ戦ではフェイエノールトの主軸としてUEFAカップ(当時)優勝メンバーだった小野伸二、UEFAヨーロッパリーグ(EL)優勝のフランクフルトで主力だった長谷部誠、鎌田大地の活躍が光る。
おそらく最終節で優勝が決まる可能性が高い守田英正(スポルティング)はすでにリーグ優勝を経験しており、金子拓郎と荻原拓也もクロアチアリーグ時代に優勝している。
欧州5大リーグではスペインとフランスに優勝経験者がいないが、それも時間の問題かもしれない。
(西部謙司 / Kenji Nishibe)

西部謙司
にしべ・けんじ/1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。