日本代表に必要な“メディア露出” サッカー界に新施策…SNS活用は「絶対に続けるべき」【インタビュー】

日本サッカーが抱えるメディア問題【写真:徳原隆元】
日本サッカーが抱えるメディア問題【写真:徳原隆元】

太田氏が「DAZN」の施策「100万回パスチャレンジ」について言及

 森保一監督が率いる日本代表は、11月にアウェーで行われる2026年北中米ワールドカップ(W杯)アジア最終予選のインドネシア戦(15日/ジャカルタ)と中国戦(19日/廈門)を控えている。スポーツチャンネル「DAZN」が2連戦に向けて「100万回パスチャレンジ」の実施を発表。無料放送を目指す施策を打ち立てた。元日本代表DF太田宏介氏もこの取り組みに「1つのムーブメントとして非常にいいことですね」と、嬉しさを露わにした。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・金子拳也)

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 近年サッカー界の地上波放送の問題が、何度も話題に挙がっている。森保ジャパンが挑むW杯アジア最終予選も、アウェー戦に限っては地上波での放送がここまで行われていない。そんななかで11月の連戦に向けてDAZNが10月16日、「100万回パスチャレンジ」という施策を発表。公式Xへのアクション(いいね、返信、クリックなど)を“パス”とカウントし、累計100万回のパスを目指す。チャレンジに成功すれば、2試合(DAZN独占配信)を無料開放するというものだ。

 太田氏も「1つのムーブメントとして非常にいいことですね。サッカー界の人たちからしても、露出が増えることで人気も高まると思いますし、観客動員数にもつながるはず。DAZNさんの貢献は本当にありがたいです」と今回の取り組みへ感謝を述べる。露出という意味ではSNSの活用も現代では欠かせないが、太田氏は現状「コンテンツとしては今めちゃくちゃ十分揃っているんじゃないですかね」と、率直な印象を語ってくれた。

「代表合宿の裏側がYouTube上で公開されたりして話題に挙がりますが、ファン目線からしたら選手の素顔とかホテルの様子は貴重。見ていて楽しいものだと思います」

 一方で、「ロッカールームでこれから試合行くぞっていう時、キャプテンが全員に対して熱く話している時とかの様子をSNSに公開するのは、自分としては少し違和感を抱いてしまいます」と、選手を経験してきたからこその視点を明かす。

「本当に真剣勝負、一番チームをまとめなきゃいけない限られた時間なんです。選手も一番集中しなければいけない時に、カメラがずっと入ってそれを撮り続けるというのは…。もちろんエンタメとして重要な部分であり、ファンの方々も楽しんでくれると思うのですが、選手目線からすると、『いや、そこは入らないでくれ』と思うこともありました」

 それでも、サッカーを多くの人に届けるために「ただSNSを通じてこういったスポーツの裏側を見られるというのは今の時代の良さだと思いますし、絶対に続けるべきだと思います」と、太田氏も時代に合った発信の仕方を推奨していた。

 時代の流れは、子供たちにも起こっている。現役引退後、太田氏は全国の子供たちへ向けた無償のサッカー教室を開く。身近に触れあうなかで、「将来何になりたいか」を子供たちに質問すると、「バロンドール獲りたい」「プレミアのマンチェスター・シティでプレーしたい」という大きな夢が返ってくる。「僕の当時はただ『プロサッカー選手になりたい』だったものが、より世界的、具体的になっていて驚きました」と変化を実感している。

「ヨーロッパに行く日本人選手も増え、距離が近くなったのでしょう。実際にプレーして活躍する姿を見ているからこそ、夢や目標が変わってきています。これってめちゃくちゃいいことですよね」

 太田氏はそんな大きな夢を掲げる子供たちに「サッカーを楽しく、嫌いにならないで続けていける環境が大事です。僕は大人として、送り迎えしてくれる両親、関わってくれている人への『ありがとう』は忘れてはいけないというとこはどこに行っても子供たちへ伝えています」と、自身の思いを吐く。そんな将来を支える子供たちのためにも、サッカーを見る環境が整うことは、大きな利点となる。その後DAZNの施策は見事達成され、11月シリーズの代表戦がより多くのファン・サポーターに届くことが決まった。

(FOOTBALL ZONE編集部・金子拳也 / Kenya Kaneko)



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