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対面したC・ロナウドに「面食らった」 カメラのない素顔に「日本人が学ぶべき姿がある」【インタビュー】
ドリブルデザイナーの岡部氏が対面したC・ロナウド
FWクリスティアーノ・ロナウド(アル・ナスル)は来年40歳を迎えるなか、ポルトガル代表でもいまだエースとして牽引し、キャリア通算900ゴールを達成。文字どおり、歴史に名を刻むレジェンドだが、サッカーの神様に才能を授けられただけの天才では決してない。“ドリブルデザイナー”岡部将和氏は、昨夏にC・ロナウドと対面する機会を得た。そのなかで「日本人が学ぶべき姿」、そして、C・ロナウドを通して「ドリブラーが行き着く終着点」について見解を述べている。(取材・文=城福達也)
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岡部氏は現在、子供たちへの指導にも尽力しており、これまでも国内外で子供に向けたサッカー教室や講演を行い、9月23日には株式会社海帆とともに「Kaihan CUP 2024-Memorial Alfredo Casas-」をスペインで開催。日本全国の小学生を対象に、U-8とU-10の代表選手をセレクションで24人を選出し、日本代表としてレアル・マドリードやFCバルセロナ、アトレティコ・マドリードなどに所属する同世代のユース選手も参戦する大会となっている。
ドリブルデザイナーとして、これまで数々の世界トッププレーヤーに自らが提唱するドリブル理論を伝えてきた岡部氏の公式インスタグラムを拝見していると、現在レアルで活躍するブラジル代表FWヴィニシウス・ジュニオールにドリブルの指導をする映像などがあるなか、C・ロナウドとの2ショット写真も並ぶ。
C・ロナウドと交流した経緯について尋ねると、現在所属しているサウジアラビア1部アル・ナスルでの試合後、カメラが1台も回っていない環境下で対面する機会を得たという。
「まず面食らったのが、夜23時に試合が終わった時に、ホテルに戻り、備え付けのジムを貸し切って、2時間走っていたんですよ。それが当たり前だと考えている。話を聞くと、自宅でも24時間テレビがつけっぱなしで、常にサッカーの映像が流れていると言っていて、友人と話していても、気になるプレーが流れたら『ちょっと待って』と、そのプレーを止めて確認するというのが日常なんだと。当たり前の基準を、常人ではたった1日でも続けられない領域に設定している。野球の大谷翔平さんも、当たり前の基準が誰にも真似できないと聞くが、彼らはそれを苦と思っていない」
一般的に努力は立派なことであり、「努力=目標達成に向けて取り組む作業」といった側面もある。だからこそ評価されるものなのだが、C・ロナウドにとって試合後の深夜から2時間走り込むことは「努力」ではなく、「当たり前」の行動として取り組んでいる。そうした素顔に「日本人の学ぶべき姿がそこにあるのかもしれないですね」と振り返った。真のトップレベルに到達するには、もはや努力という概念すら覆さなければならないのかもしれない。
また、食へのこだわりも徹底していることで知られているC・ロナウドだが、「日本人も海外の人と比べたら、ストイックな要素が強い。パフォーマンスを上げるための規律を守り抜く人種だと思う」と、日本人は比較的C・ロナウド寄りの志向であるとしつつも、「海外は、我慢というものに非常に抵抗感があるが、大好きなものに対する熱の注ぎ方に関しては、日本人を大きく上回る」と語ったうえで、その両軸を備えるC・ロナウドは「やはり最強なんですよね」と舌を巻いていた。
年を重ねたドリブラーはどこに行き着くのか?
そんなC・ロナウドも、年を重ねて着実にプレースタイルが変化している。
世界に名を馳せた当初のマンチェスター・ユナイテッド時代は、生粋のウインガーとして切れ味鋭いドリブル突破を最大の武器としていたが、レアルに活躍の場を移し、時が経つにつれ、9番のポジションでフィニッシャーの役割を確立していった。
かつてスピードに乗って相手守備陣を置き去りにしていたC・ロナウドは、ゴール前のワンタッチゴーラーへと変貌したわけだが、果たしてドリブラーの行き着く終着点はどこにあるのだろうか?
「C・ロナウドがまさにそうで、結局ドリブラーは、自分の責任で勝負を仕掛けにいく、強いメンタルの持ち主というのが前提としてある。ドリブルで相手DFを抜くことだけが、ドリブラーの仕事ではない。ゴールに向かう脅威を常に発揮し続ける存在こそが、ドリブラーの真髄だと考えている。もちろん足が遅くなれば、今までできていた突破ができなくなってくる。だから、ドリブラーとして、どんどんプレーを変化させていく必要がある」
岡部氏は「スピードの最大値が下がってくるのは防げない」現実があるとしつつ、「その下落を緩やかにすることはできる。つまり、それによってスピードの調整力を習得することができる」と主張する。
「若い頃は、自分のマックスのスピードを活かして突破しようとするが、年を重ねると、スピードの緩急で打開するのがドリブラーとしての強みになる」と、ベテランならではのドリブルスキルが身につくと見解を述べている。
実際スピードが落ちるにつれ、サイドでの攻防で通用しない局面も出てくるが、ウイングやサイドハーフの選手だけがドリブラーの主戦場というわけではない。
どのポジションでも対峙する相手選手がいる以上、目の前の相手を抜き去る、という戦いは常に存在する。数メートルのドリブルからスペースを見出すボランチもいれば、最終ラインから長距離ドリブルでボールを前線に運ぶセンターバックもいる。ゴールに向かった何ができるか。どこで仕掛けるか。どうやらドリブラーの道に終わりはなさそうだ。
[プロフィール]
岡部将和(おかべ・まさかず)/1983年8月1日生まれ、神奈川県出身。PREDATOR URAYASU FC SEGUNDO―バルドラール浦安―Laguna Playas de Salou(スペイン)―湘南ベルマーレ。2015年からドリブルデザイナーとしての活動を開始し、多くのプロ選手や子供たちにドリブルの指導を行う。YouTubeなどのSNSを通じて配信した動画の総再生回数は3億回を超える。
(城福達也 / Tatsuya Jofuku)