「球がサポートしてくれた」 宇佐美貴史の技術が凝縮、“復活”ダイレクトボレー弾の舞台裏

宇佐美貴史が京都戦で先制ゴールを決めた【写真:柳瀬心祐】
宇佐美貴史が京都戦で先制ゴールを決めた【写真:柳瀬心祐】

宇佐美は5試合ぶりの先発、今季2得点目

 エースが帰ってきた。ガンバ大阪は4月29日、J1リーグ第13節で京都サンガF.C.と対戦して、2-1で勝利。3試合ぶりの白星に導いたのはFW宇佐美貴史とFWデニス・ヒュメットの新コンビだった。前半10分には宇佐美が技術を凝縮したダイレクトボレー弾を決めて今季2ゴール目をマーク。同27分には全力のプレスバックからカウンターを発動させてヒュメット初ゴールをお膳立てと大活躍だった。今季は負傷に悩まされた主将。速球パスを「しっかり面で捉えた」一撃を復活の狼煙にする。

 宇佐美らしい一撃だった。前半10分、ヒュメットの突破から中央の宇佐美へピンポイントのクロスが送られると、直接右足で合わせ、ゴール。スピードあるパスも完璧に仕留めて先制点を奪った。

「クロスをしっかり面で捉えて、浮かさないように。枠にだけ入れるように。球が速かったので、シュートに力が入らない。あのパスの球がサポートしてくれるので、枠にさえ入ればというようなイメージで打った」

 5試合ぶりの先発。開幕前から負傷に悩まされ、なかなかコンディションが上がらなかったシーズン序盤。今季、先発はまだ3度目だ。ゴールもPKの1得点のみ。この2か月間は長く、精神面もなかなかついてこなかった。それでもこの日は得点のみならず、ヒュメットのJ初得点を自陣まで戻っての守備からお膳立てして助っ人に“数字”をつけさせた。

「ここからまた怪我しないように注意しないといけないけど、今日やってみてもコンディションというか前に出ていくパワー、そういうものはすごくいいものを感じましたし。身体のコンディションが良くなっていけば、自ずとプレーで表現できる部分も多くなっていく。そうすればメンタル的な部分も上がってきて、プレーの充実につながっていくと思いますし、チームの助けになれると思います」

 まだまだ口調は“完全復活”を示すものではない。チームも後半は一方的に押し込まれた。「奪ってからの1歩目のパスだったり、シュートまで行けそうなところのクオリティーは低かった。受けっぱなしの展開になったので。結果だけが良かった。力で上回れた感覚は個人的にはあまりない」。それでも、宇佐美とヒュメットの関係性が生んだ2ゴールは収穫であることは間違いない。「ボックス内で足を振らせれば」。宇佐美が意識したヒュメットの生かし方。3戦ぶりに掴んだ勝利をヒントに、宇佐美もチームも上昇していきたい。

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