4戦連続ベンチ外でも…長友佑都を「入れた方がいい」 負傷者続出の救世主になり得る理由【前園真聖コラム】

アウェー連戦で長友佑都がキーマンに【写真:徳原隆元】
アウェー連戦で長友佑都がキーマンに【写真:徳原隆元】

上田や谷口が負傷で招集できず…緊急事態でいると助かるキャリア豊富なベテランの存在

 ここまで日本代表は2026年北中米ワールドカップ(W杯)のアジア最終(3次)予選で無敗、しかも4試合で失点はオウンゴールの1点だけというすばらしい成績を収めている。だが、元日本代表の前園真聖氏はこの11月の戦いを心配しているという。その理由と、このピンチを切り抜けるのに重要な選手は誰か聞いた。(取材・構成=森雅史)

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 日本代表がピンチです。そもそも日本代表の守備の中核を担うはずのDF冨安健洋(アーセナル)がいません。DF伊藤洋輝(バイエルン・ミュンヘン)もDF中山雄太(FC町田ゼルビア)も怪我で招集できていません。また、FW上田綺世(フェイエノールト)も負傷して今回の代表から外れています。森保一監督の信頼の厚い浅野拓磨(マジョルカ)も招集できず、さらに、谷口彰悟(シント・トロイデン)まで代表に来られないという事態になってしまいました。

 2026年の北中米共催ワールドカップのアジア最終予選が始まり、ここまで負けていないために見逃されそうですが、実際のところ、うまく選手をやりくりしながら戦っているのです。特に守備ラインは層が厚くなったように見えて、こうなると、どうやって乗り切っていくのか非常に不透明です。

 特にこの11月のインドネシア戦、中国戦はアウェー2連戦。しかも、寒くなってきているヨーロッパから気温30度以上という地域に行ってプレーしなければなりません。これまで以上にコンディションの調整が重要です。

 森保監督は最終予選になってからはターンオーバーを使っていません。選手の入れ替えを少なくしているのは、チームの積み上げを意識しているからのようですが、今回ばかりは選手のコンディションを見て起用せざるを得ないのではないでしょうか。結果的にそれがターンオーバーを使うことになったとしても、非常事態なので仕方がないと思います。

 そして、こういうときに重要なのはベンチにどんな選手が座っているか、ということです。僕は今回、DF長友佑都を必ずベンチに座らせておいたほうがいいと思います。

 森保監督はずっと長友を招集しています。それは左サイドバック(SB)としてこれまで起用してきた伊藤、中山がいないということも関係しているでしょう。今、日本の左サイドバックは手薄です。日本代表は6月以降、3バックにして、よりボールを支配して戦えるようになりました。ですが、いざ4バックにしようとしたとき、人選は一気に難しくなります。MF旗手怜央もいますが、普段のポジションではないところでプレーさせるのはリスクもあります。

 長友も今シーズンは右サイドバックとしてプレーすることが多いのですが、そこは大ベテラン。いざとなったときの落ち着きが違います。そして、その落ち着きこそ、今度の日本代表に必要です。経験値が高いのに加え、若手の間に入って雰囲気を作り、モチベーションを上げ、選手たちを前向きにしてくれます。大人しい選手が増えた今、こういうピンチに落ち着きを与えられ、プレー面でも精神面でも引っ張っていけます。

 たくさんの選手が海外で経験を積んでいるとは思いますが、それでもベテランがこういうとき近くにいてくれるのは心強いものです。最近の長友は代表に招集されても、試合ではベンチ外になっており、最終予選でも4試合全てスタンドから観戦していました。それでも明るくみんなを盛り上げている精神力はたいしたものです。ですが、今回は必ずベンチに入れたほうがいいでしょう。もしも不測の事態が起きて動揺しそうになっても、選手は長友を見れば安心するはずです。

 谷口がいないので板倉滉(ボルシアMG)、町田浩樹(ユニオン・サンジロワーズ)でセンターバック(CB)を組み、4バックで臨むかもしれません。そのとき、左SBに長友が起用できるということも考えられます。

 これまで日本代表のワールドカップ予選では多くのアクシデントが起きてきました。今回は、日本代表を乗せて飛び立った飛行機が機材トラブルで引き返すということも起きました。森保ジャパンは地震で試合が中止になったり、対戦国が来日できなくて試合がなくなったり、本当にいろいろなアクシデントに見舞われています。

 そんなピンチを今回は長友に救ってもらいましょう。W杯予選5回目という、ほかにはない経歴のある彼に期待しています。

(前園真聖 / Maezono Masakiyo)



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前園真聖

まえぞの・まさきよ/1973年生まれ、鹿児島県出身。92年に鹿児島実業高校からJリーグ・横浜フリューゲルスに入団。96年のアトランタ五輪では、ブラジルを破る「マイアミの奇跡」などをチームのキャプテンとして演出した。その後、ヴェルディ川崎(現・東京ヴェルディ)、湘南ベルマーレの国内クラブに加え、ブラジルのサントスFCとゴイアスEC、韓国の安養LGチータースと仁川ユナイテッドの海外クラブでもプレーし、2005年5月19日に現役引退を表明。セカンドキャリアでは解説者としてメディアなどで活動しながら、「ZONOサッカースクール」を主催し、普及活動を行う。09年にはラモス瑠偉監督率いるビーチサッカー日本代表に招集されて現役復帰。同年11月に開催されたUAEドバイでのワールドカップ(W杯)において、チームのベスト8に貢献した。

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