神奈川名門に193cm大型守護神 川崎U-18に昇格できず…伝えられた「我々を見返して」

桐光学園の斎藤准也【写真:FOOTBALL ZONE編集部 】
桐光学園の斎藤准也【写真:FOOTBALL ZONE編集部 】

桐光学園の斎藤准也「悔しい気持ちもありましたが、正直図星でした」

 中村俊輔、藤本淳吾、小川航基ら日本代表を輩出してきた神奈川の名門・桐光学園。今年の注目は左サイドバックの陶山響と2年生アタッカー・萩原慶のU-17日本高校選抜コンビだが、最後尾に構える193センチの大型GK斎藤准也も非常に気になる存在だ。

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 圧倒的なサイズはもちろんのこと、長い手足とガッチリとした肩まわり、強靭な下半身を持ち、ゴール前での佇まいはスケールの大きさを感じる。プリンスリーグ関東2部・第4節の流通経済大柏B戦、結果は0-1の敗戦だったが、安定したハイボールの処理、シュート性のクロスに対するトスティングのうまさなど、技術面の高さも披露した。

 彼は川崎フロンターレU-15出身。中学3年時の日本クラブユースサッカー選手権(U-15)に守護神として出場。そして1年生だった一昨年には神奈川県選抜の一員として国体に出場。セカンドGKだったため、出番は訪れなかったが、選抜メンバーで高体連の選手は斎藤を含めて3人のみ。残り13人は川崎U-18、横浜F・マリノスユース、東京ヴェルディユース、横浜FCユース、湘南ベルマーレU-18とJユース勢だったことを考えても、彼のポテンシャルと期待値を窺い知れる。

 だが、彼の実際の評価はすこぶる高かったわけではなかった。中学3年時にはすでに188センチあったが、川崎U-15からU-18に昇格ができず。桐光学園でも昨年までずっとサブGKで、セカンドチームでもK1リーグ(神奈川県1部リーグ)に少し出場した程度だった。

「僕の課題は明確でメンタル面なんです。ミスしたり、失点してしまったりすると気持ちが落ちてしまって、下を向くことでミスが連鎖したり、チームにマイナスの雰囲気を与えてしまう。もともと声掛けが得意ではなかったので、流れを相手に与えてしまうこともありました」

 U-18への昇格が見送られた際も、川崎のアカデミースタッフから「高校でメンタル面を磨いて、我々を見返してほしい」と伝えられた。

「悔しい気持ちもありましたが、正直図星でした。中学でずっと自分の気の弱さというか、落ち込んでしまう性格を改善したいと思っていました。実は桐光学園に来た理由が『ここならメンタルを鍛えられる』と思ったからです。神奈川は地元なので、よく小さい頃から高校サッカーをスタジアムやテレビで観ていました。そのなかで桐光学園の鈴木(勝大)監督が物凄く情熱的で、ベンチで選手たちと一緒に戦っている姿を見て、『なんて熱い人が監督なんだ』と思ったんです。特に中2のときの選手権予選の日大藤沢戦を観て、『この人からいろいろ学びたい』と思ったので、ユースに昇格できなかったら桐光学園に行こうと決めました」

 情熱を包み隠さず全面に出す。鈴木監督の姿勢に感銘を受け、「自分もこうなりたい」と願った斎藤は、覚悟を決めて門を叩いた。

 もちろん人間はすぐには変化できない。高校に入ってからも課題が顔を出し、前述したとおり、トップチームでもセカンドチームでもレギュラーの座を掴めなかった。だが、その過程のなかで筋トレに黙々と励んで屈強なフィジカルを手にし、3年生GKの長所を学んで意識高くトレーニングに打ち込むなど、ベースを着実に積み上げてきた。

「ずっと僕の目の前には自分より上の選手がいた。どのGKにも共通しているのが『どんと来い! 俺が守る!』と堂々とプレーしていることで、自分から積極的に発信するし、練習の姿勢も素晴らしい尊敬できる存在だった。僕も周りから見てそんな存在になるために明確な目標を持ってやれているのは大きな財産だと思います」

 最高学年となった今年、ついに背番号1を託され、トップチームの守護神となった。流通経済大柏B戦では前半の早い段階で失点する苦しい展開だったが、そこで彼は大きな声とアクションでチーム全体を盛り立て、その後も安定したセーブを見せて、これ以上の追加点を与えなかった。

「チームが苦しいときこそ、自分が発信して乗り越えていかないといけない。チームにプラスの雰囲気を出さないといけない。GKが下を向いたらダメ。そこはいつも強く自分に言い聞かせています」

 課題に真摯に向き合い、心身ともにスケールの大きなGKになる。明確な未来像を持った斎藤は、失敗と成功を積み重ねながら、時間をかけて大きく羽ばたく準備を続けている。

(FOOTBALL ZONE編集部)

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